文化審議会著作権分科会政策小委員会(第3回)

日時:令和6年1月23日(火)

14:00~16:00

場所:文部科学省東館3F1特別会議室

(オンライン併用)

議事

1開会

2議事

  • (1)DX時代における適切な対価還元についての関係者からのヒアリング

    (日本レコード協会/日本芸能実演家団体協議会)

  • (2)その他

3閉会

配布資料

資料1
日本レコード協会提出資料(3.5MB)
資料2
日本芸能実演家団体協議会提出資料(1.6MB)
参考資料1
DX時代におけるクリエイターへの適切な対価還元方策に係る現状、課題、論点(案)(485KB)
参考資料2
DX時代におけるクリエイターへの適切な対価還元方策に係る現状、課題、論点(案)関係資料(3.5MB)

議事内容

【太田主査】ただいまから文化審議会著作権分科会政策小委員会(第3回)を開催いたします。本日は御多忙の中御出席くださいまして、ありがとうございます。本日は委員の皆様には会議室とオンラインにて、それぞれ御出席いただいております。オンラインにて御参加されている皆様におかれましては、ビデオをオンにしていただき、御発言されるとき以外は音声はミュートに設定をお願いいたします。

議事に入る前に、本日の会議の公開につきましては、予定されております議事内容を参照いたしますと、特段非公開とするには及ばないと思われます。既に傍聴者の方には、インターネットを通じた生配信によって傍聴していただいているところでございますが、特に御異議はございませんでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【太田主査】では、本日の議事は公開ということで、傍聴者の方々にはそのまま傍聴いただくことといたします。

それでは、まず事務局より配付資料の確認をお願いいたします。

【白井著作権課専門官】配付資料でございますが、議事次第にありますとおり、資料1は、ヒアリングに関する資料として日本レコード協会から御提出いただいた資料でございます。資料2ですが、ヒアリングに関する資料として、日本芸能実演家団体協議会から提出いただいた資料でございます。参考資料1ですが、第1回の政策小委員会で確認された論点が掲載された資料を再掲しております。参考資料2ですが、こちらは第2回の意見交換でも話題に出ましたDMAに関する資料などを追加したものとして更新しております。

以上です。

【太田主査】どうもありがとうございました。

では、議事に入りたいと思います。本日の議事は、議事次第のとおり、(1)から(2)の2点となります。

では、早速議事(1)の「DX時代における適切な対価還元についての関係者からのヒアリング」に入りたいと思います。本日は、日本レコード協会、日本芸能実演家団体協議会より、DX時代における適切な対価還元について、第1回で確認した論点に沿って、それぞれ御発表いただきます。

それでは、初めに資料1に基づきまして、日本レコード協会より御発表いただきます。御説明は、日本レコード協会専務理事であられる畑陽一郎委員にお願いいたします。それでは、どうぞよろしくお願いいたします。

【畑委員】ご紹介いただきました日本レコード協会の畑でございます。今日はこのような発表の機会をいただき、ありがとうございます。早速ですが、第1回で整理された論点に従いまして、当協会の意見を述べさせていただきます。内容の都合によりまして、論点は適宜順番の入替え等がございますのでご了解ください。

まず、振り返りということで、レコードについて、著作隣接権に関するDSPと権利者の契約関係について振り返ってみたいと思います。これは2022年の第9回基本政策小委員会の資料でございますが、まず、このページはサブスクリプションサービスについて記載されております。著作権の場合は、前回この会議で説明がありましたとおり、JASRACさんのような著作権等管理事業者が包括的にライセンスしますけれども、レコードの場合、レコード各社の戦略や考え方の違い等によりまして、団体による集中管理は行っておりません。全て各社の個別ライセンスになっております。その場合、レコード製作者の権利だけではなく、通常はレコード会社が当該実演家の権利も併せて、窓口となってライセンスするというのが通常のオペレーションになっております。レコード会社は、DSPから契約に従って使用料を受領し、そこからアーティスト印税を実演家に支払うというのが通常のスタイルです。この図では、全てのケースが実演家専属契約という説明になっておりますが、通常はレコードに固定された実演に関する実演家の権利は専属契約によりレコード会社に譲渡されます。しかし、それが全てではなく、中にはワンショット契約というケースもありますので、権利が譲渡されない場合もあり得ます。でも、レコード会社が窓口になっているケースがほとんどということでご理解いただければと思います。

一方、ユーザーアップロード型の契約構造ですが、代表的なのはユーチューブになろうかと思います。この図では、先ほどのサブスク型と似たようなライセンス契約になっているように見えますが、実際にはレコード会社とDSPの契約関係は大きく異なっております。一般的に海外では、ユーザーアップロード型DSPというのは、著作物等の利用主体、つまり送信可能化の主体ではなくて、利用主体というのはあくまでも発信者・アップローダーであると。DSPは場の提供者であるとされ、権利者から通知を受けた侵害コンテンツを削除すれば賠償責任は負わないとされております。この点、日本における判例や裁判例におきましては、利用主体性というのは管理支配性やその他の事情を総合考慮して、サービスごとに個別判断されていますが、一般的にユーチューブは利用主体とはみなされないという点につきましては、国内外とも共通認識かなと思っております。

ユーチューブの歴史を例に取りますと、ユーザーアップロードによる権利侵害問題への対策として、まずはコンテンツを特定して公開をブロックする、その目的のために「コンテンツID」というシステムが導入されて、その利用に関しては、多くの権利者が違法対策の負担軽減のために契約をしました。コンテンツIDのオペレーションというのは、レコードについてはレコード会社が行うのが通常でございます。その後、コンテンツIDで特定したコンテンツを今度はマネタイズできるというオプションが導入されて、それを選択すれば権利者が広告収入の一定取り分を受領できるという契約が別途ございまして、それが運用されているのが今の状況でございます。

これら契約というのは違法対策の負担軽減、あるいは収益化のための必要条件と言っても過言ではなく、したがいまして、第1回の論点ペーパーでも整理されていたとおり、これらの契約を締結するインセンティブや必要性は圧倒的に権利者側に偏在していると言ってもいいのかなと。そういった面では、少し公平性を欠く環境になっていると言わざるを得ません。したがいまして、サブスク型のようなレコード会社が保有するレパートリーを包括ライセンスするという契約とはかなり種類の違うものであるとご理解をいただければと思います。

そこで、EUのDSM著作権指令第17条ですが、そのようなアンバランスな状況を踏まえ、アップロードユーザーによる違法行為に関するDSPの法的責任を明確化して、権利者とDSP間のライセンス環境を改善する、そういう目的の下に導入されたと理解をしております。一般的には、先に述べましたとおり、DSPは場の提供者ということでありますが、EUのDSM第17条1項はその規範を変えて、ユーザーがアップロードした著作物等へのアクセスをDSPが公衆に提供する場合には、DSPが公衆伝達・送信可能化を行ったものとすると。よって、当該DSPは原則的には契約を締結するなどして、権利者の許諾を得る必要があるという規定が導入されています。

ただし、権利者から許諾が得られないような事情がある場合、DSM第17条4項に規定されたノーティス・アンド・ステイダウン、あるいはアップロードフィルターを導入すれば免責要件となることが規定をされております。ノーティス・アンド・ステイダウンは、権利者の通知に基づいてDSPが侵害コンテンツを削除し、削除した当該著作物が将来にわたってアップロードされないようにする措置でございます。つまり、同一コンテンツが繰り返しアップロードされないようにする措置と言えます。また、アップロードフィルターは、権利者がDSPに情報提供した特定のコンテンツ等が当該サービス上で確実に利用できないようにする措置です。これらはいずれも日本法では未導入になっております。

では、ユーザーアップロード型サービスにおいて、どのぐらい同一コンテンツが繰り返しアップロードされているのかという実態を当協会の定量的データで見たいと思います。日本レコード協会は2013年から違法対策の専任組織「CPPC」を設置しまして、会員レコード会社と連携しながら、ユーザーアップロード型を含むDSPに削除要請を行ってきております。今、直近3年間の削除要請件数の推移をご覧いただいております。大体年に20万件前後というところでございます。かつては、グリーンのユーチューブが圧倒的に多く、ユーチューブだけで年間80万件ぐらいやっていた時期もありましたが、コンテンツIDの普及等によって減少し、代わりに中国のbilibiliというサイトが今一番多くなっている状況です。当協会のデータのうち、まずユーチューブで繰り返し同一楽曲がアップロードされているケースがこれでございます。これは、同一楽曲が複数回削除要請の対象になっているトップスリーの音源でございます。大体年で200件から300件というところです。月別の推移はそれほど重要ではないんですが、歌詞の内容の季節性とか、そういったことに応じて推移しています。注目すべきは、第3位が1984年発売の音源なんですけれども、こんなに古い音源でもまだ3位に上がってきており非常に長い間侵害にさらされている例かと思います。

一方、中国のbilibiliですが、ユーチューブに比べてほぼ10倍近く増えている感じですが、bilibiliについては、ユーチューブのようなコンテンツIDの仕組みがないので、そういった影響もあるのかなと思います。このように、bilibiliでは年2,000件前後のところがトップレベルの繰り返し回数です。権利者は侵害による不利益を被っているだけではなくて、レコード協会で音楽については集約的に作業をしておりますが、膨大な作業負荷とコスト負担をも権利者が負っている点をご理解いただければと思います。

