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令和6年4月24日付 事務総長定例会見記録

令和6年4月24日付 事務総長定例会見記録

[配布資料]

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[発言事項]

事務総長定例会見記録(令和6年4月24日(水曜)13時30分~於官房第1会議室)

音楽・放送番組等の実演家(アーティスト、俳優、タレント等)と所属事務所との契約等についての実態調査について

 本日は、公正取引委員会が現在実施しております、クリエイター支援のための取引適正化に向けた実態調査の実施と、その実態調査の一環として、皆様から情報提供していただくための情報提供フォームの設置について御紹介させていただきます。
 公正取引委員会は、これまでも人材分野・芸能分野における公正かつ自由な競争を促進するための様々な取組を進めてきたところですが、先週17日(水)に開催されました「新しい資本主義実現会議」において古谷委員長から説明申し上げましたとおり、今般、クリエイター個人の創造性が最大限発揮される取引環境を整備することを目的とする、クリエイター支援のための取引適正化に向けた実態調査を進めてまいります。
 具体的には、まず、今月から、音楽・放送番組等の分野を対象にした実態調査を開始しております。この実態調査におきましては、アーティスト、俳優、タレント等と呼ばれる、音楽・放送番組等の分野における実演家の方々と、その所属する芸能事務所・プロダクションとの間の契約等の実態の把握を行います。そのために、実演家や芸能事務所・プロダクションと事業者団体、レコード会社、放送事業者との関係等についても調査することとしております。
 また、年明けからは、音楽・放送番組等の分野を対象にした実態調査の後に、映画やアニメなどの分野についても、制作現場におけるクリエイターの取引環境に係る実態把握のための調査を実施することを予定しております。
 これらの分野におきましては、業界内で一定の立場を得た事業者が、クリエイターの才能を搾取する構図が懸念されるなどの指摘が多くございまして、クリエイター個人の創造性が最大限発揮される取引環境を整備することは喫緊の課題であります。関係各位におかれましては、調査に御協力いただきますよう、お願いを申し上げます。
 音楽・放送番組等の分野を対象にした実態調査につきましては、年内を目途に調査結果を取りまとめて公表する予定にしております。調査結果を踏まえまして、クリエイター支援のための取引適正化に資する指針の策定に速やかに着手し、独占禁止法上及び競争政策上の具体的な考え方を明確にしていきたいと考えております。
 お配りした資料に記載のとおり、先週18日(木)には、今回の調査の一環といたしまして、公正取引委員会のホームページ上に専用の情報提供フォームを設置いたしました。例えば、移籍・独立を妨げられた、一方的に契約を更新された、あるいは移籍・独立後に芸名や写真の使用を制限されたなどの問題につきまして、実演家をはじめとする皆様方からの情報提供をお待ちしております。
 なお、本件の担当は取引部取引調査室です。
 私からは以上です。

質疑応答

(問) 今回、実演家に対する実態調査を行うに当たり、情報提供を求めているということですが、公正取引委員会としては、どのような問題意識を持ってこの調査に臨むのか、もう少し詳しく教えていただければと思います。
(事務総長) 今回の調査につきまして、どういった視点でという御質問だと思いますけれども、これまでも公正取引委員会におきましては、芸能分野を含めた人材分野における公正かつ自由な競争を促進するため、独占禁止法・競争政策の観点から、様々な取組を進めております。
 まず、平成29年から有識者による「人材と競争政策に関する検討会」を開催しておりまして、平成30年2月に報告書を取りまとめて公表しております。また、二つ目といたしまして、芸能分野に関する具体的な取組といたしましては、令和元年9月に、「芸能分野において独占禁止法上問題となり得る行為の想定例」を公表しております。三つ目といたしまして、それらを活用して芸能事務所等に対する説明会を実施するなど、業界における取引慣行の改善に向けた取組を進めてきております。
 今申し上げました、令和元年に公表した独占禁止法上問題となり得る行為の想定例といたしましては、芸能人の移籍・独立に関するものであったり、芸能人の待遇に関するものであったり、あるいは競争政策上望ましくないものといったものを示しております。例えば、芸能人の移籍・独立に関するものといたしましては、所属事務所が、契約終了後は一定期間芸能活動を行えない旨の義務を課し、又は、移籍・独立した場合には芸能活動を妨害する旨示唆して、移籍・独立を諦めさせるといった行為が例示されておりまして、この中でお示ししましたような行為について問題意識を持って今回調査に臨んでまいりたいと思っております。
(問) クリエイターや俳優といった芸能関係者には、フリーランスの方が多いと思いますが、今後施行されるフリーランス法との関係もあって、このタイミングになったということなのでしょうか。
(事務総長) 今回のタイミングに関する御質問ですが、先ほど申し上げましたように、公正取引委員会は、これまで様々な取組を進めてまいりました。また、第26回新しい資本主義実現会議においても、クリエイター個人の創造性が最大限発揮される取引環境の整備の必要性が指摘されております。近年、実演家の方が、芸能事務所・プロダクションから移籍・独立する例が多数見られるといったことなども踏まえた上で、まずは、実演家の方が活躍できる環境が十分に確保されているかといった観点から、芸能分野における取引慣行の実態を確認すべきと考えております。
(問) そうすると、フリーランス法は、そこまで今回の調査とリンクしているわけではないということでしょうか。
(事務総長) いわゆるフリーランス法がこの秋に施行されますが、例えば映画やアニメの制作現場といった話につきましては、新しい法律の施行状況も踏まえながら見ていく必要があるかと考えておりますけれども、今般、調査を行うに当たって、フリーランス法が何かの契機になっているということでは必ずしもありません。
(問) 今回の調査は音楽・放送で、次がアニメ・映画ということですが、例えば、舞台の実演芸術の方を対象にされない理由は何でしょうか。
(事務総長) 今般、対象にいたします実演家の方には、いろいろな分野の方がいらっしゃるかと思いますので、その中に入る可能性もあると思います。
(問) 舞台の方を対象から排除するものではないということでしょうか。
(事務総長) 御理解のとおりです。
(問) 情報提供フォームについて、立ち上げてまだ間もないのですが、業界からの反応があるとか、問い合わせが来ているといった現状を教えていただけますでしょうか。
(事務総長) 既に実演家御本人の方をはじめとする皆様方の情報が寄せられていることを確認しております。引き続き、実演家をはじめとする皆様方から広く情報提供いただければと思っております。

以上

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