[配布資料]
「生成AIを巡る競争」に関する情報・意見の募集について
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生成AIを巡る競争
(ディスカッションペーパー)
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生成AIを巡る競争
(ディスカッションペーパー)概要
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[発言事項]
事務総長定例会見記録(令和6年10月2日(水曜)13時30分~於官房第1会議室)
「生成AIを巡る競争」に関する情報・意見の募集について
本日は、デジタル市場企画調査室職員において企画、作成いたしましたパーカーを着用した上で、生成AIに関する実態調査の開始について御説明したいと思います。
近年、生成AIの技術が急速に発展してきておりまして、生成AIの関連市場は拡大、成長を続けてきております。生成AIは経済社会に様々な便益をもたらすことから、更なる発展が期待されている一方、生成AIに関わる事業活動の中には、競争に影響を与えるものもあると考えられます。そのため、公正取引委員会は、生成AIを健全な形で経済社会に実装させる観点も踏まえまして、国内外の動向を含めて、生成AIの関連市場の実態を把握するための調査を開始することといたしました。
調査については、変化が早く成長著しいという生成AIの関連市場の特性を踏まえて、当委員会がこれまでに行ってきた実態調査の調査方法とは異なり、まずは「生成AIを巡る競争」と題するディスカッションペーパーを本日公表した上で、情報、意見の募集を開始いたします。
今回のディスカッションペーパーにおいては、生成AI関連の市場構造をインフラストラクチャー、モデル、アプリケーションの三つのレイヤーに整理し、レイヤーごとに、生成AI関連市場の現時点における状況を事実関係としてまとめております。また、そのような事実関係から考え得る独占禁止法及び競争政策上の論点をディスカッションペーパーに提示しておりますけれども、当該論点につきましては、飽くまでも今後の議論に資することを目的として整理したものということでございまして、現時点での問題点を示しているというものではございません。
このディスカッションペーパーは、公正取引委員会のホームページで公表しまして、当該ディスカッションペーパーの項目ごとに提示した各設問に回答いただく形で、情報、意見の募集を行います。
なお、情報、意見については、電子メール又は郵送の方法で提出を行うことが可能です。情報、意見の募集期間は、本日から11月22日金曜日までの約1か月半を設定しており、生成AIに関係する事業者、事業者団体などの各種団体、生成AIに関する有識者を含む個人など、様々な方面から多くの情報、意見が提供されることを期待しております。
今後、公正取引委員会は、寄せられた意見、情報を分析するとともに、これと並行して、関係省庁、海外当局、国内外の事業者や有識者にヒアリングを行うなどして、生成AI関連市場の実態を把握するための調査を進めていきたいと考えております。また、調査を行うに際して、日々情報がアップデートされている状況など、生成AI関連市場の流動的な状況を踏まえまして、アジャイルに、迅速かつ柔軟な方法で調査を進めた上で、適時に事実関係を整理して、必要に応じて独占禁止法及び競争政策上の考え方を示していきたいと思います。
質疑応答
(問) 本日パーカーを着ていらっしゃる理由について教えてください。
(事務総長) 本パーカーは、今年6月12日に成立した「スマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに係る競争の促進に関する法律」、いわゆるスマホソフトウェア競争促進法の普及啓発活動におきまして、テック業界の事業者の方々などに親しみを感じてもらえるよう、デジタル市場企画調査室の有志が企画及び作成したものでございます。具体的には、業界向けの講演会やスマホソフトウェア競争促進法の普及啓発イベントなどで着用することを想定しております。
また、本日のテーマに関して申し上げれば、こういったパーカーを着ているということで親しみを感じていただいて、本日のディスカッションペーパーに関心をお持ちいただいて、多数の御意見、あるいは御要望、情報などをいただければと思っています。
(問) テック業界の事業者の方に親しみを感じてもらえるようにというのは、いわゆるテック業界やIT企業で、会社のロゴが入ったTシャツやパーカーなどを着ている場面をよく見るのですが、それに近づけたという理解でいいでしょうか。
(事務総長) そうです。官庁の中にも、デジタル分野に関連する省庁におきましては、テック業界などで浸透しておりますカジュアルな服装で仕事を行う文化に親和性を持たせるために、パーカーを着用して各種講演に登壇するといったケースもみられるところでございます。デジタル市場企画調査室もテック業界との交流が多いということから、親しみやすさを感じていただけるよう、今回新たにパーカーを作成したということであります。ちなみに、パーカーのデザインは幾つかございまして、裏の方がカラーであったり、青で統一されたりというようになっております。
(問) 生成AIもデジタル市場と同様に、割とグローバルな活動をしている企業が多いと思いますが、ほかの法域においても調査や情報収集が行われており、グローバルで各国の当局が努力していると思います。それぞれの市場の特性というのもあると思いますが、それを踏まえて、日本の公取は、日本の競争当局としてどのような貢献をしたいとお考えですか。
(事務総長) 御指摘のとおり、各国の当局において、生成AIを始めとするAIなどにつきまして、現在、実態の把握という動きが進んでいます。当方のこのディスカッションペーパーにつきましても、そういったものも参考にしながら作り上げておりますけれども、御指摘のとおり、ビジネスの在り方として、各国共通であるといったところもあろうかと思いますので、世界の当局が行っている実態把握の努力について、当方の努力として、いろいろ情報をいただいて分析をした結果をもって、世界の競争当局にも貢献できればと考えております。
(問) 生成AIの意見募集について、アジャイルにとおっしゃいましたが、実際にその結果を公表する時期というのは、どのような時間軸で考えているのでしょうか。また、これまでの公取の実態調査とやり方が違うということで、こういう新しいやり方を導入する意義と、今後も、デジタル市場を中心にこうしたアジャイルなやり方というのは増えていくのかどうかという点について教えてください。
(事務総長) 報告書の公表時期については、調査の中で寄せられる情報、意見、あるいはヒアリングの結果にもよると思いますけれども、従来の調査よりも迅速に行いたいと考えておりまして、具体的には、来年の春ごろに何らかの成果物を公表するといったことを目標として調査を進めたいと考えています。
今回、アジャイルな調査方法でということでありますけれども、これまで公正取引委員会が実施してきた実態調査は、相当の時間をかけまして、対象となる市場について、可能な限り網羅的に実態調査を行って、大部の報告書をまとめてきたということでございましたけれども、今回の実態調査につきましては、日々情報がアップデートされている状況にあるといった現状の生成AI関連市場の非常に流動的な状況を踏まえて、従来の実態調査よりも、正にアジャイルで迅速、柔軟な方法で実態調査を実施することとしております。具体的には、まず、生成AI市場に関する様々な論点をまとめた、本日お示ししているディスカッションペーパーによりまして、多様な意見あるいは情報を募集するとともに、国内外の事業者や有識者の方々にヒアリングを行いまして、例えば特定の市場などに限定した形で事実関係を整理するなどを行いまして、必要に応じて独占禁止法、競争政策上の考え方を報告書において示していくといったことも考えております。正に対象の市場がどういった市場になるのかというところで、これまでのやり方を変えるということかと思っておりますので、これも新たな時代の流れに即して、こういった新しいやり方を工夫しているといったところに、今回の調査方法を取り入れる意義があると考えております。また、今後につきましては、対象市場がどういう市場なのかといったところによると考えております。
以上