そこで当協会の意見ですが、このような権利者とDSPの間に生じているひずみ、「ギャップ」を解消するために、まずはDSM著作権指令第17条1項を参考にして、ユーザーアップロード型DSPを著作物等の利用主体とする規定を導入し、ユーザーの行為に関するプロバイダー責任を明確化することをご検討いただきたいと思っております。それに加えて、ユーザーアップロード型DSPによるステイダウンやアップロードフィルター、同一コンテンツが繰り返しアップされることを回避するために、ステイダウン等の実施を検討いただくこと。DSM指令では、DSPが許諾を得られなかった場合の免責要件としてこれらを規定していますが、日本においてはどのような要件でこれら施策を実施するのが適当かという点を含めご検討いただければと考えております。

ただ、一番下に記載したとおり、EUでの検討においてはDSPに一般的監視義務を課さないことだったり、適法利用が誤って制限されないこと、そのような懸念が議論となったと理解しておりますので、この点、日本においても慎重な検討が必要かと思っております。

次のページですが、取引の透明性等について、これは先ほど申しましたユーザーアップロード型DSPを著作物等の利用主体とする規定の導入によって改善されるところが大きいと考えておりますので、説明は割愛いたします。

対価の妥当性、公平性、適切な競争環境などですが、まず対価の妥当性につきましては、何をもって妥当かという定義はなかなか難しいかなと。また、特にビッグプラットフォーマーというのは海外事業者でございますので、外国が条件の基準となる。そうすると、それを変えるということはなかなか難しいところがあるのかなと思います。

それから、権利管理ツール、例えばユーチューブのコンテンツIDですが、一定の評価をされているツールではありますが、コンテンツの特定に漏れがある場合も多々あると理解をしています。今、多くのレコード会社におきましては、コンテンツIDだけではなくて、別の商用サービスを併用して2次的なマッチングを行うことによって対価回収の網羅性を高めるオペレーションをしております。そうしないと対価還元に漏れが生じてしまうということですが、今多くのレコード会社でやっているオペレーションにかかるコストは権利者負担になりますので、その辺にもDSPとの関係に歪みがあるのかなと考えております。

もう1点、今度はサブスク型DSPですが、これは今回の検討の範囲外かもしれませんが、1つの課題としてここでご承知おきいただきたいと思ってご紹介します。サブスク型DSPですから正規サービスですが、中には紛れて違法音源が配信されるという実態がございます。通常サブスク型DSPで配信される音源というのは、レコード会社から直接DSPに供給される場合と配信向けの流通事業者、これは「アグリゲーター」と呼びますが、それに預ける場合とあります。特に小規模なレーベルや個人の場合は専ら流通事業者に預けるのが一般的でございまして、流通事業者に音源を登録し、デリバリーの委託をシステム的で行います。悪いことを考える人間がいた場合、レコード会社が権利を有する音源をあたかも自分が権利者のように偽って、正規のアーティスト名、音源のタイトルをもって登録し、デリバリーされてしまうことがあります。そうすると、DSPにそのような音源が入りますと、例えば特定アーティスト名でプレイリストを組むとマッチングしてその中に違法音源が紛れてしまう。再生されてしまうと分配が発生しますので、それは本来の権利者への分配を圧迫する、また、ユーザーにも迷惑をかけることになりかねない、そのような不当な利益を得ている輩がいます。

レコード協会も会員社からの要請に基づき、こういった音源の削除要請をDSPに要請しておりますけれども、直近6か月間ぐらいの例で300件以上の削除要請をやっています。こういったところは引き続き、DSPと権利者の協議、話合いで、何とかうまく解決策を模索しようとしているところですが、なかなか対応が難しいということがございます。こういった課題もご承知おきいただければと思います。

ここは飛ばさせていただきます。

最後のパートですが、DSM著作権指令の第18条、第19条関係について少し触れたいと思います。DSM指令の18条は「適正かつ比例的な報酬の原則」ということで、著作者及び実演家が排他的権利をライセンスまたは譲渡する場合に、著作者及び実演家が適正かつ比例的な報酬を受け取る権利を保証するという規定です。これはもちろんDSPに対しての規定でもありますが、かたや、実演家・著作者対レコード会社という意味合いもありまして、「もう一つのバリューギャップ」という言い方をされる場合もあります。

これに関して日本の状況はどうかということですが、基本はレコード会社はそれぞれの契約に従って適正な対価を支払っているといますので、特段日本において何らかの法制化は必要ないのではないかと考えております。特に実演家につきましては、時々印税率、パーセンテージが低いようななことを言われる場合がありますが、ただ、これは実演家または所属プロダクションとレコード会社との間の私契約の問題であって、一概には評価できない問題かなと思っております。レコード会社というのは、アーティストの発掘、育成、あるいは活動に対して多大な投資や金銭的支援をしております。例えばオーディションの開催、育成環境・育成費用の提供、コンサート運営資金の支援や活動の場を広げるための様々なメディアに対するお膳立て、仕込み、経済的支援を含めてそのような環境を整えているのがレコード会社の役割になります。その関係性において、アーティストまたは所属プロダクションとの間で印税率が決まるといった実態がありますので、なかなか一概に評価できないところかと思っております。

ヨーロッパにおきましても似たような議論がありまして、これは我々レコード業界の国際団体であるIFPI(国際レコード産業連盟)が作って公表している資料ですが、レコード会社が音楽制作、特にアーティストに対してどれだけ多くの経済的支援をしているかという調査に基づく推計資料でございます。2022年の年間数字として、グローバルのレコード会社トータルで年間約71億ドルがA&Rとマーケティングに投資されているという資料でございます。これが、全レコード会社売上げの約30%に相当すると言われております。ちなみに、A&Rとは「Artists and Repertoire」の略で、アーティスト印税の支払いとかレコード原盤制作費とか、そういった経費が含まれております。マーケティングにはプロモーションビデオの制作費とかコンサート支援金、広告宣伝費などが含まれておりまして、アーティストへの印税支払いも直近5年間で10%以上増加しているという数字があると聞いております。細かいところは資料の注記を見ていただければと思いますが、そんな形で、アーティスト印税も含め、いろんな形で音楽制作に対して環境整備、経済的支援を行っていることをご理解いただければと思います。

レコード協会の発表は以上でございます。

【太田主査】どうもありがとうございました。ただいまの御発表について御質問がございましたらお願いいたします。なお、御意見につきましては、日本芸能実演家団体協議会の御発表が終わった後にまとめて意見交換の時間を設けますので、その際によろしくお願いいたします。御質問等ございますでしょうか。

上野委員、どうぞ。

【上野主査代理】御報告ありがとうございました。大変勉強になりました。お話の中で、ユーザーアップロード型については、送信の主体はユーザーであって、プラットフォーマーではないという前提で今の契約を締結されているというお話があったかと思います。ただ、日本法の下でも解釈によっては、欧州指令17条みたいな規定がなくても、プラットフォーマーを送信主体と評価できるという見解もあり得るかと思います。しかし、現状の実務としては、あくまで送信主体であるユーザーが支払うべきライセンス料をプラットフォーマーが代わりに支払っているという、このような理解でよろしいでしょうか。これが1点目であります。

2点目は契約法のところで、適正な対価の確保についても、あるいは取引の透明性についても、実務上、もう既にデータの提供などは十分に行っているから、特段の法制化は不要だというお話であったと思います。だとしますと、仮に今後の立法によって、取引の透明性に関する義務が課されたとしても、現状の実務通りで、特段差し支えがあるわけではないと理解してもよろしいでしょうか。

【畑委員】ありがとうございます。1点目のユーザーアップロード型プラットフォーマーの主体性の問題ですが、上野委員ご指摘のとおり、一般的にはアップローダ―が利用主体ではございますが、いろんなケースにおいて、我々日本レコード協会が関係した日本における侵害事案においても、管理支配性その他の事情を考慮してサービス事業者が利用主体と判断された事案がございます。そのため、サービスごとにその辺の考え方は変わるところもございますが、特にユーチューブについてはプラットフォーマーが利用主体とは解釈されていないと思いますので、これをご質問のとおり「プラットフォーマーが代わりに払っている」という言い方がいいのかどうかというのはありますが、少なくとも動画に付く広告収入の取り分を権利者がいただくことによって、一定の解決をされていると理解をしております。

次のデータ提供の透明性の部分ですけれども、どのような方法でデータ提供しているかはともかく、どのような利用をされて、それに対して幾らレコード会社に支払いがあって、この契約に基づいて分配が幾らだよという、我々「ステートメント」と言っていますが、そういう資料の提供は実演家等になされております。立法がどのような規定ぶりになるかにもよりますが、基本はもう既にやっていることなので、何らかの法制化があったとしても、大きな影響はないのではないかと思っております。

【太田主査】ほかに御質問ございますでしょうか。

どうぞ、唐津委員。

【唐津委員】お話どうもありがとうございました。対価の支払いというところで、実演家に対しても既にアーティスト印税という形で対価が支払われているというお話だったんですけれども、私の理解のするところで、もちろんメインのアーティストはそういった形でアーティスト印税を頂くことが多いんですけれども、例えば音源をつくるときには様々な、スタジオミュージシャンと言われるような多くの実演家が実際には関与しているんですけれども、実際にアーティスト印税を受け取らない、その日来て日当的に幾らって頂いてそれきりという実演家が実際には多くいらっしゃるという理解をしているんですが、その辺りの実態と今後、その辺、変化といいますか、様々なレベルのアーティストが、一応皆さん対価を印税という形で受け取れるとか適正に受け取れるという方向で、何か業界として考えていらっしゃることはあるんでしょうか。

