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(令和5年9月21日)ニュースコンテンツ配信分野に関する実態調査報告書について

(令和5年9月21日)ニュースコンテンツ配信分野に関する実態調査報告書について

令和5年9月21日
公正取引委員会

第1 調査趣旨等 

 近年、ニュースコンテンツに係る消費者の接点として、新聞、雑誌等の既存のニュースメディアの利用が減少する一方で、インターネット上でニュースをまとめて表示するニュースポータルやインターネット検索のサービスなどのニュースプラットフォームの利用が増加している。
 ニュースコンテンツが国民に適切に提供されることは、民主主義の発展において必要不可欠であり、また、消費者に情報を届けるという観点で、消費者における自主的かつ合理的な商品等の選択を通じた公正な競争環境の確保に資するものとしても重要である。この点について、ニュースプラットフォームを運営する事業者(以下「ニュースプラットフォーム事業者」という。)と取材に基づきニュースコンテンツを編集して提供する事業者(以下「ニュースメディア事業者」という。)との間の取引や、ニュースプラットフォームにおけるニュースコンテンツの利用の状況によっては、消費者が質の高いニュースコンテンツを享受することが困難になるおそれがあるなど、国民生活において重要な役割を担うニュースコンテンツの提供に影響を及ぼすとの懸念が指摘されている。
 公正取引委員会は、令和3年2月に公表した「デジタル広告分野の取引実態に関する最終報告書」において、ニュースメディア事業者とニュースプラットフォーム事業者との間の取引等に係る問題のうち、ニュースプラットフォームにおけるニュースコンテンツ利用の許諾料や検索サイトにおける表示順位に関しニュースメディア事業者から指摘のあった課題について、取引条件の明確化や、当事者間での適切な交渉の実施等が競争政策上望ましい旨を明示した。しかしながら、当委員会が、同報告書の指摘事項に関するニュースプラットフォーム事業者における取組の状況を把握するため、新聞、雑誌、テレビ放送の各事業者及び事業者団体等を対象として、令和4年8月から同年11月の間に実施したヒアリングでは、当委員会が指摘した課題について実質的な改善が進んでいないことがうかがわれた。
 以上の状況を踏まえ、公正取引委員会は、ニュースコンテンツ配信分野の取引実態を更に詳細に把握した上で、課題の解決に向けて、より実効性のある提言を行うことを目的として、ニュースコンテンツ配信分野に関する実態調査(以下「本調査」という。)を実施した。
 

1 調査対象

 ニュースプラットフォーム事業者とニュースメディア事業者との間の取引を中心に、ウェブサイトやアプリを通じた、文字情報によるニュースコンテンツの配信について調査を実施した。

2 調査方法

(1) ニュースメディア事業者及び消費者アンケート調査

 令和4年11月から同年12月にかけて、ニュースメディア事業者を対象として、アンケート調査を行った(回答者数:220者)。
 また、令和5年2月に、携帯電話等で週に3日以上ニュースコンテンツを閲覧する人を対象として、アンケート調査を行った(回答者数:2,000名)。

(2) 聴取調査

 65者(ニュースメディア事業者・事業者団体53者、ニュースプラットフォーム事業者7者及び有識者5者)に対してヒアリング等を行った。

(3) 国際協力

 本報告書の取りまとめの過程において、米国連邦取引委員会、オーストラリア競争・消費者委員会及びフランス競争委員会との間でそれぞれ意見交換等を実施した。

第2 調査結果

 報告書本体、別紙及び概要参照。

第3 今後の取組

1 ニュースプラットフォーム事業者及びニュースメディア事業者が相互理解の下で、当事者間の交渉を通じて課題の解消に向けた取組が進められるよう、引き続き、必要なコミュニケーションを取りながら関係事業者における取組の進捗を注視する。今後の競争の状況によっては、取引等の公正性・透明性を高め、公正な競争環境の確保を図るために必要な更なる対応について検討を行う。

2 著作権の問題が絡むことや、政府において競争上の懸念に対応するための検討が行われている分野があることから、引き続き、関係省庁等との緊密な連携・協力を図る。
3 海外の各国・地域の競争当局等においても様々な取組が進められていることから、今後とも様々なレベルで各国・地域の競争当局との意見交換を行うとともに、ICN(国際競争ネットワーク)やOECD(経済協力開発機構)等の場も活用しながら、海外関係当局と継続的に連携し、競争環境の整備を図る。
4 本報告書で指摘した行為を含め、ニュースプラットフォーム事業者に関する独占禁止法上問題となる具体的な案件に接した場合には、厳正・的確に対処する。
5 実態調査において、デジタルプラットフォーム事業者の事業活動等の実態をより精緻に把握し、一層効果的な対応を講じることができるよう、本調査においても実施したデータ分析等に関して、スクレイピング技術等の新たな技術を活用した調査手法の検討や導入について、今後も積極的に取り組む。
6 生成AIを始めとするAIの急速な普及に代表されるデジタル技術の進展により、ニュースプラットフォーム事業者及びニュースメディア事業者を取り巻く競争環境が更に変化していくことが見込まれるため、インターネットを介したニュースコンテンツの流通を含め、デジタル市場において、生成AI等が競争に与える影響について注視する。

 公正取引委員会は、「デジタル分野における市場の実態やデジタルプラットフォーム事業者との取引状況等についての情報提供窓口」を通じて、デジタル分野における市場の実態や、デジタルプラットフォーム事業者との取引状況等に関する情報の提供を引き続き受け付けておりますので、今後とも、事業者や消費者の皆様におかれましては、本調査で指摘を行った課題を含め、幅広い情報提供をお願い申し上げます。

関連ファイル

(印刷用)(令和5年9月21日)ニュースコンテンツ配信分野に関する実態調査報告書についてpdfダウンロード(108 KB)

報告書本体pdfダウンロード(7,685 KB)

報告書別紙1pdfダウンロード(1,224 KB)

報告書別紙2pdfダウンロード(842 KB)

報告書概要pdfダウンロード(2,254 KB)

 

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問い合わせ先

公正取引委員会事務総局経済取引局総務課 デジタル市場企画調査室 実態調査担当
電話 03-3581-1889(直通)
ホームページ  https://www.jftc.go.jp/

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