文化審議会著作権分科会政策小委員会(第4回)

日時:令和7年1月20日(月)

15:30~17:30

場所:文部科学省東館3F1特別会議室

(オンライン併用)

議事

1開会

2議事

  • (1)著作権侵害に対する対応について
  • (2)DX時代におけるクリエイターへの適切な対価還元方策について
  • (3)その他

3閉会

配布資料

資料1
情報流通プラットフォーム対処法に関する「違法情報ガイドライン」について(総務省提出資料)(691KB)
資料2
クリエイターへの対価還元に関するこれまでの主な意見等(デジタルプラットフォームサービス関係)(177KB)
参考資料1
DX 時代におけるクリエイターへの適切な対価還元方策に係る現状、課題、論点(案)関係資料(2.8MB)
参考資料2
アニメのビジネスモデルに関する対比表(一例)(209KB)
参考資料3
著作権等管理事業者使用料規程で定められている利用方法(例)(158KB)
参考資料4
デジタルプラットフォームサービスに関する使用料規程の例(2.6MB)
参考資料5
DX 時代におけるクリエイターへの適切な対価還元に係るこれまでの議論及び今後の進め方について(案)(前回配布資料)(664B)
参考資料6
公正取引委員会「音楽・放送番組等の分野の実演家と芸能事務所との取引等に関する実態調査報告書(ポイント)」について(655KB)
参考資料7
令和6年度補正予算・令和7年度当初予算案関係資料(774KB)
参考資料8
著作権法の一部を改正する法律に基づく文化庁告示案の概要(104KB)
参考資料9
インターネット上の著作権侵害等への権利行使事業について(167KB)

議事内容

【太田主査】定刻になりましたので、ただいまから文化審議会著作権分科会政策小委員会(第4回)を開催いたします。

本日は御多用中のところ、御出席いただきまして、誠にありがとうございます。

オンラインにて御参加されている皆様におかれましては、ビデオをオンしていただき、御発言されるとき以外はミュートに設定をお願いいたします。

議事に入る前に、本日の会議の公開について確認いたします。予定されている議事内容を参照しますと、特段、非公開とするには及ばないと思われますので、既に傍聴者の方々にはインターネットを通じた生配信によって傍聴していただいているところですが、特に御異議はございませんでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【太田主査】ありがとうございます。では、本日の議事は公開ということで、傍聴者の方々にはそのまま傍聴していただくことといたします。

それでは、事務局より配付資料の確認をお願いいたします。

【持永著作権課課長補佐】事務局でございます。配付資料の確認をさせていただければと思います。本日の配付資料は次第のとおりとなります。

対面で御参加の委員の方でもし不足などがございましたら、近くの事務局職員にお声がけいただければと思います。

資料の確認は以上です。

【太田主査】ありがとうございました。

特に報道の方はいらっしゃらないようですので、それでは、議事に入ります。本日の議事は議事次第のとおりでございます。

議事(1)について、これまで本小委員会では著作権侵害に対する対応を議論してきたところです。その中でプラットフォームにおける著作権侵害も課題とされてきたところ、大規模なプラットフォーム上での著作権侵害対策の実効性確保に向けた検討状況について御発表いただきます。

議事(2)について、本小委員会では昨年度から音楽分野と映像分野を中心にヒアリング等を行ってきたところです。これまでいただいた意見等のうち、特に著作権分野として議論をしていくべきものを中心に事務局にまとめていただきました。本日はそれを基に意見交換を行いたいと思います。

それでは早速、議事(1)の「著作権侵害に対する対応について」に入りたいと思います。お手元の資料1に基づき、総務省より御発表いただきます。御説明は総務省情報流通適正化推進室長の入江晃史様にお願いいたします。

それでは、どうぞお願いいたします。

【総務省(入江氏)】総務省の入江と申します。本日はこのような場にお招きいただきまして、ありがとうございます。

それでは、私から資料1、「情報流通プラットフォーム対処法に関する『違法情報ガイドライン』について」ということで御説明したいと思います。

お手元にございますでしょうか。1枚めくっていただきまして、本日の御説明、違法情報ガイドラインについてというタイトルでございますけれども、まずは、その根っことなった情報流通プラットフォーム対処法概要について御説明を申し上げたいと思います。

誹謗中傷等のインターネット上の違法・有害情報に対処するため、大規模プラットフォーム事業者に対して、①対応の迅速化、②運用状況の透明化に係る措置を義務づけるということで昨年5月に成立したものがございます。

法律自体、これまではプロバイダ責任制限法と呼ばれておりまして、私が入省した1年前、平成13年ぐらいに議論が活発化しまして、成立したものでございます。今回、情報流通プラットフォーム対処法ということで名前を変えようということでございまして、大規模プラットフォーム事業者に対しては、追加的に、①対応の迅速化、そして②運用状況の透明化という措置を義務づけるということで追加されたものでございます。

従来のプロバイダ責任制限法は、発信者情報の開示とか、損害賠償請求をするために、匿名で投稿した人に対して、発信者情報を開示しろとか、そういった制度が含まれる法律でございましたけれども、今回、大規模プラットフォーム事業者に対して新たな追加的な義務を課すという改正内容となってございます。

具体的な改正事項につきましては資料の中ほどを御覧ください。大規模プラットフォーム事業者、これは何かといいますと、特に迅速な透明化を図る必要性が高いということで、一定規模以上のものということで総務省が指定するものでございます。この後御説明しますけれども、まだこの法律、施行されておりません。

具体的な①、②の義務の中身ですけれども、複雑になってしまいますけれども、対応の迅速化については、権利侵害情報に限ったものでございまして、権利侵害情報が自分たちのプラットフォーム上にあった場合、対応の迅速化をするべしということでございまして、具体的には、削除申出窓口・手続の整備・公表をしてくださいと。

また、削除申出があった場合、これは被害者からの申出ですけれども、体制を整備するようにと。対応する際には十分な知識・経験を有する者を選任して、しっかりと対応してくれという中身となっております。

そして、削除申出に対する判断の通知、原則、一定期間内ということでございまして、基本的には、EUのデジタルサービス法という法律がございますけれども、EUのデジタルサービス法に近しい中身となってございます。

ここには詳しく書いてございませんけれども、EUの場合、遅滞なく判断結果を通知しろとなっていますけれども、我が国の場合は、一定の期間というのを具体的に、まだパブリックコメントにかけているところですけれども、1週間以内に対応するということを考えて、具体的な期間を提示してしっかり対応するようにという形になってございます。

②の運用状況の透明化でございますけれども、削除基準の策定・公表ということでございまして、この基準を定めると。事業者さん、プラットフォーム上に流通する情報に関しましてはしっかりと対応してほしいと考えておりますけれども、利用規約を思い浮かべていただければと思うのですけれども、利用規約、あるいはポリシーと読んでいるところもございますけれども、そういったものをしっかりと策定したら公表してほしいと。その基準を運用してございますけれども、その運用状況をしっかりと外部に公表するということでございまして、しっかりと対応をやっているかということを外部に明らかにしてほしいということを考えているところでございます。

下の方見えるかどうか分かりませんけども、その際、法律の名前をプロバイダ責任制限法と書いてございますけれども、情報流通プラットフォーム対処と、まさに公共的な基盤を持っているプラットフォーマーに対して新しく規律をかけるということで、この際、20年間ぐらいプロバイダ責任制限法と呼んでおりまして、私も実は3年間、プロバイダ責任制限法の運用を担当しておりましたけれども、20年後ぐらいにしっかりと変えると、名前を変えて新しく義務を課していこうと考えてございまして、5月に成立いたしました。

一番下でございますけれども、公布の日、これは令和6年の5月17日になってございますけれども、その公布の日から1年を超えない範囲で政令で定める日ということで、まだ政令はないのですけれども、我々としてはなるべく早く対応したいと思っているところでございます。なるべく早期施行をするようにという内外の要請があるところ、なるべく早くしようと。

ただ一方で、事業者さん側が対応するためには、システムの整備とか、あるいはワークフローの整備とか、そういったこともございますので、数か月以内にやれとか、そういったことはなかなか難しいところでございますけれども、事業者さんの対応状況を見つつ、しっかりとその対応を、早期施行するように取り組んでいきたいと思っております。

次のページを御覧ください。今、早期施行を目指して総務省頑張ってございまして、具体的に何を施行のために頑張っているのかということを簡単に御説明したのが次のページになってございます。

施行日政令、早期施行を目指して頑張りたいと思っていますが、政令の策定は当然するんですが、そのほか、省令、先ほど申し上げました法律上は14日以内の総務省令で定める期間を7日を原則とするとしてみたり、そういった省令のほか、この法律、昔、私が担当しているときはたった4条しかなかったです。今、30条ぐらいあって、複雑であるということでございまして、省令のほか、法律の解釈を示したガイドラインをこの際作ろうと考えているところでございます。

例えば、先ほど十分な知識・経験を持った人を選任して削除申出の対応をしっかりしてくださいということを説明申し上げましたけれども、では、どんな知識を持った人がふさわしいのかとか、そういったことをガイドラインに書くことを考えてございます。

③番が今回のメインテーマというか、御議論、御説明のポイントの1つですけども、違法情報ガイドラインというものが今現在検討しているものとしてございます。これは実は情報流通プラットフォーム対処法にはこういったガイドラインを策定せよというふうな規定は存在しないんですけれども、国会の審議でこうした情報流通プラットフォーム対処法議論をしている中で、特に国会の中で、違法情報とか、権利侵害情報は著作権とか一定程度明らかであるというこういうことですけれども、違法情報って何なのというのを一般の人は分かりませんよねという話があって、なるべく具体化してほしいというふうな御要望がございましたことから、違法情報ガイドラインを作ろうということで権利侵害情報も含めてどのような情報を流通させることが権利侵害や法令違反に該当するのかを明確化するということで定めようと現在取り組んでいるものでございます。