【畑委員】ここについては、今、業界として何かを検討しているという事実はありません。おっしゃるとおり、メインのフィーチャードアーティストについては印税という形になっており、その他の形もあり得ますが、基本は印税という契約になっていて、他方、バックで演奏されるバックミュージシャン、スタジオミュージシャンと言われる方々については、基本的には録音セッションに参加するギャラという形になっており、これは業界慣習的には「買取り」という形になっております。したがいまして、法律で決まっている報酬請求権ではない利用、つまり許諾権の活用、許諾権の行使という現場においては、フィーチャードアーティスト以外の権利は「買取り」という形態であり印税は払われないというのが長年の業界慣行になっております。ただ、演奏家もいろんなランクの方とか、いろんな立場の方がいらっしゃいますので、中にはもう違う形の契約もありますが、基本はそういう形になっているということです。

この辺は、国際的情勢も基本は同じ対応だと理解をしていますので、その辺の情勢を見ながら、業界内で見直すべきところがあれば、今後議論が生じてくるのかとは思っておりますが、今のところ、何か検討しておるということはございません。

【唐津委員】ありがとうございます。

【太田主査】よろしいでしょうか。ほかに御質問。

どうぞ、内山委員。

【内山委員】御発表ありがとうございました。瑣末な質問と少し思考実験的な質問をさせてもらいたいんですが、まず1つ目は、4ページ目で御提案されているところで、ステイダウンの話があります。制度論じゃなくて、純粋に技術論として、今ステイダウンは可能なのかどうか。あるいはそれを導入したとき、実際本当に有効にアップロードを排除できるかどうかというのが1つ目の質問になります。

それからもう一つ、試行実験的なところで、最後のIFPIのポンチ絵、このポンチ絵は恐らく権利者団体として(レコードレーベルとして)、アーティストの皆さんに向けたメッセージだと思うんですよね。ちょっと思考実験で、同じように、もしGAFA等のプラットフォームが同じような形で、「俺たち、こんなコストかかっているんだよ」というポンチ絵を出してきたときに、権利者団体の皆さんとしてはどうこれに反駁するのかなというところで思考実験的な質問をさせてもらえればと思いました。

以上でございます。

【畑委員】ステイダウンを実装するときに、技術的な手段としてどこまで有効性があるかという点につきまして、おそらく方法論としては、フィンガープリントを中心とした技術で構築することになろうかと思いますが、その意味では今回引き合いに出しましたユーチューブさんのコンテンツIDがステイダウンを実現しようとしている技術かなと思います。それについて、先ほど10ページにも記載しましたように、100%それが技術的にマッチングするかというと、決してそうではないと実態はあります。その理由というのは、実際にマッチングを試みる対象のクオリティーだったり、またはピッチが違うとか、いろんな加工がされているとか、そのような条件によってデータベースに当たらないケースがあります。今のところ、100%ヒットする技術はなかなか難しいのかなと思っていますが、とはいえ、やはり始めていかないと技術的にも洗練されていきませんので、まずはそういった技術評価も含めて検討を始めることが重要ではないかなと思います。

最終ページについて、例えばGAFAの方から、「いやいや、我々はこれだけ権利者に使用料を払っているんだよ」という主張が出たときにどう抗弁するかというのはなかなか難しい質問であります。確かにユーチューブさんはご自身の権利関連のレポート等で、「我々、今まで権利者にこんな大きな額を払っているんだよ」という説明をされていたのは記憶をしています。そこは、このDSM指令第18条を核にしたところでは我々と似た立場なのかもしれませんが、今、俄にコメントのしようがないところであります。

【太田主査】よろしいでしょうか。

渕委員、どうぞ。

【渕委員】今日は詳細な御説明をいただき、ありがとうございました。もしかしたら私が聞き逃してしまったのかもしれません。スライドの10ページ目のところ、「サブスク型DSPにおける課題」というところで、違法音源、なりすまし配信の問題について御説明くださったと思うのですが、下のほうに、違法音源によるなりすまし配信があると、権利者が本来得られるべきライセンス料を得られていないという趣旨の記述があると思います。それとは別に、「不利益を被り名誉を棄損される一方で」という表現がございまして、そこでは、金銭的な問題以外にも何か問題があるというように考えていらっしゃるということなのでしょうか。

【畑委員】ありがとうございます。幾つかのケースがございまして、実際アーティストの音源、レコード会社が権利を持っている音源が、正規権利者を騙って配信される、ここが完全に利益が衝突する違法行為ということですが、もう一つは、例えば、自分で作ったような音をアーティストの名前を騙って流通してしまうということもあるんです。そうすると、Aというアーティストだと思って聞いていた人は、「何だ?これは」みたいな状況になってしまうということもあります。それが不法行為によって生じているのか、そうではないのか、ユーザーにはなかなか分からない部分もございますので、「名誉毀損」という言い方が適当かどうかご意見はあるかもしれませんが、ユーザーに迷惑をかけることになりかねないという状況があるということです。

【渕委員】状況がよく分かりました。ありがとうございました。

【太田主査】では、生貝委員、どうぞ。

【生貝委員】大変貴重な御説明ありがとうございました。少し不勉強な御質問になってしまうかもしれないんですけれども、今回御説明の中で、やはりプラットフォーマーの側が個別にしっかりとライセンスを取ることの重要性を御指摘されていた。そうしたときに、ライセンスを大きく導入しようといったときに1つ重要なのは、取引コストが高くなり過ぎないことであろうといったときに、しばしば放送のときなどでも議論になっていたと認識はしているんですけれども、今、レコード協会さん等で原盤系の集中管理の状況はどのくらい進んでいるかということについて、もしよろしければ教えていただければと思います。

【畑委員】ありがとうございます。日本レコード協会が行っている集中管理につきましては大きく2つございまして、1つは法律上の報酬請求権、そこで規定される指定団体としてやっているもの、これは放送及び有線放送、それから貸レコード分野がございます。もう一つが許諾権の集中管理、放送の同時配信等ですね。令和3年著作権法改正の部分を含めて、同時配信・見逃し配信等の管理、それから、インターネット上の配信につきましては一斉同報型のウェブキャスティングの一部を集中管理しております。したがいまして、ユーザーアップロード型プラットフォーマーのようなオンデマンド型については、現状では放送番組の見直し配信以外は集中管理していないということになります。

サブスク型のストリーミングサービスのような形態、あるいはダウンロードのような形態については、ここは完全にレコード会社のビジネスということで集中管理の対象とはしていません。その他一部、教育・文化系催事の複製権の集中管理というのがあります。

【生貝委員】ありがとうございます。

【太田主査】よろしいでしょうか。

伊東委員、どうぞ。

【伊東委員】貴重な御発表ありがとうございました。先ほど内山委員から質問があった最後のポンチ絵のところで、1つ気になったのが、例えばユーチューブでコンテンツIDを駆使されているとはいえ、違法動画がいっぱいアップされていて、違法動画で広告が表示されると、アップした人間にも、当然ユーチューブにも収益が発生しています。違法動画によってユーチューブがもうけているという構造がずっとあるわけで、それに関しては多分まだ解決はしてないと思うんですけれども、金額がそんなに大きくないからいいやと割り切っていらっしゃるのか、業界としてユーチューブ側に申入れしているとか、そこら辺の動きはあったりするんでしょうか。

【畑委員】なかなかお答えが難しいところではありますが、違法動画でプラットフォーマーも儲けており、アップした人間も儲けており、コンテンツIDのマネタイズによって、権利者も広告収入の取り分をもらうことによって、言い方が適切かどうかですが、1つ解決されている部分があるということです。では、突き詰めて違法動画問題が解決されたのかというと、それは必ずしもそうではないと。例えば、コンテンツIDでマネタイズを選択していても、さすがにこの内容の動画での利用はアーティストとしては看過できないといった場合には当該動画を削除しておりますし、そこは先ほど申しましたとおり、違法対策に関する負担というのは権利者側にかかってきますので、根本的な権利侵害問題というのが一連の対応によって解決されたとは言い難い部分があります。ただ、かなりのビッグプラットフォーマーですから、そこから支払われる広告収入の取り分も金額として決して小さくはないといったことで、こんな言い方になって申し訳ありませんが、一応それで収まっているということと理解しています。

【太田主査】よろしいでしょうか。

【伊東委員】ありがとうございます。

【太田主査】ほかにございますでしょうか。

今村委員、よろしくお願いします。

【今村委員】大変貴重な御説明、どうもありがとうございました。私は、5ページ目のユーザーアップロード型DSPなどに対して行う削除要請の実績について2点ほどお伺いしたいと思います。1点目ですが、ユーチューブについては、コンテンツIDとマネタイズの仕組みの導入により、レコードについては一定の収益化が図られてきて、ユーザーアップロードによる収入がユーチューブでは非常に多いのだと思います。けれども、ユーチューブ以外について、コンテンツIDとマネタイズに関しては、ユーチューブ側が技術についての権利は持っているんでしょうから、なかなか他のDSPが導入するのが難しいという部分もひょっとしたらあるのかもしれませんが、他のDSPが、基本的にはユーチューブが導入しているような仕組みについて、まだそれを導入しているところはないという理解で基本的によろしいのかというのが1点目です。

もう一つは、CPPCの設置によって削除要請件数については、非常に大きな取組がなされて、毎年とても大きな数があるんだと思うんです。ただ、これは氷山の一角というか、本当はコストをかければもっと削除要請が可能であり、数が確かにあるんだけれども、様々なコスト、あるいは時間などの制約によりこの数にとどまっているのか、あるいは、おおむねこういった、特にユーチューブはそうなのかもしれませんけれども、そして、他のサイトはそうじゃないという予測も立つんですが、本来削除要請するべきところまでは全て網羅的にできているわけじゃなくて、まだまだ削除要請について、こういう実績を積み重ねて拡大していく余地があるのかどうか、この2点についてお分かりの範囲でお答えいただければ幸いです。

【畑委員】ありがとうございます。まず、ユーチューブさんのコンテンツIDのようなシステムを他のユーザーアップロード型DSPが採用しているのかどうかという点につきましては、コンテンツIDのように、コンテンツを特定して、それをブロックまたはマネタイズするといった方式ではありませんが、多少の権利管理ツールというか、どんなコンテンツが利用されたかを特定するようなツールを導入されているDSPはあります。ただ、コンテンツIDほどダイナミックな仕組みはまだ、例えばTikTokさんとかMetaさんとかでは、まだそこまでのダイナミックなツールではないと理解をしております。その辺は、サービスの性質やサービス規模等、異なる環境においてどこまでの開発をしていくのか今後決まってくるではないかと思っております。

2つ目が、違法対策ですけれども、CPPCの活動によって世の中にある違法、侵害ファイルを取り切っていることはまずありません。当然ながら、探索の範囲は対コストとの見合いで限られますし、なかなか一通りの技術で探索するだけでは侵害ファイルを取れ切れないといったケースもあります。そういう面では、違法アップロードは手を替え品を替え行われますので、これもいたちごっこではありますが、やはり違法対策はやり続けないとさらに状況がひどくなることが容易に想定されますので、コスト見合いの中で、なるべく効果が上がるような方法をもって削除要請を継続しているのが現状でございます。その中で、中国サイトについては、やはり削除要請したときに応じてくれないという問題が一番手間がかかり、苦労するところが多いです。

以上です。

【太田主査】よろしいでしょうか。ほかに御質問ございますでしょうか。ありがとうございました。

それでは、次に、資料2に基づき、日本芸能実演家団体協議会様より御発表いただきます。御登壇いただきますのは、芸団協法制広報部法制広報課係長の穎川一仁様でございます。それでは、よろしくお願いいたします。

【CPRA(穎川氏)】今御紹介いただきました穎川でございます。冒頭申し上げますけれども、本日、当団体の常務の椎名から発表する予定でしたが、体調不良のため、急遽私から発表させていただきますので、どうか御容赦ください。それでは、早速発表に移らせていただきたいと思います。

スライドの2ページを御覧ください。まず、ユーザーアップロード型デジタルプラットフォームと権利者の間に生じているバリューギャップ問題についてです。この問題が生じているのは、私ども、大きく2つの原因によるものだと考えております。第1に、DPFの利用主体としての責任が不明確であることです。御承知のとおり、ユーザーアップロード型DPFにおいては、たくさんの音楽コンテンツが利用されています。そして、先ほども質疑応答の中で議論がございましたけれども、そこからDPFが収益を得ているにもかかわらず、当該DPFが利用主体として権利処理を行う責任が明確ではないことから、実演家への対価還元がなされない場合が生じているものと理解しております。

次に、交渉力が著しく不均衡であることです。これは、前回御発表されたJASRAC様ですとかNexTone様のような集中管理団体がDPFとの交渉に当たる場合はさほど大きな問題となっていないようですが、個々の権利者が、いざユーチューブのようなDPFと交渉しようとしても、パワーバランスがあまりにも偏っていて、対等な交渉などできようもございません。ですので、前述の利用主体としての責任がそもそも明確でないということと相まって、実演家への適切な対価還元がなされない場合が生じております。

次のスライドにお進みください。それでは、どのように問題解決に向けて取り組むべきかということについてお話しさせていただきます。まず、利用主体としての責任の問題についてです。これは、先ほどレコード協会様から同様の御指摘があったように思いますが、DSM著作権指令17条等を参考にしながら、ユーザーアップロード型DPFを原則として著作物等の利用主体とみなすことで、権利処理を行う責任を強化する措置を講じるべきであると考えます。権利処理の責任が強化されることによって、初めてDPFがサービスの中で利用されるコンテンツについて、適切な権利処理を行うインセンティブが発生して、その関係で権利管理ツールなどの導入とか改善といったことも含めて、より積極的に権利処理に取り組んでいくことになろうかと思います。その結果として、クリエーターへの適切な対価還元の実現が期待できるものと我々は考えております。

このスライドの下段に図を示しております。釈迦に説法で大変恐縮なのですけれども、サブスクリプション型やダウンロード型のDPFの場合、提供するサービスにおいて利用されるコンテンツは、当然のことではありますが、事前に全て権利処理をする必要がございます。したがって、基本的にクリエーターに対価が支払われずに、勝手に利用されるというようなことは生じません。

一方で、ユーザーアップロード型DPFにおいては、御承知のとおり、権利者から削除申請を受けたら削除するといったような所定の対応さえしていれば、提供するサービスにおいて利用されるコンテンツについて、必ずしも権利処理をする必要はございません。したがいまして、利用されているコンテンツの中には、しっかりと権利処理されたものもあれば、コンテンツに係る一部の権利だけが処理された状態のものや、一切権利処理がされないままのものも生じることになります。それにもかかわらず、DPFはこれらの権利処理されていないコンテンツも含めて、その利用から生じる利益を収受している状況にございます。これはやはり、クリエーターへの適切な対価還元の観点から見て見直しが必要なのではないかと我々は考えます。

スライド4ページにお進みください。次に2点目の原因の話でございますけれども、交渉力の著しい不均衡が生じているという問題についてです。交渉力の著しい不均衡が生じている以上、ただ当事者間での契約交渉に任せるということでは公平な競争が期待できません。したがって、権利者側の交渉力を高める工夫が必要になるものと思います。例えば、以下の2つのアプローチがあり得ると思います。まず、集中管理するということでございます。権利者から委託を受けた集中管理団体が、しっかりとDPFと交渉した上で許諾契約等を締結し、徴収、分配を行うというモデルを想定しております。これは、権利者からすれば、個々でDPFと向き合うというよりも、交渉力が高められるというメリットがございますし、DPF側からしても、個々の権利処理をするということに比べて、権利処理を効果的かつ円滑に行えるというメリットがあろうかと思います。このアプローチの有効性については、前回の本小委員会において、集中管理団体であるJASRAC様やNexTone様から、おおむね適正な徴収、分配ができているというようなお話があったことからも明らかであろうと思います。

もう一つの例としては、業界団体との協定等を活用するというものでございます。利用条件等について、それぞれの分野の業界団体がDPF等と話し合った上で協定等を締結し、それに基づいて実際の契約条件が、改善されていくということを含めて見直されていくことで、結果的に個々の権利者がDPFと向き合うことに比べると交渉力が高まる効果が見込めます。このスキーム、少しイメージがつきにくいかもしれませんが、似たような例が実は私どもの業界でございますので、少しお話しさせていただきます。NHKとのリピート報酬の話なのですけれども、NHKが放送番組をリピート放送、いわゆる再放送する場合に、著作権法第93条の2第2項に定める実演家への報酬を支払う必要がございます。法律上は幾らだというようなことは当然書いてないわけなのですけれども、この具体的な条件について、もともとは、私が所属している団体でございますけれども、芸団協とNHKが条件等を定めた協定を締結して、それに基づいてNHK様のほうで、個々の実演家にその報酬を支払うというような運用を行っている実例がございます。現在は芸団協ではなくて、当事者はaRmaという映像実演の集中管理を行っている団体が担っておりますけれども、うまくいった例といいましょうか、機能した例としてはそういうようなことが既にございます。

このモデルの場合には、業界団体自体が権利処理を行うということではございませんから、先ほどの集中管理の例で申し上げたような権利処理の円滑化は期待できませんが、交渉力を高めるという観点からすれば、1つ有効なのではないかと思います。

「もう一つのバリューギャップ問題について」ということでお話をさせていただきます。レコード、いわゆる音源ですね、こちらに収録された実演にかかる権利は、先ほども幾つかお話がありましたけれども、多くの場合はレコード会社とアーティスト側との専属契約等において、実演にかかる権利はレコード会社側に譲渡されておりまして、メインの実演家のみが印税、基本的に1から3%程度なのですけれども、この支払いを受けるにとどまります。この構造というのは全体的な音楽ビジネスのそもそもの前提になる契約関係というか、前提でございますので、ユーザーアップロード型DPFにおける利用においても同様でございまして、DPFから実演に係る権利者としての立場も含めてレコード会社に使用料が支払われた後、レコード会社から契約に基づく印税がメインの実演家のみに支払われるということになります。

ここで言う印税率については、先ほど申し上げた基本料率の1から3%がそのまま適用されるようなケースもあれば、それとは別の料率が契約上設定されていて、この場合、大体10%程度が多いようなのですけれども、そういったものが適用されて支払われるケースもあるようです。したがって、このような構造、前提がございますので、DPFにおける音楽の利用から実演家への適切な対価還元を実現するためには、権利を譲渡等した場合においても、実演家が適切な報酬を受け取れる環境の整備が必要であると我々は考えております。今、文章上の説明ばかりしてしまったのですけれども、少し飛んでしまいますが、スライドの7ページを御覧いただけますか。こちら、今御説明したことを図で改めてお示ししていますので、先に御説明をしたいと思います。

ここでは、いわゆる動画の再生単価というものを、1再生当たり0.06円、レコード会社との契約における印税率を10%、バンドだったとしたときに、バンドのメンバーが4人だったということを前提としております。この前提において、動画が、ユーザーアップロード型DPF、ユーチューブのようなところで、ヒットして100万回再生されましたと。こういう場合にどのような対価の還元の流れが生じるのかということを図にしております。100万回ということですから、これに再生単価の0.06円を掛けますと、6万円の使用料が発生することになります。こちらが、DPFからレコード会社に支払われます。