闇バイトの関係で、御案内かもしれませんけれども、闇バイトの関連で年末年始で議論がありましたけれども、例えばあれは職業安定法上、実は違法な募集行為であるということを違法情報ガイドラインに盛り込むということで、あまり詳細は立ち入らないですが、ある仕事の募集があって、その募集は職業安定法上は、給料とか、そもそも誰が募集しているのかちゃんと明示しないと違法ですよということなんですけども、そういったことをこのガイドラインに書き込んで明確化を図るということで、このガイドライン、誰向けかというと、国民向けでもありますが、事業者もこれを踏まえてしっかりと適切に対応してほしいという思いが込められたガイドラインですので、そこに書き込むことによってしっかりと対応を促してまいりたいと総務省としては考えてございます。

違法情報ガイドラインも、今回、こういったものを出すのは初めてなんですけども、従来はこういったもの、何が違法かというのは、これは総務省がクレジットなんですけれども、なかなか行政がこうだと限定、断定することは難しいというところで、なかなか人によっては一歩出過ぎなんじゃないかという意見もいただいたところですけれども、なので、ガイドライン上は、こういった場合には違反に該当し得るとか、曖昧な形で書いているところもあって、これをもって直ちに全てが解決するというわけではございませんが、様々な関係各省さん、文化庁さんも含めて、厚生労働省さんが職業安定法の所管ですけども、もちろん法務省さん、関係省庁の方々と連携しながら、総務省のクレジットであるものの、今回新しく策定させていただこうと考えているものでございます。

もちろん各省さんにおかれましてこういったガイドライン、さらに精緻化していくということはあると思いますが、なかなか行政一般として、ある情報が違法である、権利侵害であるとなかなか断定するのは難しい中で、我々として、政府として頑張っているということは御理解いただければと考えているところでございます。

省令に関しましては、戻ってしまういますが、指定要件、例えばEUのデジタルサービス法の話をさせていただきましたけれども、彼ら、EUの規律は、人口の約1割と、欧州の人口の約1割と想定していますので、日本でも平均の発信者数が大体1,000万ぐらいかなということで、そういった閾値を設けて指定しようと考えております。施行された後に、なるべく早く指定をして、こういった義務をしっかりと履行していただきたいと我々としては考えているところでございます。

省令でついでに申し上げると、指定だけではなくて、自分の基準、ポリシーとか利用規約とかいうふうに事業者が言っているものは、変えるときにはちゃんと事前周知してねとか、周知をする期間は大体この期間だとか、あるいは運用状況の公表というのはポリシーとか利用規約に基づいて削除等対応していますけれども、あるいは法律上の義務に基づいて色々対応いただいていますが、どういった対応、何件申出があって、どんな対応をしているんですかということも、これまでプラットフォーマーは一定の社会的な責任があるという議論が内外でございましたけれども、透明性を確保してほしいという声も強かったことから、これ、総務省としては期待しておるところですけれども、そういったどんな項目を公表してもらうのかとか、そういったものを省令に書いてございます。

ちなみに、この省令とガイドライン、特に①と③に関しましては、今パブリックコメントをかけておりまして、1月23日までがパブリックコメントの期間でございます。なので、今パブリックコメント期間中でございます。

次のページを御覧ください。違法情報ガイドライン、全部で30ページぐらいあるんですけれども、簡単な概要だけここに書かせていただいております。少しややこしいですけれども、上の薄い水色の箱の中の1ポツ目、どのような情報を流通させることが権利侵害や法令違反に該当するのか明確化すると。

大規模特定電気通信役務提供者、これは大規模なプラットフォーム事業者ですけれども、しっかりとポリシーとかを策定する際に盛り込むべき違法情報を例示する。権利侵害情報も含めて例示する。

あわせて、運用状況を事業者が公表するに当たって、可能な限り、申出の受付件数等をガイドラインの分類に基づいて区分すると。そうすると、後々、検証作業をする際に、議論をする際に、しっかりと義務を履行しているかどうかというのが分かるということで、総務省としては、まだこれは施行されておりませんけれども、ネット上の権利侵害、あるいは違法な情報の流通に関してかなりの効果があるのではないかと思っておりまして、期待しているところでございます。

もちろん下のほうのタテ1の権利侵害情報の見出しを見ていただくと、著作権及び著作隣接権と明示されておりまして、関連する裁判例もあわせて掲載しているところでございます。

法令違反情報は、先ほどの闇バイトの関係もそうですけれども、2番で書いておりまして、完全にかなり詳細に書くのはなかなか、行政が断定するのは難しいという観点から、概要のみ書いているという、概括的な内容になっているところもあるんですけれども、別添、その次のページを見ていただくと、抜粋を出していますけれども、参考として、こういった中身のガイドラインを、著作権と著作隣接権に関しては1-1-8というところで、こういった書きぶりを文化庁様と連携しながら記載させていただきました。

判例は、「別紙」として右肩にありますけれども、音楽教室事件とか、あと、ロクラクⅡ事件とか、そういったものを掲載させていただいております。

このほか、他の法令違反情報とか権利侵害情報の判例も載せているものでございまして、現在パブリックコメント中というステータスになってございます。

簡単ですけれども、私からの説明は以上となります。

【太田主査】ありがとうございました。ただいまの御発表について御意見、御質問がございましたら挙手をお願いいたします。オンラインの方々は挙手ボタンにてお知らせください。

坂井委員、どうぞ。

【坂井委員】エンターテイメント表現の自由の会の坂井と申します。御説明ありがとうございます。いつもこの法律のパブコメなんかも我々の団体として出させていただいていて、いろいろと御配慮ありがとうございます。

その上で、今回著作権法に限ってというお話なんですけれども、3点ほど気になっている点がありまして、まず1点目が、何をもって違法とするかというところ、例えば特に気にしているのはパロディーとか、二次創作とか、そういったものは、国内と海外では裁判も含めてあるいは法律も含めて若干運用が違うと思っています。そういうところは基本的には国内法の対処にしてもらいたいなとは考えております。

というのも、こういったプラットフォームは、日本国内のものも当然ありますけれども、欧米の企業というものもありますので、彼らの基準というものが削除する、しないの基準になってしまうと困るなと考えているのが1点です。

それから、当然違法情報というものがどの程度のものかというのがあるとは思うんですけれども、私の記憶だと、15年ぐらい前かな、韓国で子供、幼稚園の子だったと思いますが、お遊戯会か何かで歌を歌ったものを、要は著作権処理がちゃんとされてないようなプラットフォーム、たしかブログだったと思うんですけれども、そういうところに載せたところ、ある権利団体からその5歳の子が歌っている歌が著作権法違反だからということで削除してくださいというような事態があって、それもまたいろんな裁判に発展したと報道があったと記憶しています。

個別の事例について、これは違法だとか違法じゃないとかあるとは思うんですけれども、特に我々消費者の団体として著作物を使わせてもらうような感覚からいうと、5歳の子が歌を歌っている画像を削除するというのはちょっとやり過ぎじゃないかな。ここら辺は専門の先生方いっぱいいらっしゃるので、御意見あると思いますけれども、というふうに考えています。そういったところの何らかの配慮というものはしていただきたいなと考えております。

それから、これは最後、確認なんですけれども、著作権法って親告罪だと認識をしています。このガイドラインというのは、権利者じゃない人がこれは違法情報ですよと言った場合、どういうような扱いになるのかというところはちょっと教えていただきたいなと考えています。

3点、以上です。

【太田主査】入江様、よろしくお願いします。

【総務省(入江氏)】1つ目と2つ目に関連して、基本的に我々が想定しているのは国内法、日本国の法律の解釈と考え方に基づくものと、これはプラットフォーマーにも説明しているものとなってございます。

なので、御懸念は大丈夫と思っておりまして、まず1点強調させていただきたいのは、総務省が関係省庁の個別法の解釈を今回のガイドラインで変えるということは全く考えておりませんので、従来の整理、個別法に関する整理をそのまま引き継ぐと理解いただければと思っています。

3つ目が、権利侵害、被害を受けた方、被侵害者と我々言っていますけども、被侵害者は今回この制度を利用できます。被侵害者ではない方は、削除対応の迅速化と呼んでいますけれども、この義務はかかってこないということになりますので、一般的なユーザーレポートとか、プラットフォーマーの申立手続に従ってやっていただくということで、今回の権利侵害の迅速化は、あくまで権利侵害に関しては被侵害者の方が申出ができるという制度になってございます。

【太田主査】よろしいでしょうか。

【坂井委員】ありがとうございます。ぜひともガイドラインにもその旨強調していただければと思います。ありがとうございます。

【太田主査】次に、伊東委員、どうぞ。

【伊東委員】ABJの伊東です。大規模プラットフォーム事業者に対して、対応の迅速化や運用の透明化というのは、非常に大きな、我々、IPを扱う者としては、大きな改正かなと、前進の改正かなと思って非常に感謝しております。

また、ガイドラインにおいてきちんと著作権や、商標などを明記していただいたことで、より分かりやすいものになるのではと非常に期待しております。

1点だけ確認したいのが、第26条で規定されていますが、大手プラットフォームが、いろいろ条件はありますけれども、自ら侵害情報を削除できると、送信防止措置を講ずることができるというような規定があります。これは我々、権利者側が一々発見して削除要請を送らないとなかなか今まで削除されなかったものが、プラットフォーム側が削除できるというふうにきちんと明確化されております。この意図として、総務省さんとしてどれぐらいプラットフォーム側が頑張って動くことを期待をしているのか、どういう絵図を書いていらっしゃるのか、逆にプラットフォーム側が不安に思っていたり、これをどう受け止めているのかというところすなわちプラットフォーム側が削除できるということが実際どのように動いていくのかという点が非常に気になります。その点に関してはいかがお考えでしょうか。