次に、レコード会社は受け取った使用料を、契約に定める印税率に従って実演家側に支払うことになるのですけれども、ここでは印税率10%ということで設定しましたので、そうすると6万円に印税率の10%を掛けて6,000円ということになりますが、実演家側がバンドのような形でメンバーが複数いるというような場合には、これを頭数で等分するということになりますので、この場合、4人だということであれば、6,000円を4人で割るということで1,500円になります。ここではちょっと高めといいましょうか、印税率を10%で計算しましたが、実務上は様々な料率があって、例えば前述のように、基本料率の1%から3%がそのまま適用されるようなケースもございます。ですので、例えば、そもそも10%じゃなくて印税率が3%だというケースの場合には、この試算でいくと1人当たり450円ということになります。100万回再生されたときに、このような対価還元になるという実態がございますので、ユーチューブのようなユーザーアップロード型DPFでの音楽視聴がトップを占める今日において、我々実演家にとって、バリューギャップと同様に、もう一つのバリューギャップについても解決すべき重要な課題となっております。

それでは、1枚お戻りいただいて、スライド6ページを御覧ください。それでは、この問題を解決するためにどのような取組が考えられるのかということについて説明をいたします。

まず1つは、当事者間での公平な競争環境を整えるというアプローチでございます。当事者がより対等な立場で交渉できるようにすれば、契約条件もおのずと公平なものになっていくということが期待できると思います。この点、DSM著作権指令18条のように、権利譲渡等をした場合にも適正かつ比例的な報酬を受け取れるようなことを制度上保障していくということや、19条のように、相手方から適切な情報開示を受けられるようにするということは有効な手法として大いに参考になるのではないかと考えます。

このような著作者契約法的なアプローチがよろしいのではないかということを申し上げたときに、いやいや、日本では、そういう著作者契約法的なアプローチはなじまないんだというような御意見も散見されるところなのですけれども、私どもとしては、そんなことはないのではないかと考えております。といいますのは、日本においても、著作者契約法的なアプローチの成功例があると認識しているからであります。口頭になってしまいますけれども、具体的に申し上げますと、著作権法の第64条の第4項の規定なのですけれども、ここの規定では、まず著作物の規定ですけれども、趣旨としては、著作物の放送についての許諾には録音・録画の許諾は含まないというようなことが書いてございます。ただ、放送という行為と録音・録画という行為、当然違う行為ですから、一見すごく当たり前のことが書いてある条文に見えると思うのですけれども、実際にそういうふうに規定がされております。

それでは、何でそんな規定が置かれているのかということについて、加戸逐条講義を読みますと、要するに生放送ばかりではないような状況、すなわち事前に録音・録画するような放送番組が多い中で、放送局のような強い事業者といいましょうか、そことの相対で、経済的な弱者である著作権者がしっかりと録音・録画権の行使ができるようにするためにこのような規定を置いたのだと説明がされております。この規定、実演家にも準用されておりまして、実演家の場合、録音・録画の許諾をした場合、いわゆるワンチャンス主義と呼ばれる考え方で、映像に収録されるときに録音・録画の許諾を一旦してしまうと、原則としてその後の2次利用について権利が及ばなくなってしまうということがございます。ですので、実演家にとっては64条4項のこの規定はとりわけ重要な意味を持っております。要するに、出演したときに放送の許諾に伴って録音・録画も許諾したことになってしまうと、その後、権利が一切ないという扱いになってしまうわけですから、非常に重要な意味を持っているということです。ある意味、この規定があったおかげで、今日においても放送番組の2次利用については、ワンチャンスということではなくて、2次利用を行う際にはしっかりと別途権利行使がされる。先ほどちょっと出てきたaRmaという団体が集中管理していますけれども、しっかりと権利行使がされて、結果として実演家に適正な対価が還元されるということが今も続いております。このような成功例もございますので、日本においても、著作者契約法的なアプローチについてもぜひ前向きに御検討いただきたいと私ども、思う次第でございます。

2つ目ですけれども、2つ目は、実演家に譲渡等できない報酬請求権を付与するというアプローチでございます。これは、既にスペイン等で導入されているものなのですけれども、オンデマンド利用に関して、実演家にレコード会社等に、要するに、ほかの人に基本的には譲渡できないという形の報酬請求権を与えて、これを実際には実演家の集中管理団体が行使するというモデルであります。この場合、実演家自体に報酬請求権が残ることになりますので、実演家側は直接利用者から報酬を受領することができるという点で実効性が高いということで、ヨーロッパの実演家組織などはこのアプローチを推奨しているところであります。

ということでございまして、当委員会におかれましても、もう一つのバリューギャップ問題についても、解決に向けた検討に併せて取り組んでいただきたいと私ども考えております。御清聴ありがとうございました。

【太田主査】どうもありがとうございました。ただいまの御説明を踏まえ、御質問がございましたらお願いいたします。

坂井委員、お願いいたします。

【坂井委員】御説明ありがとうございました。頂いた資料の中の2ページ目、バリューギャップ問題について2つありますと。1個が利用主体としての責任が不明確、もう1個が交渉力が著しく不均衡であるとあるんですけれども、これ、具体的な数値としては難しいかもしれないのでイメージで構わないんですが、仮に本来受け取るべき収入が100あったとしたときに、今どれくらいしか受け取れてなくて、マル1、マル2というのが解決することで、それぞれどのくらいずつもらえる量が増えていくのかをお伺いしたいのが1点と、マル2の交渉力が著しく不均衡であるというのに対して問題解決策を御提示いただいたと思うんですけれども、芸団協さんの組織率ってどのくらいあるか分からないんですけれども、組織外の方というのは、これは具体的にメリットは得られるのか、あるいはそれはあまりメリットとしては得られないのか、そこの2点を教えていただければと思います。

【CPRA(穎川氏)】御質問ありがとうございます。1点目の御質問について、増える具体的なイメージということで、大変申し訳ないのですけれども、具体的にこれぐらい増えるぞ、みたいな試算を私どもしているわけではございません。ただ、総体の話として、そもそも権利処理する必要がないような、言葉が難しいですけど、ある意味代わりにやってあげているよという状態で交渉する場合と、そもそも自分のサービスをする上でしっかり権利処理しなきゃままならないと。基本的な責任が強化されている状態で交渉するときに、それは一般論として、後者の方が権利者側にとっての利益は総体的に増えるということは確実に言えるだろうということで、このような主張をしております。具体的にこれぐらい増えるぞというところまで試算として持っているわけではございません。

2点目のところ、最後までしっかり聞き取れなかったのですけど、申し上げますと、私ども芸団協、様々な芸能分野、日本全国様々な団体が集まっていて、また、集中管理においては、委託、委任という形で権利を集めていて、現在、実演家からの委任件数としては10万人を超えている状況であります。ただ、組織率、ほかの場でもよく聞かれるのですけれども、分母をどう置くかによって組織率は変わるため、なかなか難しく、何%だということは一概には言えないんですけれども、ただ基本的に、少し細かい話になってしまうかもしれませんけれども、そもそも、先ほど畑様から集中管理を既にやっている分野として指定団体、例えば放送でレコードが使われたよとか貸しレコードで使われたよといったお話があったと思いますが、そこの話について、制度上、指定団体という仕組みがあって、文化庁長官が指定した団体を通してしか、実演家の権利を権利行使できないよという仕組みがあります関係上、皆様、活動して、しっかり権利を行使しようという意識がある方は必然的に指定団体に委任をしていくという流れがありまして、ですので、私どもも10万人に至ったというのは、ずっと昔の話じゃなくて、委任者がそうやって増えていく中で、やっと10万人を超えるに至ったというような流れでございます。そういう意味では、ある程度組織率が構造上高くなる状況にはあるのかなと考えております。

そもそもの質問を全部聞き取れておりませんで、もう一度聞いてもよろしいでしょうか。申し訳ございません。

【坂井委員】失礼いたしました。組織外の方というんですかね、その方はマル2の施策が取られたときは、具体的なメリットは得られると思っていいんでしょうか。それとも、参考にはなるかもしれないけれど、あまり関係ないよという話なんでしょうか。

【CPRA(穎川氏)】ありがとうございます。今理解をいたしました。それはやり方次第でいろいろあるとは思います。少なくとも交渉力の著しい不均衡な状態にあるときに、集中管理の場合は、そもそも委託者か委託者じゃないかということで決まってしまいますけれども、マル2の業界団体との協定等のアプローチに関して言いますと、先ほど私、口頭ではございますけれども、NHKのリピート報酬の例を紹介いたしました。この例を参照しながら申し上げるのであれば、必ずしも芸団協の所属だとかということじゃなくても、一種の業界水準として、これが報酬の基準を考えるときに事実上使われているというようなことがございます。その意味で言うと、今の御質問との関係で言うと、所属外であったとしても結果的にはメリットが得られるということは、やり方によっては期待できるのではないかなと考えます。

【坂井委員】分かりました。ありがとうございます。

【太田主査】よろしいでしょうか。ほかに質問等ございましたらお受けしたいと思います。

菅委員、お願いいたします。

【菅委員】ありがとうございます。耳新しいことをたくさん教えていただいて感謝しております。とても初歩的な質問なのですが、7ページの図式がございます。これ、あまりにも少なくて、いわゆる実演家に入る料金が少なくてびっくりしたんですが、一応こういう例として出されているということは、こういうこともあるんだろうなと理解しました。質問としては、ユーチューブをはじめとしてDPFのほうでは、いろいろな広告形態がありますよね、マストヘッドとかバンパーとか。1動画についてたくさん広告がついているんですけれども、今、1再生掛ける6%と試算されていますが、これは広告のつき具合によって変動する数字なのでしょうかというのが質問の1つ目です。

もう一つは、実演家、メインアーティスト、先ほどフィーチャードアーティストみたいな言い方もされましたけれども、それに対してこのぐらいしか入らないというのは、私としてはおかしい状況かとは思うんですけれども、これを上げていこうという方針で今頑張っておられると理解してよろしいでしょうか。この2点です。

【太田主査】頴川様、お願いいたします。

【CPRA(穎川氏)】御質問ありがとうございます。前者の御質問については、ここはあくまで前提として、1再生当たり大体0.06円ぐらいが相場だというようなことが巷で言われておりますので、取りあえずで充てていますけれども、恐らく実態としては、菅委員御指摘のように、ジャンルだとかいろんな状況によってこの単価は、ないしはチャンネル登録者とか、いろいろな状況で変わってくるものだろうとは思います。ただ一般的には、押しなべて言えば、これぐらいが水準だということだったので使わせていただいたということであります。

再生単価の話はそうですけど、印税率とかメンバー数ということのルール自体は、実務上は、業界の中では割と当然の条件の中でここは試算しているのですけれども、そういう意味では、実演家の立場としては、こういった対価還元の額について増やしていきたいということなのかという問いに関して言えば、やはり私どもの立場としては、そうでありますというお答えになろうかと思います。

ただ、多分大きく2つあると思いまして、そもそも大前提として、この小委員会でもクリエーターの対価還元が取り上げられていることからも分かるように、クリエーションサイクルを回していく上で、担い手に対しての還元が大事だよということは共通のゴールとしてあろうかと思います。その上で、当然実演家も担い手であるという立場でございますので、そこにしっかり増やしていくというか、還元していくことが大事だと我々は考えていて、その中では、ここの図で示したかったのは、要するに、2つ改善の要素があるのではないかということです。1つはそもそも、ユーザーアップロード型DPFから払われている報酬自体をより実りある形にしていくという要素、バリューギャップの問題ですね、の話が1つありましょうし、もう一つは、権利の譲渡等の契約実態等の関係上、権利者から実演家、アーティストに払われるところについても、両者が適正だと思われるような水準でしっかりやっていくことが大事だろうし、そういう取組を重ねた結果として対価還元が増えていったらいいなと願っているということでございます。

【菅委員】ありがとうございました。

【太田主査】ありがとうございます。ほかに御質問等ございますか。

内山委員、どうぞ。

【内山委員】どうもありがとうございました。私の質問、4ページ目の交渉力を上げるという部分のお話でして、前回のJASRACさん、NexToneさんのときも気にはなっていましたけれども、先に例マル2からお伺いしますけど、先ほど、対NHKという例示でお話しされていたんですが、じゃ、これ、GAFAだったらどうでしょうかというのが1つです。いろんな考え方ができると思っていて、日本という特殊な文化圏のところで、芸団協さん、あるいはaRmaさんが1つデファクトになっているので、そこで十分交渉力があるよという見方もできるでしょうし、やっぱり相手はグローバルプラットフォーマーなので、そこの交渉力はイーブンじゃないよねと言える面もあるかな。どっちのほうが強いのかなというのが1つあるところで、その辺り、肌感覚みたいのを教えてもらえればというのがあります。

それから、左側のマル1のほうですけれども、確かに集中管理を進めましょうというのは、いろんな場面で出てくるロジックなんですけれども、実際aRmaさんもそういう意味では、例えば行方不明権利者の探索だとか、あるいは、令和3年の著作権法改正も出ましたけれども、行方不明権利者の報酬を預かってというあの話、この辺りに対してもある意味では、これを積極的にやるのであれば、その辺りも一緒にやってほしいなという思いも正直あるといえばあるんですけれども、その辺りをどうお考えなのかなというところでお話を伺えればと思います。

【CPRA(穎川氏)】御質問ありがとうございます。まず前者のほう、要するに、実際ユーザーアップロード型DPFというものを想定したときに、GAFAだぞというところでイーブンなのかという御質問だったかと存じますけれども、正直そう言われてしまうと、私どもはGAFAと渡り合えますということをここで申し上げることはなかなか難しいです。けれども、申し上げたかったのは、少なくとも個々の権利者として向き合うよりは、マクロな話ばかり申し上げていて恐縮なんですけれども、総体としては改善されるだろうということがまず1点。

それから、そもそもですけれども、私が本日一番伝えたかったところとしては、そもそも協定を結ばなきゃというインセンティブというか、そういう思いがDPF側に生じる状態に、恐らく現在はそもそもないのではないかということです。というのは、この前の、そもそも利用主体の問題がございますから。だから、逆にそこら辺がもうちょっと強化されることによって、DPF側もちゃんと業界団体と話したりして水準をつくらなきゃという動きが生まれ得るのかなと。ですから、イーブンかどうかというところは正直難しいかもしれませんが、業界団体との協定みたいな枠組みが機能し得るかというのは、マル1の問題とセットで状況が変わってくるのかなと考えております。

もう1点、集中管理を模索するのであれば、不明者等の問題もということについてまず、貴重な御意見として承りました。ありがとうございます。私の立場で、今こうだああだということまでは言えないのですけれども、ただ、取りあえず現時点で申し上げられる話としては、私ども、芸団協CPRA、集中管理を既にやっている分野はございまして、放送とかそれこそ同時配信とか貸しレコードとかいろいろありますけれども、常に集中管理率の向上というものは、集中管理団体としての使命だと考えておりまして、先ほども少し組織率の話が出ましたけれども、指定団体という構造もございますけれども、私どもとしても、逆に言うと指定団体制度がある中で権利の行使をしないと、実演家の方は使われているのに報酬を受け取れないことになってしまうこともございますので、権利者のためにも、権利者というか、実演家のためにもそれが本当に必要であるということで、日頃委任者を増やしていく努力はしていて、その結果、10万人を超えるようになってきたということでございますので、そういう観点からしますと、不明者というか、そもそも分かる状態をつくることについては現在も明確に取り組めているのかなと考えます。

【内山委員】ありがとうございます。瑣末な質問なんですけど、CPRAさん、aRmaさんに相当する世界組織って存在するんですか。つまり、レコ協さんにとってのIFPIみたいな、そういう世界組織的なもの。

【CPRA(穎川氏)】ありがとうございます。結論から言うと、ございます。SCAPRという組織でありまして、世界の実演家団体。少し細かい話になりますけれども、私ども芸団協CPRAというのはまさに実演家の団体であるわけなのですけれども、逆に言うと、日本においてはレコード製作者の立場としては、集中管理団体としてレコード協会様がいらっしゃる。こうやって分かれているわけなのですが、海外のそういう団体は、実演家とレコード製作者がジョイントソサエティーなんて言うんですけれども、一緒になっている団体も含まれていますが、少なくとも実演家の立場を持った集中管理団体が世界的に、それはジョイントなのか単独なのか問わず集まっている団体として、SCAPRという組織がございまして、私どももそこに加盟をしております。

【内山委員】そこがGAFAと積極的に交渉するということはあるんですか。

【CPRA(穎川氏)】現時点で具体的な話は、私、存じ上げておりません。申し訳ございません。

【内山委員】どうもありがとうございます。

【太田主査】よろしいでしょうか。ほかに質問ございますでしょうか。

唐津委員、お願いいたします。

【唐津委員】お話ありがとうございました。今日伺った中で特に気になったのが、私は不勉強で知らなかったんですけれども、6ページ、実演家に譲渡等できない報酬請求権を付与するという取組で、実際にスペインなどにおいてそういう事例があるということだったんですけれども、これ、すごく興味を持ちましたのは、私、エンタメ関係のお客様のお仕事をよくするんですけれども、特にアーティストの側からすると、実際に著作権法でいろんな権利があったとしても、最初に事務所と契約する時点で、それを全部事務所に譲渡するというのがデフォルトのようになっていて、なので、法律でいくら権利を与えても、契約の段階で全部譲渡させられてしまう。もちろんその対価として、上がった売上げの何%という形で頂くわけなんですけれども、実際には譲渡がデフォルトになってしまっているので、法律でいくら権利を与えても、そこである意味奪われてしまうと対価が得られないことになってしまうので、逆に法律である程度の請求権に対して譲渡できない、放棄できないと決めると、そこのところが保護されるのかなというので非常に興味を持ちました。

ただ一方でそうなると、一定の利用に関しては、実演家一人一人が請求権を持つので一人一人に分配しなくてはいけないということになると思うので、実際にそれを行っている国ではどうやって、非常に多数の人に対する分配をしているのかなということを知りたいと思ったんですが、もし御存じであればお伺いできればと思います。

【太田主査】お願いいたします。

【CPRA(穎川氏)】ありがとうございます。前半のほうは、御質問というより、御意見とか御感想をいただいたと思っておりまして、まさに音楽ビジネスのモデル、権利譲渡を前提としてモデルが組まれているということは、別に日本に限らず世界も同じ状況でございまして、そういう中で、対価還元をしっかりやるということの議論の結果として、ある意味、スペインのような仕組みが生まれているという理解で私もおります。1つの工夫として、こういうアイデアがあるのだと理解をしております。

その上で、ただ実演家というのは本当に数が多いので、個々の実演家に報酬請求権があったときに、実効性といいましょうか、管理ができるのかというところを今御質問いただいたと思いますけれども、そこについては、私、口頭でしか申し上げておりませんけれども、スペイン以外にも、幾つかの国では似たような事例があるみたいですけれども、基本的に個々の実演家がどうこうするというのは現実的ではございませんので、レコード会社等には譲渡できないんだけど、実演家の集中管理団体には管理を任せることはできるよみたいな仕組みにして、少なくともスペインにおいては、スペインのAIEという団体があって、私、ヒアリングをさせていただいたことがあるんですけれども、そこのAIEという団体が実演家の報酬請求を実際に行使して、DPFから徴収を行っているというお話でございました。要するに集中管理ということです。