【太田主査】入江様、よろしくお願いします。

【総務省(入江氏)】御質問ありがとうございます。我々としては、プラットフォーム事業者が、ネットサーフィンをしている中で、権利侵害、著作権侵害のコンテンツを見つけた場合ということで、どう対応するかということですけれども、なかなかプラットフォーマー事業者自体が、これ著作権侵害だなと判断する能力が彼らはなかなかないということなので、今回の情報流通プラットフォーム対処法、成立いたしましたけれども、これは大変御面倒をおかけするところ、やはり申出の手続は、申出は必須かなと思っていまして、今回申出の手続の迅速化を図るというふうなアプローチを取らざるを得ないのかなと思っているところでございます。

なので、我々としては、今回の法律の成立、施行された暁には、申出手続の迅速化、窓口も含めて、対応の結果の通知の期間内に通知しろというふうなことも含めて、申出手続が迅速化することによって、これでも不十分だというふうな声は重々認識しておりますけれども、一歩踏み込むと、一歩前に進むということが期待されるのではないかと考えてございます。

【太田主査】よろしいでしょうか。

【伊東委員】ありがとうございます。

【太田主査】ネット上の墳﨑委員、どうぞ。

【墳﨑委員】コンテンツ海外流通促進機構の墳﨑です。お世話になっております。

私のほうからも1点だけ質問させていただければと思います。一定規模以上のものを大規模プラットフォーム事業者として定めて、指定して、こういった窓口設定などを義務づけ、それが必要になるというのは非常にいいことかなと思っております。これに関しては、私の理解だと、刑事罰とかも、報告徴収とか、あとは刑事罰とかも用意されているという理解で、ぜひ実効的にやっていただきたいと思うのですが、結局、要は、我々がすぐ思い浮かぶような大規模プラットフォームというのは、それなりにやっぱりどこも窓口とか設けているわけであって、やはり問題となるのは、それら制度が整っているサイトを嫌がって、まだ未整備のところとかに侵害が移っていくところだと思うのですね。そういったときにやっぱり、ある程度そこの侵害量とかが多くなってきたときに、指定していただいて、対処していく、要はそういうふうなことを義務づけていくということができると非常にいいなと思います。今、要件とかというのはパブリックコメントで検討中と理解していますが、大規模プラットフォーム事業者の指定とかというのはどれぐらいの頻度で、見直しとかをやるおつもりなのでしょうか。どういったプロセスを踏むとか、お教えいただけないでしょうか。

【総務省(入江氏)】指定に関する御質問ですけれども、施行が春頃されて、可及的速やかに、データとかを提出していただいて、先ほどちょっと申し上げました、平均の発信者数が1,000万を超えるかどうかとか、そういった閾値をクリアしているかどうかというのを報告徴求、徴収という形で、我々が目をつけた事業者からいただきますと。その後指定をするんですけれども、基本的には頻繁に指定の解除とか、もちろん1,000万じゃなくなった場合には指定を解除するという規定がございますけれども、基本的には大規模プラットフォーム事業者は、1回指定されたら、よほどの事情変更がない限り、指定をされると思っています。

そのほか、指定した以外の事業者で1,000万を超えているよね、最近と、そういったものがあれば、我々としては、法律に基づきまして報告徴収をして、指定を追加的にするというのはもちろんあると思います。

我々としては、これで施行されて終わりというわけではなくて、総務省で有識者会合をつくっておりまして、モニタリングもしていこうと思っていますので、モニタリングの結果を踏まえて、適切に追加指定とか、そういったことをしたいと思っております。

【墳﨑委員】ありがとうございます。

【太田主査】ありがとうございます。他にございますでしょうか。

仁平委員、どうぞ。

【仁平委員】日本ネットクリエイター協会の仁平と申します。よろしくお願いいたします。

私のところは個人クリエイターさん、個人利用者さんの団体なんですけども、割と頻繁に私のところに相談に来るのが、今回のこの1番に書かれている他人の権利を不当に侵害する云々というところで、名誉とか、プライバシーとか、その辺りの相談事がすごく実はたくさん来ます。この辺り、仮にいろいろな大手サイトの中でそういう受付窓口を設けてくれたとしても、個人クリエイターさんがそこに対していろいろなことを希望する、お願いするというのが難しいというのがかなり現状あるんですね。

というのは、明らかに、例えば本当に名前がぽんと出ていて住所と書かれていたら、これはもう削除してくれなんですけど、我々が見てもこれが何で誹謗中傷になっているのかというのがなかなか分かりづらくて、でも本人はそれで心を病んじゃってというようなことが意外とあります。実際私が今関わっているクリエイターさんでも、裁判を起こしている事例なんかもあるんですね。

なので、そういった意味で、この辺り、特に個人クリエイターの名誉とかプライバシー云々の部分に関しては、何となく思うんですけど、相談窓口、大人の人がちゃんと受けてあげて、相談窓口の人との相談の中で、相談窓口の人が代理でそのサイトに対して何か申立てなり希望を出してあげるというような、そういう仕組みも必要なのかなとちょっと今感じました。

実際、私がお話ししたような今裁判沙汰になっていますよみたいな名誉毀損の話も、本人、何をしていいか分からなくて本当に病気になっちゃったというところからスタートなんですね。だからちょっとそういう意味では、ネットの中の特殊性があります。本当にこれが何でプライバシーの侵害になるのかがちょっと分かりづらかったり、なぜ嫌がらせになっているのか、ちょっと分かりづらかったりするようなところもあるので、その辺り、「まずは相談してもらって、それを専門家が分析して対応策を出してくれる」というような相談窓口があればと誠に勝手ながら思った次第です。

以上です。

【太田主査】入江様、よろしくお願いします。

【総務省(入江氏)】ありがとうございます。2つの論点があるかと思っていまして、まず、被害を受けた方が、なかなか自分自身で行動できなくなってしまうという可能性があるということに関しましては、一応法律上は代理が可能です。なので、代理をお願いするというふうなことで解決できるのではないかと思っています。

次のページですけど、2-2.2つ目の論点としては、これは非常にいい御指摘というか、難しい御指摘でありまして、どんな情報が名誉毀損なのか、プライバシーなのかというのは、これはクリエイターさんだけではなくて一般の人にとっても同じような問題でございまして、なかなかこれはプラットフォーム事業者側も、請求されても、これ本当に誹謗中傷なのかというのは直ちには分からないというところでございまして、結局被害を受けたと思われている方しか分からないというのもありまして、これはクリエイターさんだけじゃなくて、非常に全体にわたる難しい問題であると考えてございます。そういった御指摘も常々我々もいただいていますので、短期的に解決できる問題ではないかと思いますけれども、しっかりとネット上の誹謗中傷対策を引き続き続けていきたいと総務省としては考えてございます。

【太田主査】よろしいでしょうか。

【仁平委員】ありがとうございます。

【太田主査】ネット上の菅委員、どうぞ。

【菅委員】いつもありがとうございます。小説家の菅です。自分は発信する側であり、二次創作もする側であり、いろんな立場がありますので、2点だけ、お願いといいましょうか、したいと思います。

先ほどから坂井委員、仁平委員がおっしゃっていましたように、まず基準をつくる、そしてそれを明確化するということは大変ありがたく思っています。大体出した側というのは、これは絶対違反だという海賊版でない限りは、自分が何が悪かったかというのが分からないまま削除されてしまう場合もあるんです。例えば、デザインであったのか、音楽であったのか、総合的なものを自分一人でつくっていると分からないんですね。どのワードが引っかかったのかも分からない。ですので、何が引っかかったか、そして申立ては誰がしているのかをちゃんと分かるようにしていただきたい。

Youtubeなどでは、海賊版に対しては、例えばソニー・ミュージックエンタテインメントからの申立てですと名前がちゃんと出ていて、ああ、なるほど、これは海賊版だったんだとみんなが分かるようになっているのですが、そのように何が、誰がというのは分かるようにしてほしいと思います。

その何がをもう少しためていくと、今度は、これが駄目だったんだ、あれが駄目だったんだという常識、民意というのが確定してきますので、つくる側も前もって、これは駄目っぽい、これは大丈夫と自信を持って発信できるので、クリエイターにとっても線引きというのはとても大事なことですので、そこは明確にしていただきたいと思います。

もう1点ですが、訴えられた、さっきもそうですけど、訴えられた側がちゃんと反論できる、先ほど仁平委員から相談窓口とおっしゃいましたけど、ちゃんと反論できるようなところを、仕組みをつくっていただきたいと思います。先ほどのラインをちゃんと引けば自分では分かると思うんですけども、それでも自分がちゃんとつくったのに、いわゆるやっかみとかで言われることがまあまああります。なりすましとかもそうなんでしょうけどもね。悪くないのに批判されることがあった場合に、自分の正当性をちゃんと主張できる場があってほしい。それはオープンでなくても、私は何が悪いんでしょうといった場合に、これこれこういうふうなことを言われていますよとちゃんと返事が欲しいんです。私が申立てをしたときには、うちの規約に違反しましたという定型が3回返ってきて、規約のどれだというのが全く分からなかったんですね。だからそれはちゃんと相談して、指さし確認でここと言ってほしい。

この問題は、プラットフォーム側が自分で自己検閲のような形で削除する場合にはもっと問題になります。プラットフォーム側、規模が大きいですので、例えばセンシティブワードなんかは自動で嫌ってしまうんですね。ところが、センシティブワード、私の場合だったら、「ボケて」という画像に対してウィットで返すサイトを愛用していて、それがどうも引っかかったらしいんですよ。でも、どういう言葉であれ、裏表がありますから、一括でがばってやられてしまうと反論のしようがない。そういうときに定型で引っかかりましただけでは納得できない。ので、きちんと反論ができる。そしてそれは定型ではなく、ちゃんと個人として、先ほどおっしゃった、大人の人がちゃんと教えてくれれば悪いところは改められると思います。あまり行き過ぎたことになると、デジタルタトゥーになってしまって一生引きずることにもなりますので、そこは慎重にしていただきたいと思っております。1回何かあった場合、取り返しがちゃんとついて、名誉が回復できるような仕組みというのをよろしくお願いいたします。