【太田主査】よろしいでしょうか。

【唐津委員】ありがとうございます。

【太田主査】ほかに質問等ございますでしょうか。どうもありがとうございました。

それでは、引き続きまして、以上のヒアリングを踏まえ、意見交換を行いたいと思います。御意見等がございましたらお願いいたします。また、もし御質問がございましたら、このタイミングでもお受けしたいと存じます。それでは、よろしくお願いします。

仁平委員、どうぞ。

【仁平委員】日本ネットクリエイター協会の仁平です。私の団体は、まさに先ほど組織外の実演家というお話がありましたけれども、組織外の実演家の方々の権利を行使させていただいたり、そして組織外の方がレコード製作者の権利を有している場合、音楽原盤の権利を行使させていただいたりしている団体で、それぞれ芸団協CPRA様、そしてレコード協会様と実は契約をさせていただいている立場からの話なんですけれども、組織外の実演家が参加された音楽原盤であっても、メジャーレーベル等から流通しているものって結構出てきています。その場合の実演家に対する報酬というものを、芸団協CPRA様、その下の組織の例えば音製連様等から分配をいただく上で、このCDに、恐らく仁平さんのところの実演家のギタリストが参加していると思うんだけれども誰が参加していますかみたいな連絡を結構頻繁にいただいています。

それはとってもありがたい話なんですが、我々も把握できてないことがあって、これに対して私のほうからの希望は、つまり、CDを作るときにはレーベルコピーというものをディレクターさんなりはほぼ作ります、というか、間違いなく作るでしょう。その中には、レーベルコピーの表紙に書いてあるかどうかは別として、楽曲ごとにギタリスト、ベーシスト等の名前が入っているものは当然あります。なので、レコード協会様というか、レコード会社様がお持ちの情報を芸団協CPRA様が活用するなりして、CDと実演家の情報がそこでひもづいて、なおかつ実演家の方にはそれぞれ実演家IDみたいなもの、今でも当然、実演家のIDを振るといういろいろなプロジェクトが進んでいるのはもちろん知っているんですけれども、まだまだ統一化されていないんじゃないかなと失礼ながら思っているので、そのレーベルコピーから参加されているギタリスト、実演家のIDが分かって、そのIDが分かると、芸団協CPRA様のデータベースでぱぱぱぱっとやって、ああ、これはJNCAだから仁平のところに話せばいいんだなというのがぱっと分かって、オートマチックで実演家のお金の流れができたらいいなとちょっと思っていたりします。

もちろんこれは集中化、今、私も参加させていただいているMINCの中での課題なのかもしれないんですけれども、その辺りの部分、ぜひこれは文化庁様もいらっしゃる場なので、レーベルコピーと実演家の情報がそこで組み合わさることで、何かすばらしいものができるんじゃないかなと。特に音楽原盤に関してはISRCというコードがあって、既にこのISRCコードでユーチューブの現場のマッチングが行われています。原盤コードであるISRCを活用することによって、実は著作権のマッチングもやっているという事実があります。あとはそこに、ISRCと実演家コードがひもづいて、実演家コードと実演家が所属している団体がひもづけば多分うまくいくのかなと。これはもちろん理論上ですけれども。というようなことを、私としては理想として考えています。ぜひこういうことが実現できたらいいなというのを各先生方にも知っていただきたいと思って、生意気な発言でしたが発言させていただきました。ありがとうございます。

【太田主査】ありがとうございます。穎川様、もしもコメントがございましたら。

【CPRA(穎川氏)】貴重な御意見として承りました。私どもにとって、適切な集中管理という中でアーティスト情報をしっかり収集していくことは大事なテーマでございますので、しっかりと取り組んでまいりたいと思っております。ありがとうございます。

【太田主査】ありがとうございます。ほかに御意見ございますでしょうか。

菅委員、お願いいたします。

【菅委員】2点ほど申し上げたいことがございます。先ほど、いわゆるミュージシャンのギャラが少ないんじゃないかみたいな文句を言ったんですけれども、レコード会社に入る分というのは、プラットフォームとの付き合いもあり、私たちがあずかり知らぬところなんですが、レコード会社から実演家に渡されるときというのが、私は小説家なので、出版社から私たちに支払いをする分、印税と考えて、10%なんだな、業界が違いますからね、10%なんだなと思うのですが、レコード業界さんの13ページにあった世界の図式、赤いページなんですけれども、ここでほかにたくさん経費がかかっているから、君たちにはこれぐらいだよというのが分かるようにしてあるんですけれども、私はここにちょっと文句が、文句というか、意見がございまして、A&Rとしての版権料、著作権料、演奏料もそういう受け取りとマーケティングとをごっちゃにして考えていいものだろうかと思います。

例えば、私たちは生活をかけて原稿料を頂いているわけですけれども、じゃ、あなたのところではこれだけの広告費がかかっていますよ、こんなPVを作りましたよと言われても、納得いくとか交渉できるかというのは別問題だと思うんですね。ですから、広告宣伝費、経費込みでこれだけを分けていますよというような言い方だと、とてもごまかされている感があるんです。ですので、明確に見えるようで実態が余計に分からない分け方だなと私は感じました。

もう一つなんですけれども、昨日頂いた資料をざっと読みましたところ、これからコンテンツIDもしくはコンテンツID類似のもので、恐らくAI的なものがマッチングをしていくことかと思います。昨日頂いたPDFの資料の中の1文にもございましたが、それであれこれしてしまうと間違いが起こりやすいので、せき止めてしまうのはどうかみたいな1文がありました。先取りして申し訳ないのですが、私は技術の過渡期において、それこそピッチが変わって転調されているとか、一部分をラップ的に使っているからマッチングしないとか、そういうので自動的には判定できないケースが山のように出てくるかと思います。それで差し止められる場合ももちろんあると思います。アップロードを取り下げられたり、アカバンされたり。

そのときにお願いとしては、これは誰に言ったらいいのか分からないお願いなのですが、されたほうから、いや、それはどういうことですかというのが分かるように告知をしていただきたい。私はXで凍結を食らいましたが、いまだになぜ凍結をされたのか返事がないのです。ということは、もう一度同じ間違いをする可能性があるんですね。ですから、自動判定で何か処置をする場合には明確に、あなたはこの楽曲を使いましたねとか、あなたはこの部分の引用が長過ぎましたねとか、そういう明確な指示とともに取り下げてほしい。そして、それに対して異議申立てした場合は、必ずお返事が欲しいんです。これはあなたのほうが間違っているから取り下げられません、もしくは、あなたの言い分が分かりましたので、もう一度検討しますとかね。そうでないと、間違いを数回繰り返したら、ぬれぎぬによって、その人のクリエーターとしての将来が全部封じ込められてしまう可能性がある。それはちょっと考え過ぎかもしれませんが、そういうことがとても怖いので、過渡期である、自動判定に頼らざるを得ない、これを前提として見ると、やはり人間の手でちゃんとコミュニケーションを取って、納得のいく措置で罰してほしいと思いました。

私の意見は以上です。

【太田主査】ありがとうございました。ご意見とともに御質問と受け取らせていただきます.リアクションがございましたら,畑様,どうぞ。

【畑委員】まず、赤い図版についてはご指摘ありがとうございます。いろんな受け止め方があろうかと思いますが、菅委員がおっしゃるとおり、「これだけ業界として音楽制作全体に投資しているんだから、このアーティスト印税で我慢しろ」みたいな上から目線の資料だとお受け止めになる方もいらっしゃるでしょう。ただ、我々業界としては、決してアーティストに対して払うものを払わないと言っているわけではなくて、やっぱりパートナーなんですよね。アーティストさんとレコード会社、あるいはその周辺にいらっしゃる関係者というのは皆さんパートナーであって、パートナーとともにいい音楽を作っていくというミッションに向けて、グローバルなレコード会社はこれだけのお金をかけているんですよ、ということを申し上げたい資料だと考えていただければありがたいと思います。

後半のXでブロックされた件は、日本レコード協会のマターではないので、そこは差し控えます。

以上です。

【太田主査】では、仁平委員、どうぞ。

【仁平委員】今、SNSからブロックされた件、菅委員からありましたけれども、まさにそういう話って私が闘っているところでもあって、今日、NexToneの荒川様いらっしゃいませんけれども、ボカロPさんの楽曲が、要はこれはおまえの楽曲じゃないだろう的なところでストップさせられたり文句が来たりするということは結構あります。その場合には、きちんとした情報を僕のほうでNexToneさんに出して、NexToneさん経由でユーチューブと闘ってもらったりしています。NexToneさんがいらっしゃらないところでNexToneさんを褒めるのもあれですけれども、相当頑張ってくれて、大抵は我々負けてないです、ボカロPさん。私が間に入ったユーチューブとの交渉では大抵負けてないです。なので、それは個人がやるのは相当無理だと思います。個人がやるのは相当無理だと思うので、個人を代弁して闘ってくれるような、ちょっと口幅ったい言い方ですけど、日本ネットクリエイター協会のようなそういった団体、ほかにもありますので、そういったところ経由で闘うということで解決はできるんじゃないかと思います。

あと、ユーチューブコンテンツIDの金額がお安いんじゃないかというお話で、これ、実はすごく難しくて、本当は私が言うのもあれなんですけれども、メジャーレコードの場合、原盤印税という考え方が、大体原盤、CDの売上げの15%というのは業界標準で考えられています。なので、そこら辺を基にして計算してしまうから割と安くなってしまうのかもしれないんですけれども、私が直接ボカロPさんの原盤を預かってユーチューブコンテンツIDに上げたときには、ユーチューブから入ってきた金額の、ここで数字を言うのがどうなのか分かりませんけれども、80%から85%返していますので、具体的に言うと、中級クラスのボカロPさんの楽曲で、いろいろとBGM等に、あっ、この人の楽曲、楽曲そのものはそんなに有名じゃないけど、いろいろ使われているなというタイプの楽曲で、大体、私のところに3か月に一遍ユーチューブからお金が入ってくるんですが、100万から200万円、そのボカロPさんにお返ししています。やっぱり3か月に一遍100万から200万円返されると、ボカロPさん、すごく喜ぶんですよ。だから、これは単にユーチューブのパワーが云々、先ほど、0.06%云々というのはありましたけれども、実はコンテンツIDって、ほかの方がその楽曲を使った動画を上げても、そこにも強制的にバナーを貼ってお金をもらうという仕組みなので、人にどんどん使ってもらえる楽曲をつくっている人ほど、その曲そのもののパワーはそんなにないけど、よく聴くよなというような楽曲をつくっている人は、そのくらいの規模で返しているので、意外とこの辺りは、メジャーCDの考え方と我々が扱っている、いわゆる個人CDの音源の考え方でかなり幅が違うんじゃないかと思います。

なので、その数字感、実は私のところで管理している原盤も、メジャーにCDに入れている原盤というのがあります。そこで、そのメジャーさんがコンテンツIDをかけて、そこから私のところに入って、ボカロPさんに返しているという原盤もあるんですが、その金額は相当低くなります。これは別にレコード会社さんを悪く言っているわけではなくて、考え方の問題として、レコード会社さんの音源って、レコード会社さんが手間暇かけて、スタジオ費用を出してつくっている音源なんですよね。ボカロPさんが直接つくって僕に渡してくれた音源って彼の家の中だけでつくったものなので、そもそもかかっている費用が全然違うんですよ。だから、そういう意味で割合が違うということなんだと思うんです。その辺り、なかなか音楽業界ってややこしくて、数字だけ見ても、今言ったように、メジャーのCDと同人CDではパーセンテージの母数が違ったりするので、しかも同人CDのほうが意外とネットに強かったりするんですよね。だから、金額のイメージで、ボカロPさんのコンテンツIDの金額は決して安くないですよというのを最後に言いたかった、そんな感じでございます。

【菅委員】ありがとうございました。

【太田主査】ありがとうございます。

では、生貝委員、どうぞ。

【生貝委員】ありがとうございます。まず1つは、今、菅委員からあった、いわゆるオーバーブロッキングというのか、誤った削除やアカウントプロックというのは、著作権侵害だけではなくて、デジタルサービス全体で非常に大きな問題になっている。例えば災害時に、災害情報を正しく発信しているアカウントがなぜか停止されてしまって理由も通知されないといったようなことと、恐らく問題としては同じ平面上にあって、アップロードフィルタリングのセーフガードというのは、DSM著作権指令17条の後ろのほうでもいろいろとセーフガードが書かれているんですけれども、それ以上に、今日、事務局資料にもつけていただいたデジタルサービス法の中ですと、コンテンツモデレーションによって削除等の影響を受けた人に対して、一つ一つ理由を通知しなければならないであるとか、その理由に不服があったら、ちゃんとそれを受け付ける窓口、ADRといったような非常に手厚い措置がなされているところであり、もしこういった議論を具体化していくのであれば、まさに権利者とユーザーの両方の保護をしっかり図ることができるメカニズムを具体化していくことが極めて重要なんだろうというのが、まず1つでございます。せっかくでございますので、本論に関わるところ、あと3点ほど続けて発言させていただきます。

まず1つは、今日御説明いただいた両団体とも、DSM著作権指令の17条を非常に重視される内容であったといったときに、さっき取引費用のことも言及しましたけれども、まさに皆様からも集中権利管理団体等の重要性というもの、重ねて御言及があったところだと思います。そうしたときに、EUの17条の国内法化においても、例えばドイツの国内法化法の、例えば4条ですと、ライセンスの取得義務に関して集中権利管理団体の役割を極めて重視するような形での国内法化を行っていたりでありますとか、あとは、それこそ同じDSMの12条で導入されたECLを様々活用したり、そういった権利処理の円滑化と併せて検討をしている。また、さらに理論的に言えば、少なくとも、先ほど御説明いただいたような放送あるいは同時配信のような報酬請求の議論と併せて議論していくことも、ライセンスというオプションとは違うけれど、制度選択のメニューとしては当然考えることはでき得るのだろう。そういうことを含めて考えていくと、様々具体化していきやすいのかなと考えたのが1点目でございます。

2点目として、こういった新しい責任メカニズムというものをどう考えるかといったときに、やっぱりDPF議論一般として、デジタルプラットフォームの規模によって規律の強度の段階をつけていくのがすごく重要である。例えばDSM著作権指令の中でも、一定の規模要件は段階をつけているところでございますけれども、どういった規模、それぞれごとにどういう責任ないし責務があるべきなのかということをブレークダウンして考えていけると非常に有意義なのかなと考えたのが2点目でございます。

3点目として、これは少し別の話題なんですけれども、ちょうど先週ですか、欧州議会で、まさに音楽ストリーミングサービスに焦点を当てた形でのクリエーターへの適切な対価還元に関する新ルールを求める決議、レゾリューションが採択されたことを御存じの方もいらっしゃるかと思います。その中ですと、ここでは特に音楽ストリーミングというところに対して、適正な対価還元という、お金に直接関わるところのほかに、様々な透明性というものを非常に重視している。例えば、まさしくアルゴリズムですとかレコメンデーションというのもしっかり透明性を図らなければならない。なぜなら、これはいろいろな理由があるけれども、例えば再生回数とかって、アルゴリズム、レコメンデーションのちょっとした調整で全然変わってきますよねですとか、いろんなことがあったりするとか、あとはAI生成コンテンツであることをちゃんと透明化するラベルをつけるべきであるとか、あるいは楽曲のメタデータをちゃんとつけて、クリエーターの特定をしやすくするといったような、非常に様々な透明化の義務というものをこの中では提案しているわけでございます。

今日、主にどちらかというと、まさに交渉力というところ、比較的お金に関わるところが中心になったかと思うのですけれども、やっぱりその前提としての透明性、あるいはそれを補完する透明性といったものを幅広く議論していく価値が非常にあるのかなと、このレゾリューションを読んでいて感じたところでございました。

以上でございます。

【太田主査】どうもありがとうございました。ほかにございますでしょうか。

坂井委員、お願いいたします。

【坂井委員】ありがとうございます。今日の発表、あるいは皆さんの御意見をお伺いして、やっぱりプラットフォーマーの透明性というところを確保していくのは大事なんじゃないかなと思っています。一方で、今日はDSPと権利者の話だったんですけれども、これ、ちょっと杞憂かもしれないんですけど、ユーザーへの影響、ここで言っているユーザーというのは、ユーチューブを楽しむ人だけじゃなくて、ユーチューブにUGCをアップロードする人も含めて、こういう人たちが使いづらいような議論の方向には安易に進んでほしくないなとは思っています。広告が増えたりとか楽曲利用がしづらくなったりとか、こういうふうになっちゃうのはちょっとよくないと考えています。

また、畑さんの発表でも言及があったんですけれども、表現の自由という観点から、DSPに内容について干渉するような義務であったりとか、あるいは適用利用が誤って制限されるような、こういうところはやはり気をつけていかなきゃいけないと思っています。これも多分、生貝先生が出ていらっしゃると思うんですけど、総務省のプラットフォームサービスに関する研究会、これ今、大分大詰めを迎えているかと思いますけれども、先ほどの盤の件も含めて、ここと歩調を合わせるような形で進めていっていただくのがいいのかなと考えております。

以上です。

【太田主査】どうもありがとうございます。ほかにございますでしょうか。

私の方から生貝委員の発言にちょっと補足しますと、補足というより付け足しかもしれませんが、ADRでの判断の理由づけ等は、今後はどんどんAIでもかなり実質的なことができるようになると思います.また、菅委員のおっしゃっていたコンテンツ間の異同の判定での,フォールス・ポジティヴ(偽陽性)とフォールス・ネガティヴ(偽陰性)、すなわち,AIでマッチングして、間違いがプラスの方向(誤った一致判定)にもマイナスの方向(誤った不一致判定)にも生ずることは避けがたいでしょう。それについては、多分,クレームとか不服申立てへの対処の関係で、AI的なものがODR(オンライン紛争解決制度)として活用されるようになると思います.事実、例えばeBayとかアマゾンとかでも事実上、AI仲裁人みたいなもの等が導入されて、利用者は気づかないままにAIによるADRを使っているという状況になっています。AIの進歩という形で、フォールス・ポジティヴとフォールス・ネガティブの双方を小さくしていく方向に進み,またAIの理由付け機能も拡充して,今日話題となった諸問題のAIによる解決が進むといいかなということをちょっと考えた次第です。司会が余計なことを言ってしまいました.

ほかに御意見等ございますか。どうもありがとうございます。大変活発な御意見が続いたと思います。その他、全体を通じまして、何か御意見等ございましたらお受けしたいと思います。どうもありがとうございました。

それでは、本日の議事は全て終了いたしましたので、ほかに特段ございませんようでしたら、本日はここまでとしたいと思います。

最後に、事務局から連絡事項がございましたらお願いしたいと思います。

【白井著作権課専門官】どうもありがとうございました。次回の政策小委員会は2月6日を予定しております。引き続きどうぞよろしくお願いいたします。

【太田主査】よろしくお願いいたします。次回2月6日でございます。本日はありがとうございました。

以上をもちまして、文化審議会著作権分科会政策小委員会第3回を終了とさせていただきます。今日はどうもありがとうございました。

―― 了 ――

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