【太田主査】では、よろしくお願いいたします。

【総務省(入江氏)】ありがとうございます。これから、冒頭申し上げましたけれども、プラットフォーム事業者、これまで何を、どういうふうな基準で、どういうふうな判断で、削除対応としていたのかというのは分からなかったところが、今回新しく法律が施行された暁には、彼らの行動が一定程度明らかになるというふうなことが期待されますので、運用状況を見つつ、何がどうすればより改善するのかというふうなことを議論していきたいなと総務省としても思っております。

我々としては、発信者のほうの表現の自由も非常に大事だと思っておりまして、ただ消せばいいと、何で消さないのというふうな声もある一方で、発信者の表現の自由というのを守るというふうなバランスを取ってきたというふうなスタンスでございまして、そういった観点で、反論の機会を与えるというふうなことも含めて非常に重要な御指摘だと思いますので、先生の御意見を踏まえて総務省の会合でも議論をしていきたいと考えてございます。

【太田主査】よろしいでしょうか。

【菅委員】ありがとうございます。よろしくお願いします。

【太田主査】ありがとうございます。ほかに御意見、御質問ございますでしょうか。

福井委員、どうぞ。

【福井委員】委員の福井でございます。私、不勉強でこのガイドラインのことあまりこれまで勉強してこなかったんですが、今、配付いただいているくらいの詳しさで最終的にガイドラインとしては完成する御予定ということでしょうか。

【総務省(入江氏)】総務省でございます。お配りさせていただいたものが現在パブリックコメントにかかっている著作権と著作隣接権の内容となってございます。ので、これが基本的にはガイドラインになることを想定してございます。

【福井委員】分かりました。では、感想まじりのコメントということになりますが、特に名誉権、名誉感情、プライバシーから始まり、商標権、営業上の利益まで、どういう場合に各権利、利益の侵害が成立するかを明確化するという目的に関していうと、記載いただいているものは、率直に言って、最高裁判例等の要約の紹介と言うべきものであって、恐らくどういう場合に侵害かということの現場の判断にはほとんど役に立たないだろうと感じます。それが悪いということではなくて、現状だとそんな感じだろうと、実際にそういう判断をしている立場としては感じます。

これをもし現場が現に判断できるようなガイドラインにしようとする場合、自分の乏しい経験から申しますと、デジタルアーカイブ学会で2021年に発表した肖像権ガイドラインというものがあります。御存じのとおり、肖像権に関する最高裁の判例は、6要素の総合考慮で、受忍の限度を超える場合に肖像権の侵害に当たるという基準を挙げておりますが、現場では総合考慮の結果が分からないので判断がつかないのですね。そこで過去の裁判例全てメンバーで解析をいたしまして、どういう要素が言わば侵害になりやすい要素になり、どういう場合は侵害になりにくい要素になるかをポイント制で民間ガイドラインとして公表いたしました。今から4年前になります。解説含めて約50ページのものです。これはあくまでも民間ガイドラインですから、参考に資するという程度のものなんですが、幸いなことに、今はメディアの現場などでもかなり利用が広がっていらっしゃるそうです。

その経験からも、もし本当に侵害の判断に資するものをつくろうという場合、この先の作業が恐らく重要になってくるだろうと感じます。ただし、それをつくるときには、先ほども非常に慎重な言い回しをされていたと思いますけれども、政府がどこまで主導的な役割で何が侵害で何が侵害でないかのガイドラインを出していくかということが恐らく問われていくと思います。その辺り、ある種のアームズレングスを持った議論の場ということもお考えになりながら、現場が本当に予測可能性のあるようなガイドラインの今後にも注視したいなと感じました。

ちょっと感想まじりですが、以上です。

【太田主査】もしご回答がありましたら。

【総務省(入江氏)】福井先生ありがとうございます。まさに御指摘はごもっともということでございまして、ガイドラインは今回総務省のクレジットで定めましたけれども、これでおしまいということでは全くございません。いたちごっこの世界もありますので、例えばあまり詳細なものをつくると、それを回避するような連中が出てきたりするという副次的な効果もあるかもしれませんし、詳細なものを、政府がどこまでやれるか、どこまで書くかという、その2点がなかなか難しい問題であると考えておりまして、今回はこのような形で整理させていただいていますけれども、これでおしまいというわけではないので、著作権の範囲、著作隣接権の分野においては、文化庁様と連携しながら、さらに補足的なものを検討するかとか、そういったことも含めまして、基本的にはそういった個別法のどう明確化を図っていくかというのは、総務省の権限を越えていますので、関係省庁さんと連携しながら検討を進めてまいりたいと考えているところでございます。

【太田主査】よろしいでしょうか。今の福井委員の御発言に関連してなのですけど、僕のほうから1つお願いします。別紙2ページの最高裁の判例の要約ですが、これは、事実関係を読んだ上で見れば意味が分かるけれど、それなしにこれを見て、そこから逆に自分の事案の事実関係が当てはまるかどうかという逆写像は法律家にも判断が難しいのではないかという気がします。あと、違法情報事例以外に、人々が載せようかなと思って迷ったときに、でもオーケー、合法となるという例が示してあると、人々は非常に安心して、クリエイター等も載せやすくなるのではないかと思います。そういうオーケーの例も例示する方向はないのでしょうか。以上2点、お願いします。

【総務省(入江氏)】総務省の観点からすると、今回、判例として載せているもの、これだけを見て、これ事案の概要も何も書いてないので、これだけを見てすぐに何か判断ができるかというと、例えば最初の音楽教室事件も、諸般の事情を考慮するのが相当であると。諸般の事情ってどんな事情って話になってしまうというのはありますけれども、そこにつきましては、また文化庁様と連携しながら、プラスアルファでどんな情報を政府として公開することが望ましいかというのを議論していきたいと思っているところではございます。

【籾井著作権課長】今の総務省さんからのコメントに少しかぶせるような形になりますけれども、今日御説明いただいたのは、分野横断的にいろんな違法情報ですとか権利侵害情報に関する取扱いについてということで、繰り返しおっしゃっていただいたように、なかなか個々の分野に踏み込んでいくのは限界がある中で、先ほどいろんな委員の皆様から、日本における二次創作だったりパロディーだったりの考え方というお話もありましたし、あともう少し明確に、どういった場合に権利侵害に当たるのかという可能性が高まるような記述があったほうがいいんじゃないかという御指摘もございました。

このガイドラインができますと、いろいろこれまでの著作権侵害に関する取扱い、環境が少し変化してくる部分もございますので、そうした点も踏まえまして、また引き続き著作権分科会において様々な議論の整理をしてまいりたいと考えております。

【太田主査】ありがとうございます。他にありますでしょうか。

ありがとうございます。

それでは、次に、議事(2)、「DX時代におけるクリエイターへの適切な対価還元方策について」に移ります。資料2及び参考資料2から4に基づきまして事務局より御説明をお願いしたいと思います。

【持永著作権課課長補佐】事務局でございます。まず資料2について説明させていただきます。本小委員会では昨年度から前回まで様々なヒアリングなどを行ってきており、多くの御意見を頂戴いたしました。著作権関係のものや、著作権とは離れるものも含め、多くの意見を頂戴したところですが、著作権分科会の政策小委員会としては、著作権に関連するものを特に中心に据え御議論を深めていただきたく、その観点から今まで出てきた主な御意見をまとめましたので、御紹介させていただきます。

また、資料2で主な御意見の紹介の後に、前回のヒアリングの際にいただいた発表などを踏まえまして、アニメ分野における対価還元方策の御議論に資するよう、アニメのビジネスモデルに関して、権利の所在や対価、契約、各モデルにおける課題などをまとめさせていただきましたので、そちらも参考資料として紹介させていただきます。

それでは、資料2になりますが、こちら、クリエイターへの対価還元に関するデジタルプラットフォームサービス関係のこれまでの主な御意見をまとめたものでございます。資料ではまず音楽とアニメ関係に意見を分けて記載しております。

まず1ポツの音楽関係ですが、著作権等管理事業者の使用料規定の役割に関するものとして頂戴した御意見としては、管理事業者は、委託者への対価還元の最大化に向けてデジタルプラットフォームサービス事業者と協議を行い、使用料規程に基づき使用料を決定している。また、必要に応じて料率の見直しを行っているという御意見がございました。

次に、サブスクリプションサービスにおいてもただ音楽配信をするだけではなく付加的なサービスもあり、こういうサービスについてどのような使用料規程の適用が適切なのかを各プラットフォーム事業者と時間をかけて協議し、適切な対価還元を目指している。

次に、様々な付加サービスが出てきている中で全てを先回りして使用料規程をつくっていくことが極めて難しく、契約の透明性確保のために使用料規程が果たす役割は相対的に低下している。

次に、欧米では事業者の収入に対して使用料は15%がデファクトとなっていて、これを引き上げる方向性が出てきているが、日本は使用料規程の上限に縛られているという御意見がございました。

次に、対価の適正性に関するものとして、フィジカルの場合は最初の発売のときに配信に比べると比較的大きな一時的収入があるが、サブスクによる配信の場合には長く続くという特徴があり、また、様々な付加的なサービスもある中で、単価を単純に比較することはできないといった御意見。

次に、契約の条項に監査条項などを置くことで配信事業者からの報告内容の信憑性を担保している。

次に、対価還元の算定根拠となるプラットフォーム事業者の収入、例えば広告料収入やサブスクリプション収入がどのくらいあるのかについて確信が得られないといった御意見がございました。

次に、情報公開の在り方に関するものとしましては、管理事業者とユーザーアップロード型サービスを持つプラットフォーム事業者との具体的な交渉や契約内容については、クリエイターに開示されず、対価還元の仕組みや計算方法が不透明であるといった御意見。

ページめくりまして、クリエイターに提示される明細には、1再生当たりの著作権使用料等の情報はなく、著作権使用料支払いの対象となる楽曲ごとの再生回数と金額のみが含まれる形となっており、例えば定められたどの使用料率に基づく支払いなのかは確認できず、また、いつ、誰が再生したかなどを知ることができないといったものがございました。

次に、プラットフォーム事業者とのNDA、秘密保持契約になりますが、こちらにより開示できない情報がある一方、プラットフォーム事業者から承諾を得た上で、クリエイター向けに具体的な料率を含めた契約条件を示している管理事業者もある。

次に、交渉力向上のために、より適切な対価の還元を得るためにどうどうすればいいのかということについての意見交換会は有用性がある。

次に、サブスクリプション型のサービスにおいて、利用者の多いプラットフォーム事業者は再生数に応じて現在の条件より高い著作権使用料を支払うべきではないかとのクリエイターの意見も存在する。そういった御意見ございました。

ここまでが音楽関係でいただいた御意見になります。次にアニメ関係についていただいた御意見について御紹介いたします。

まず、配信プラットフォーム事業者の登場による市場変化に関するものとして、配信プラットフォームを介して世界に向けて発信できるようになり、つくり手としてのチャンスが広がった。

次に、配信事業者からの大規模な制作費の投下によってクリエイターの待遇が改善するとともに、製作・制作に関する時間的・金銭的見通しが立てやすい。一方、配信に限らず、社会全体の労働環境の整備に伴い、アニメ制作会社の労働環境が改善しつつあるという実態もある。

次に、サブスクリプション型の配信が伸びたことで作品ごとの収益性が下がった。

次に、外資系配信事業者との契約に当たり、国内企業の交渉力が弱いといった御意見ございました。

次に、情報公開の在り方に関するものとして、次の作品を検討するに当たり、マーケティングのデータを十分に開示してほしいと考えるが、配信プラットフォームにおいて作品が配信される際、視聴者の年齢層や男女比、家族構成といった詳細な情報が開示されていない。

次に、配信プラットフォームでは、合計の視聴時間について公表していることに加え、制作会社等と向き合っているプロデューサーはさらに細かいデータも提供しながら次の作品づくりをしているといった御意見ございました。

次、ページ移りまして、著作権に関する取扱いに関するものとしては、配信プラットフォームにおいて、著作権譲渡もしくは将来の続編やリメイクの権利も含めた権利の長期取得を行っている実態があり、事実上、権利を吸い上げるのに近いと評価できるのではないかという御意見がある一方で、全ての場合において配信プラットフォームが権利を根こそぎ取得するわけではなく、どのタイミングで資金を得たいかにより権利者が選択しているという御意見もございました。

次に、製作委員会方式の場合は、著作権は制作会社から製作委員会に譲渡することになるといった御意見ございました。

次、対価の適正性に関するものとして、アメリカにおいては、ギルドと配信プラットフォームとの交渉により契約の条件を改善する例が見られるところ、日本のアニメ業界においても共同で交渉していくことも考えられるが、配信事業者との秘密保持契約もあり、アニメ制作者間での契約条件の協議を行うことは難しい。

次に、クリエイターへの対価還元を考える際の前提として、まずどんな職種があり、どんなスキルに対して幾ら支払うのかという共通認識が必要なのではないかといった御意見ございました。

次に、追加分配に関するものとして、アニメ制作会社が著作権を保有している場合には二次利用に対する使用料収入がある。製作委員会方式の場合は、アニメ制作会社が製作委員会に出資すれば二次利用に対する使用料収入が見込めるが、出資できないケースも多いといった御意見ございました。

次に、グローバルな配信事業者の中には許諾の対価はフラットフィーでかつ契約期間中の長期の分割払いという例もある。

次に、どこまでを追加分配の対象とするかは、製作委員会方式であっても、契約により当事者間での合意は可能といった御意見ございました。

次、再掲になりますが、クリエイターへの対価還元を考える際の前提として、まずどんな職種があり、どんなスキルに対して幾ら支払うのかという共通認識が必要なのではないかといった御意見ございました。

資料2の説明は以上となります。

現在よい方向に進んでいるという趣旨の御意見もございましたが、課題としての御意見もあったところが分かります。

次、参考資料2の説明に移らせていただきますが、前回の会議のヒアリングの発表などを踏まえまして、アニメ分野においてはいろいろなビジネスモデルがあることから、対価還元の施策を検討するときはそれぞれのモデルを比較しながらのほうがよいのではないかと考えまして、事務局においてこちらをまとめさせていただきました。

ビジネスモデルは、大きくは、アニメの利用方法と制作の企画・出資者ごとに分けられるかと思いますので、そちら、列ごとに分けたビジネスモデルを示しております。

各ビジネスモデルについて、利用方法、制作の企画・出資者、つくられたアニメの著作権の所在、アニメ制作会社の収入構造、ヒット時の視聴に対する収入増加分に係る制作会社への追加分配、一次利用の対象地域、課題などをまとめております。

なお、こちらは典型的な例として記しておりますので、この表に当てはまらないものもございますので、その点を御了承ください。

テレビ放送についてですが、こちらはテレビ局が制作の企画や出資者になるものと製作委員会方式でつくられるものがございまして、それぞれ記載しております。

テレビ局のものは、著作権の所在は制作会社に残ります。

制作会社の収入構造ですが、テレビ局からは著作権を譲渡するような場合よりも定額となる収入を得ていることになります。

また、あわせて、保持している著作権を生かした長期的な二次使用の収入も見込まれます。

次に、ヒット時の追加分配についてですが、こちらは特にない場合が多いと考えられます。

一次利用の対象地域は、テレビ放送ですので、国内となります。

このモデルについての課題については、まず、制作会社に著作権が残ることになりますが、それを活用するノウハウが制作会社にない場合もあるというものがございます。

次に、制作費に関することですが、テレビ局が企画・出資する者となりますので、テレビ局の予算の制約を受ける可能性があるというものがございます。

次、右に移りまして、テレビ放送のうち製作委員会がつくっているモデルですが、いわゆる製作委員会方式と言われるものですが、こちらについては、一次利用先がテレビ放送か、劇場公開される商業映画かの違い以外は大きな違いはないかと考えられますので、それぞれの利用先に合わせて説明いたします。

製作委員会方式については、制作の企画・出資者は製作委員会となります。

そして、つくられたアニメの著作権の所在ですが、制作会社から製作委員会に譲渡されるものが多いと考えられます。

では、制作会社の収入構造はといいますと、製作委員会からの対価は、著作権譲渡に対する対価も含み、一般的なライセンス契約よりも高額であると考えられます。

また、この場合は、著作権を譲渡しておりますので、二次利用による著作権使用料の収入は通常ございません。

次に、ヒット時の追加分配ですが、こちらは契約次第となるかと思います。

次に、一次利用の対象地域ですが、テレビ放送は国内となりますし、商業映画として制作されたものは通常国内の場合が多いのではないかと思います。

このモデルについての課題ですが、収入構造のところで触れましたが、制作会社に著作権がないため二次使用料の分配が受けられないというものが考えられます。

次、右に移りまして、デジタルプラットフォームに関するものです。こちらは前回のヒアリングでもございましたが、近年新たに見られる利用方法として配信がございますので、このようなビジネスモデルについてまとめさせていただきました。

デジタルプラットフォームにおける配信は2種類ございまして、既存のコンテンツについてライセンス契約で配信する場合とデジタルプラットフォームにおける配信用にオリジナルコンテンツをつくる場合があるかと思います。

既存のコンテンツの配信契約については、制作の企画・出資者から制作会社の収入構造については、デジタルプラットフォームとの関係では特にこの場で取り上げるものではないと思いますので、割愛しております。

オリジナルコンテンツについては、制作の企画・出資者は当該プラットフォーム事業者になりまして、著作権の所在については、こちらはケース・バイ・ケースになるかと思いますが、制作会社に残る場合も、プラットフォーム事業者に譲渡されている場合もあるかと思います。

そして制作会社の収入構造ですが、著作権譲渡を含む場合はライセンス契約よりも高額になる場合が多いと思われまして、一方で、著作権が制作会社に残るような場合は、制作会社は著作権に基づく二次使用料収入もあり得るかと思います。

次に、ヒット時の追加分配ですが、こちらはいずれの場合も契約次第かと思われます。

一次利用の対象地域としては、こちらは配信ですので、国内に限らず、利用契約者がその対象となります。

このモデルの課題ですが、視聴者は利用者に限られるということがあります。

ほかに、こちらは契約次第になるかと思いますが、当該デジタルプラットフォーム以外での利用に制限がかかる場合がございます。

また、一次利用の対象地域が国内に限定されず、海外への配信が前提ですので、配信先に地域を考慮した表現に制約される場合があるということがございます。

ここまでがこちらの資料の説明となります。

次に参考資料3ですが、今期、対価還元の議論をする際に管理事業者に期待する役割の観点もお示ししたところでございます。

コンテンツの種類によりけりだと思いますが、特に配信といった新しい利用形態が広がってきている中で、使用料規程の中でその点意識したものがどれほどあるのかということについて簡単に整理いたしました。事務局にて幾つか管理事業者の使用料規程を調べまして、主立った者のものをピックアップいたしまして、どういった利用方法が規定されているか整理したのがこちらの表でございます。

縦の列に各管理事業者が使用料規程で定めている利用方法を記載しておりまして、横の行としては、著作権法上の権利ごとに使用料規程の中で触れられているものを記載しております。

配信に関するものとしては、4行目の放送を含む公衆送信の中で赤字で記載してございます。これが全てというわけではございませんが、配信について定めている団体もあれば、そうでない団体もあるといったことが分かります。

こちらについての説明は以上となります。参考資料で紹介させていただいた情報も踏まえながら、資料2でまとめさせていただいた御意見等についてより課題の深掘りでありますとか、対応として考えられる案がございましたら御議論いただければと思います。

私からは説明は以上となります。

【太田主査】どうもありがとうございました。

それでは、ただいまの御説明を踏まえ、意見交換を行いたいと思います。御意見、御質問がございましたら挙手でお願いいたします。オンラインの方は挙手ボタンでお願いいたします。

いかがでしょうか。

唐津委員、どうぞ。

【唐津委員】弁護士の唐津です。おまとめ大変だったと思います。ありがとうございました。

先ほどの発表の中で何度も出てきたワードの1つに契約ということがあるかと思います。いろいろなビジネスモデルをまとめていただいた対比表にも契約次第という文言も出てきまして、こう書かれてしまうと、じゃあ結局どうなんだというような意見も出るかもしれませんが、実際問題としてプラットフォームとの契約によって、著作権の取扱いであっても、対価についても、あるいは将来的な続編やリメイクの権利といったものも決まってくるので、やはり契約というのが非常に重要な要素になるかと思います。

この契約の交渉がもししっかりできれば、デジタルプラットフォームの側はグローバルな大企業だとしても、日本のコンテンツの制作者側がしっかり交渉できれば、権利を守る、あるいはよりよいビジネスチャンス、よりよい対価を受けることができるということになるかと思うんですが、じゃあ、契約に関して何かサポートできることはないのか。基本的には当事者間の交渉なので、頑張ってくださいということになってしまうとなかなか状況は変わらないと思うのですが、そこで一つできることが、これは数年前から恐らく取組としては政府のほうでもしているかと思うんですけれども、契約に関する啓蒙活動というか、研修の機会というようなことが一つあるかと思います。

以前、経産省さんのほうですかね、例えばプロデューサーの講座のテキストブックなどもかなりしっかりしたものを作っておられたかと思うんですけれども、ただ、日本のコンテンツ制作の現場ではやはり、現場に立っている方が改めて契約について学んでくださいと、研修に参加してくださいと言っても、皆さん非常に忙しくて、今、様々な分野でリスキリングというようなこと言われていますけども、なかなか日本のコンテンツビジネスの現場でそこに参加するのは難しいというようなことも感じております。

そうすると、もう一つ、何かできないかというと、その手前、例えば大学や専門学校などでこれからコンテンツビジネスのほうに入っていって活躍したいと考えている段階での教育というのは一つの考える価値があるのではないかなと思っています。

個人的に昨年の年末に近いタイミングである大学の講座の1こまを持つ機会があったんですけれども、こちらはコンテンツビジネスのコースを設けている大学さんで、1年目は例えば著作権を多くの方が取ります。2年目はコンテンツビジネス全体の概要についての講座があって、その中の1こまとしてコンテンツビジネスに関わる権利と契約というこまがあって、それを担当したんですけれども、さらに3年目になると、かなり実務的な契約を生徒さんたちが見て、実際に交渉などもやってみる。そういう講座をしていますと伺って、これは取組として非常にいいなと感銘を受けました。

やはりそのような段階ですと、学生さんですので、学ぶ時間がある。そういった方がプロデューサーとして現場に入っていくと恐らく契約交渉というのが少し変わってくるのではないかなあという気がしています。もちろん時間がかかる取組ではあるんですけれども、契約でいろんなことが決まってしまうという状態で、政府として何か後押しできるとしたら、寄附講座じゃないですけれども、そういった講座を設ける何かサポートができれば、あるいは変わるきっかけになるかもしれないと思っております。

すいません、長くなりましたが、以上です。

【太田主査】ありがとうございました。事務局のほうで何かリアクションがございますか。

【中原文化戦略官】御指摘ありがとうございます。私ども文化庁におきましても、例えばフリーランス法ができる前から、クリエイターの皆さんの権利を守るためのガイドラインというか、契約のひな形のようなものは作らせていただいてまいりました。それから、先生方に御尽力いただきながら、全てのジャンルというわけではないですけれども、クリエイターの皆様の権利を守るための契約の在り方にはどういうものをしたらいいかというような講座のようなものをさせていただいていますので、そうしたものの充実を考えていきたいと思っております。

【太田主査】よろしいでしょうか。

オンラインの内山委員、どうぞ。

【内山委員】どうもありがとうございます。私は要望ばっかりですけれども、資料2の1ページ目、トータルでいうと8ページなんでしょうかね、1ポツ、音楽関係の4つ目のポツで、欧米では収入に対して15%がデファクトと書いてありますけれども、これは誤用と誤解する人がいっぱい出てきそうなので、何の収入かというのはもうちょっと補足されていたほうが資料としてはよろしいんじゃないかなと。というのが1点目です。

次のページのアニメのほうに行って、情報公開の在り方についてというところがあって、1つ目のポツ、これは明らかにマーケティング情報なので、これ、著作権法の議論の中で載せる話かな、どうかなってちょっと疑問に思いました、正直言うと。もちろん確かに当事者同士でやればいい話であって、もちろんハードローで規定するような話ではとてもないように思いますし、かといって、じゃあ、もうちょっとそこから外したところの政省令であるとか、ガイドラインであるとか、そういったところに落としてでも、何かお役所が絡んでやることかどうかと、1ポツに関しては相当疑問を持ちます。

2ポツ目は、確かに、おととし、ハリウッドの大規模ストライキの中でも論点になったところなので、一応ギルド間の協定としては、ある程度開示されるようになったというのはファクトとしてはあるかなと思いました。

それから、参考資料の2、トータルページで33ページでしょうか。そこで、ヒット時の視聴に対する収入増分に係る制作会社の追加分配というところでおまとめいただいています。アメリカで言えば、レジデュアル・ペイ(residual pay/bonus)と規定される項目になってくることかなと思いますけれども、今回、アニメの話で閉じていると限定して考えますけれども、この委員会等の目的として考えなきゃいけないのは、本当に末端のクリエイターまでちゃんと分配が行くということだと思うんですね。そうすると、アニメのケースだと、テレビ局とか配信プレーヤーというレイヤーがあって、そこと契約するのが例えば動画協会さんなりに加盟されているような制作会社さん。そこまでにお金が行くかどうかというのもある意味で重要だと思うんですけれども、この委員会の趣旨的に考えるならば、そこから先の個人クリエイターまで行くのかどうかというのがありそうな気がします。

つまり、日本の構造でいうと、プラットフォームがあって、動画協会さん加盟の各社があって、さらに、例えばJAniCAに加入されているような個人クリエイターさんがいてと、そういう3層レイヤーになっているので、クリエイターへの還元といったときに、組織で閉じて考えるのか、あるいは本当に末端のクリエイターまで含めて考えるのかでいろいろ意図はあると思うんですけれども、もし末端クリエイターまでということであれば、本当に個人クリエイターまで行っているのかどうかというところを追記しなきゃいけないのかなと思いました。

以上でございます。

【太田主査】ありがとうございます。事務局のほうでリアクションございましたら、どうぞ。

【籾井著作権課長】ありがとうございました。幾つか御指摘がございました。15%の根拠のところは、ちょっと見直しをして誤解がないように記載をさせていただきます。

この資料全般、資料2全般に言えることですけれども、著作権の場でやるかどうかも含めて多少広めに書いてありますので、必ずしもここに記載があることを全て政府で受け止めて役所が何かをやるということではなくて、そういった意見もあるということで先ほどのマーケティング情報のところは記載をさせていただいております。

それから、アニメのビジネスモデルの比較ですけども、御指摘の末端のクリエイターまでお金が行くかどうかを考えるべきというのは、それは最終的に対価を考えるときにはそのとおりですけれども、アニメの話に関して言うと、まず制作会社までがどうやっていくかというのを一旦比較した上じゃないとその先のクリエイターの話というのはなかなか出てきにくいということで、一旦こういう整理をさせていただいております。

また、どこまでを対価還元の対象とするのかというようなところも含めて議論の論点の1つに上がってくるのではないかと考えております。

【太田主査】ありがとうございます。よろしいでしょうか。

【内山委員】ここに書いてあるとおりで、基本的に契約次第ということだと思いますけれども、アメリカ、レジデュアル・ペイにおいても、結局それがもらえる人ともらえない人がいるというのは厳然たる事実なので、その辺りも本当は記載しておいたほうがよいかなと思いました。以上でございます。

【太田主査】ありがとうございます。オンラインの河野委員、どうぞ。

【河野(康)委員】河野でございます。御説明ありがとうございました。私は消費者の立場からなので、具体的に細かい点についてはまだまだ理解不十分ですけれども、DX時代におけるクリエイターへの適切な対価還元方策については、令和3年の7月の諮問から既に3年半がたちました。この間、問題解決に向かって、クリエイターサイドやビジネスサイドなど、関係する当事者や団体等からヒアリングを重ねて、実態把握や課題の抽出などにおいては、先ほど御説明いただきました資料2、それから参考資料2のとおり、一定の進展があったと理解しています。

他方、この問題において最も対処すべきは、技術革新と社会実装など外部環境のスピードへの対応ではないかと受け止めています。丁寧に実態把握を進めている間に、ITやAIなどデジタル技術はいや応なく社会に浸透し、ビジネススキームに組み込まれて機能していっていて、行政側の検討のスピードをはるかに超える形で現実問題化していると思います。

今や全くの素人がスマホ1台で文書、映像、動画、コミック、それからフィギュアなどをつくり出せる状況にあります。複製や販売などで収益も得られます。こうした技術進展と社会実装のスピードへの対応が遅れて、制度や仕組みが追いつかずに適正な対価を得られていないクリエイターが放置されるということが我が国のこうした文化にとって大きなリスクを負うことになると危機感を覚えています。私たち消費者は、クリエイターの皆さんやその関係者の方々が生み出す多様なコンテンツを享受する立場にありますが、そのための適正な対価を支払うことに全く異存はございません。デジタルプラットフォーマーを介して無料とかお得とかいう宣伝文句をよく目にしますけれども、そうした状況をつくり出す背景に、ビジネスと人権問題等、負の影響が隠れている場合も多々あると思っています。今回、参考資料のほうで適切な予算措置もされているという御案内もありましたけれども、ぜひスピード感を持って一日も早い透明性のある仕組みの構築を願っています。

私からは以上です。

【太田主査】ありがとうございます。もし事務局のほうでリアクションございましたら、どうぞ。

【籾井著作権課長】ありがとうございます。まさにこの場での議論を踏まえてできるだけ具体的な方策を早めに取りまとめていけるように努力してまいりたいと思います。

【太田主査】ありがとうございます。よろしいでしょうか。

では、福井委員、どうぞ。

【福井委員】ありがとうございます。これまで各委員の御意見、大変賛同するところが多いところです。その上で、資料2の3ページ、アニメとデジタルプラットフォームの著作権と対価還元について意見を申し上げます。

映像ビジネスにおいて、特にメガプラットフォームが経費を全額出資するような場合に、クリエイターやプロダクションとの関係で、リメイクなども広く含めた著作権と、それから二次収益の可能性が将来にわたって握られてしまう契約条件が議論として出ています。これについては、実態をさらに把握、解明し続けることが重要であろうと思います。

この問題は製作委員会にももちろん同様に存在しており、それも重要なんですけれども、特にメガプラットフォームは、多くの場合、知的財産権が海外企業に流れることにもなります。よって、キーワードとして出てきました契約をしっかりいかに公正に行えるかということを考える上では、一体どの程度までの情報共有、どの程度までの共同の交渉が可能であるのか、このことも政府の場でもぜひ議論を続けることが重要ではないかと感じました。

以上です。

【太田主査】ありがとうございます。ただいまの福井委員の御意見にもしご返答がございましたら。

【籾井著作権課長】実態把握の部分だけですけど、この後ちょっと御説明させていただきますが、公正取引委員会が実演家と芸能事務所との関係に関する実態調査報告書を昨年末取りまとめております。今回は、実演家と芸能事務所ですけれども、その報告書の中で、今後、映画、アニメの制作現場におけるクリエイターについても調査を実施していく予定ということが明記されておりますので、そちらの情報も文化庁としてもきちんと把握をしながら皆様にも共有していければと思います。

【太田主査】よろしいでしょうか。

ありがとうございます。

早稲田委員、どうぞ。

【早稲田主査代理】ありがとうございます。音楽関係のところで管理事業者の使用料規程の役割についても書いていらっしゃいまして、そのほかにも、参考資料3で著作権管理事業者使用料規定についての御発表があったんですけれども、やはり個々の個人個人のクリエイターの交渉力というのは非常にやっぱり弱い、まだまだ弱いと思っておりますので、そういう管理事業者さん、ないしはクリエイターの集まりみたいな団体がどのぐらい交渉力を持ってプラットフォーマーなり、配信のテレビ局なり、そういうところと交渉できるかというところはやっぱり考えていかなきゃいけないのかなと思っております。

その点からいうと、まだまだ、資料2の1ページのところも見ても、管理事業者が使用料をもう少し高くするとか、そういう交渉力にたけているのかというと、かなり心もとないかなと思っておりますので、そこら辺についてもぜひ文化庁さんと管理事業者さん等にも意見交換等をしていただいて、そういうことができるような形にしていただければと思います。

以上です。

【太田主査】ありがとうございます。事務局のほうで、もしリアクションがございましたら。

よろしいですか。

では、仁平委員、どうぞ。

【仁平委員】日本ネットクリエイター協会、仁平です。音楽に関係するお話で、今、放送局等で原盤を使っていただいたときに、原盤二次使用料という流れがあるんですけども、なかなかネット系の楽曲の二次使用料をきちんと取っていただく流れに乗せるというのが正直難しいのかなと私は感じています。もちろんレコード協会さんのほうで随分いろいろと御指導していただいて、こういうふうにやればいいよというのはいろいろいただいているんですけども、放送局で使われた原盤の使用料が流れる絵というのがすごく複雑過ぎて、この中に確実にボカロ楽曲や東方系の楽曲を入れることはもう無理だなと思っています。

さらに言うと、実は我々の楽曲って動画ありきの楽曲だったりするので、例えば有名なところの「千本桜」であれば、黒沢君のつくった「千本桜」だけでなく、三重の人の描いた動画も一緒に流れるというのがテレビでの使い方です。その中には一斗まるさんという人の描いた絵も使われていると。

そういうような音楽以外の方に対するお金の流れというのもなかなか実はできていなくて、私が音楽出版時代に原盤も含めてテレビ局等に使用していいですかと聞かれたときにも、なかなかきちんとお金取れないんですね。名前出していただければプロモーションになるからいいですよみたいな、そんなような逃げ方にするしかなかったりと。原盤は取れたとしても、原盤の二次使用料に関してはレコード協会さんの御尽力で我々のところにも結構取れるようになったんですが、動画の使用料をいただくというのは通常はとても難しいのです。

というようなところもあるので、じゃあどうするのかって、今、仁平、何か意見言えと言われてもないんですけど、今後、そういうような新しい仕組みというものもつくっていく必要があるのかなと。それは音楽を切り口にしたとしても、音楽の周りにある動画とか、イラストとか、そういったようなものも全部含めての一元管理というのが、管理と言うとあれですかね、お金の流れがちゃんとできたらいいなと思っています。これは意見というよりもこうなったらいいなという話ですけど。

以上です。

【太田主査】ありがとうございます。よろしいですか。

ではほかに御意見や御質問ございますでしょうか。

ありがとうございます。それでは、次の、議事(3)、「その他」に移ります。参考資料6ないし9に基づき事務局より御説明をお願いいたします。

【持永著作権課課長補佐】事務局でございます。関係の情報提供として参考資料を御説明させていただきます。

まず、参考資料6についてですが、こちらは先ほども少し言及ございましたが、公正取引委員会が昨年末に実施した音楽・放送番組等の分野の実演家と芸能事務所との取引等に関する実態調査を行った報告書の概要資料になります。

内容についての御説明は割愛させていただきますが、この資料の一番下、公正取引委員会の対応のところの一番下のポツのところにありますが、今後、映画・アニメの制作現場におけるクリエイターの取引環境に係る実態調査が実施される予定となっております。

具体的な調査方法についてはまだ分かりかねるのですが、今後、業界から実態についての情報提供などございましたら、必要に応じてこちらの調査に御協力いただければと思います。

参考資料6の説明は以上となります。

次、参考資料7についてですが、令和6年度補正予算と令和7年度当初予算案について御説明させていただきます。

1枚目については、令和8年春頃の施行を予定しております未管理著作物裁定制度に必要なものとして、分野横断権利情報検索システム及び個人クリエイター等権利情報検索システムの整備に必要な予算として令和6年度補正予算に1億円を計上したという内容になっております。

未管理著作物裁定制度は、利用の可否に係る著作権者の意思が確認できない著作物について、文化庁長官の裁定を受けて利用することができる制度となります。

本事業を通しまして、権利者情報の探索コストを低減するとともに、意思表示の機会の確保など、制度の円滑な運用に資するものであり、権利情報の集約化とその活用のための環境整備や調査研究を行うこととしております。

次、2枚目ですが、AIを活用した海賊版サイトの検知・分析実証事業ということで、特に漫画やアニメをはじめとする日本のコンテンツに関する被害が拡大している中、AIを活用してインターネット上における海賊版を自動的に検知して、検知された海賊版に対して削除申請などの権利行使を実施する仕組みの構築に向けた実証事業として3億円を計上しているという内容になっております。

出版社等の皆様から御提供いただいたコンテンツをAIに学習させてインターネット上の海賊版を検知するものであり、実証を行いながら実効性の高い海賊版対策につなげていきたいと考えております。

次、3枚目ですが、令和7年度当初予算に関する資料となります。主な事業内容は3つございまして、1つ目が海賊版対策事業となります。具体的には、これまで培ってきた2国間の知財部局による協議に加えまして、多国間において幅広く関係省庁及び民間も交えた国際的な協力体制を構築し、国際連携の強化を図ることなどを目的として1億3,000万円を計上しております。

2つ目は、分野横断権利情報集約化促進事業です。権利情報の集約化とその活用のための調査研究や環境整備を行うため、5,100万円を計上しております。

3つ目は、DX時代に対応した著作権施策の推進に必要な調査研究になります。これはDX時代における社会のニーズやデジタル・ネットワーク技術の変革に的確に対応した法制度と運用を実現するため、日々刻々と変化を遂げるデジタル技術等の状況や諸外国の著作権制度の改正、著作権関連施策の動向などを迅速かつ的確に把握することを目的とした各種調査研究を行うものとなります。

予算の関係の説明は以上となります。

次に参考資料8でございますが、こちら、令和5年に著作権法の一部改正法が成立しまして、著作物等の利用の可否に係る著作権者等の意思が確認できない場合の著作物等の利用に関する裁定制度が創設されることとなりました。この裁定制度に関して、法律上、文化庁長官が定めることとされている事項について文化庁告示として定める必要があるのですが、このたびその案ができまして、パブリックコメントを実施するため、この場で御報告させていただきます。

法律から委任されている点は大きく2つございまして、1つ目が、(1)に記載しておりますが、裁定を受けるために行わなければならない未管理公表著作物等の利用の可否に係る著作権者の意思を確認するための措置に関するものと、2つ目が、(2)に記載がございますが、未管理公表著作物等に該当しない著作物として、著作権者の意思を円滑に確認するために必要な情報が公表されているものがありますが、その情報と公表の方法に関するものとなります。

法律の規定順に告示を定めることとしておりますため、(1)、(2)の順になっておりますが、まず、この裁定制度を利用しようとする者は、利用したい著作物が管理事業者により管理されていないか、また、(2)で定める情報が公表されてないかを確認し、そういったものがなければ、(1)の措置を取りまして裁定を受けるという流れになります。

実際に取るであろう手続順に説明いたしますので、先に(2)から説明いたします。まず、(2)で定めることとしておりますのは、著作権者の意思を円滑に確認するために必要な情報になりますが、例えば複製禁止などの記載が考えられるかと思いますが、著作物の利用の可否に関する情報、そして次に、こちらは例えば利用したい方はこちらまでといった形で連絡先を記載する場合などが考えられますが、利用の可否に係る著作権者の意思を確認できる連絡手段に係る情報といたしました。

また、これらの公表の方法は、資料の①、②と記載しておりますが、書籍の奥付や、それ以外の書籍内の紙面などの著作物周辺における表示、または著作権者のウェブサイトや著作権者自身のものでなくとも、例えば委任を受けているなどで当該著作権者の意思を円滑に確認するための情報が掲載されているウェブサイトにおける掲載としました。

また、先ほど言及しましたが、著作物の利用の可否に関する情報については、複製禁止などの記載を挙げましたが、アウト・オブ・コマースについて一律にこういった記載があることをもって未管理公表著作物等の対象外とすべきではないということで、昨年度の法制度小委員会で御議論いただきました結果も踏まえまして、資料中記載のローマ数字のⅰ、ⅱに付されているような、ⅰ、ⅱの著作物に付されているような情報については、著作物の利用の可否に関する情報には該当しないと規定しております。

次に、(1)の説明に戻りますが、法律では未管理公表著作物等に該当するものについて、裁定を受けるために、著作権者自身に利用の可否に係る意思を確認するための措置を取ることとされておりますが、この措置について具体的に定めたものがこちらになります。

まず、記載の①から③の権利者情報を取得するための措置を全て取ることを定めております。①は、先ほど(2)のほうで触れましたが、書籍の奥付やそれ以外の書籍内の紙面などの著作物周辺における表示を確認することとしております。こちらは少し表現が似通っているのですが、(2)では著作権者の意思を円滑に確認するために必要な情報として連絡先が掲載されている場合を想定しておりますが、(1)では、そういった場所に、そのような情報ではなく、単に連絡先などが掲載されている場合を想定しております。

次に、②ですが、インターネット検索を行い、著作権者のものと想定されるウェブサイトや連絡先等の権利者情報が掲載されていることが想定されるウェブサイトを探し、閲覧することとしております。こちらも①と同様、単に連絡先等が掲載されていることを想定しております。

次に、③ですが、先ほど予算の説明の中でも触れましたが、現在文化庁のほうで構築を目指しております分野横断権利情報検索システムにおいて検索し、権利者情報を掲載していることが想定されるウェブサイトを閲覧することとしております。

これらの措置を全て取って、入手した権利者情報等に基づいた連絡先等に宛てて著作権者に連絡を取りまして、14日間、応答を待っていただきます。この際、連絡先が複数ある場合は、1つの連絡先ですと、たまたまその連絡先への連絡を著作権者自身が見ないということも考えられますので、2つ以上の連絡先に連絡を取ることを求めております。

また、そもそも連絡先などが入手できなかった場合は連絡ができないこととなりますが、意思確認のための措置は取ったこととなります。

そして資料上、「また」以降に記載がございますが、これらの連絡先は国内のものと認められる連絡先等に対して行うものとしております。

外国の連絡先等が示されている場合は、物理的に連絡ができても適切な意思確認の措置を取ったことにならないと考えられるため、その場合は意思確認の措置を取ったことにはならないと整理いたしました。

定める内容についての説明は以上となります。

次に、資料の3ポツですが、この告示の施行の期日はこの裁定制度に係る法律の規定が施行される日としております。

こちらの告示案につきましては、本日の会議後、18時めどでパブリックコメントを開始することとしております。

資料8の節説明は以上となります。

次に、参考資料9の説明に移らさせていただきます。

【小林国際著作権室長】御説明いたします。文化庁では2022年8月より弁護士による著作権等侵害に対する相談窓口を開設して、個人クリエイター等の創作環境の改善・整備を推進してきたところです。このたび、この取組に加えまして、今月14日より個人クリエイターが適切に自らの権利を行使する状態を実現すべく、インターネット上の著作権侵害等に対して、著作権等を有するクリエイターが弁護士に委任して著作権等の行使を行う場合、その費用の一部を支援する事業が開始しました。この事業は2026年3月までの実証事業となっております。

本事業は、文化庁の相談窓口への相談のうち、著作権侵害の蓋然性が高いと担当の弁護士が判断した事案を支援対象とします。

本事業は、この相談窓口を開設する文化庁及び相談窓口の事業を受託する弁護士知財ネットと連携する形で、SARTRASの共通目的事業の委託事業としてJNCAが実施するものです。

支援対象経費については、主に削除請求、発信者情報開示請求、損害賠償請求に係る費用が対象となります。詳細は資料を御覧ください。

御説明は以上でございますが、先生方におかれては、周りの個人クリエイターの方々に対して、本事業を周知いただきますよう御協力のほどよろしくお願いいたします。

【太田主査】どうもありがとうございました。ただいまの御説明を踏まえ、御質問、御意見等がございましたら挙手をお願いします。オンラインの方は挙手ボタンにてお知らせいただくようお願いします。

【正親町委員】経団連の正親町です。経団連では昨年10月にエンターテインメントコンテンツ産業振興に関わる提言を公表しており、そちらでも個人のクリエイターにとって権利侵害への対応の負担が重いということについて指摘していたところでございます。

ですので、先ほど御説明いただきました参考資料9のような支援の仕組みを歓迎しております。これ以外も含めて、今回御説明いただいた様々な対応がそれぞれ実効性のあるものになることを望んでおります。

あともう1点、参考資料7の予算についてですが、海賊版対策については既にこの場で伊東委員から何度もお話が出ているところかと思いますけれども、我々の会員企業からも、企業ができる対応には限界があって国の支援をぜひ強化してほしい、と希望する声が多くございました。

今回、補正予算では、技術的な側面も含めて充実した対応をいただいていることについて感謝を申し上げます。

個々の企業では取り組みにくい政府間交渉、既に主な事業内容として「国際連携体制の整備」ということで書いていただいていますが、こうした点に強く期待しておりますので、改めて対応をお願いしたいと思います。

以上です。

【太田主査】ありがとうございます。御意見としてありがとうございます。

ほかに御質問や御意見ございますでしょうか。

伊東委員、どうぞ。

【伊東委員】ABJの伊東です。正親町委員から強力なアシストをいただきましたので、私もちょっと一言添えさせていただければと。海賊版対策事業に関して、非常にこれまでにない予算が投じられたことを大変感謝したいと思います。

ただ、ずっと闘っている身としては、やはり単年度で多く費やしてもなかなか解決しないということがずっと続いておりまして、例えば今も多少関わっておりますが、文化庁さん、世界に向けての啓発活動に関しても非常に力を入れてくださっているのですが、1年だけ啓発しても全世界にいる海賊版ユーザーに対してなかなかメッセージが届きません。何年も連続してやっていかねばならないという状況がございますので、そのあたりを酌み取っていただけると大変うれしいです。

私からは以上です。

【太田主査】ありがとうございます。

坂井委員、どうぞ。

【坂井委員】坂井です。御説明ありがとうございます。参考資料9の報道発表なんですけれども、非常にすばらしいと思います。ありがとうございます。

その上で、参考資料8の文化庁長官の裁定の告示案の概要のところで、(2)の下のほうのアラビア文字ⅰ、法第31条により国会図書館が自動公衆送信行える絶版等資料とあって、これは法律のところの確認に近いのかもしれないですけども、絶版等なんですけれども、何をもって絶版とするのかというところはやっぱり資料を活用する側からすると分かりづらいというか、具体的に言うと、流通はしてないけど、出版社が例えば権利を持っている状態のものみたいなものはここの該当しないものとするという対象になるのか、ならないのか。要は、現実的にはもう流通はしてないんだけども、というところのものというのはどういう扱いになるのでしょうか。

【太田主査】事務局のほうで御対応をお願いします。

【持永著作権課課長補佐】御質問ありがとうございます。こちら、ⅰのほうで「法第31条により国立国会図書館が自動公衆送信を行える絶版等資料」というところについて、絶版等資料の対象が分からないという御質問かと思いますけれど、こちらは国立国会図書館のほうで様々な調査等しまして、絶版等資料を特定しているというものになります。絶版等資料そのものに対して上記のような情報が付されている場合は、それは意思を円滑に確認するために必要な情報に該当しないというものです。絶版等資料の基となるような著作物という、その概念自体の扱いは別で、仮に絶版等資料に該当しない形で市場に流通しているものがございましたら、そういったものに付されているものであれば有効な意思表示に該当するということになります。こちらはあくまで、国立国会図書館が特定した絶版等資料についてということになります。

よろしいでしょうか。

【坂井委員】分かりました。

【太田主査】どうもありがとうございます。ほかに御意見、御質問等ございますでしょうか。

ちょっと確認ですけど、この支援事業の支援というのは、日本の法律扶助と同じように貸付けということでしょうか、それとも払渡金でしょうか?

【籾井著作権課長】この制度は、まず最初のところで1万1,000円お支払いはいただきますけれども、その後のものはかかった費用をそのまま支援すると。なので返還は必要ないため、貸付けではございません。

【太田主査】分かりました。ちょっと確認をお願いしたまでです。

ほかにございますでしょうか。

仁平委員、どうぞ。

【仁平委員】日本ネットクリエイター協会、仁平です。今回、資料8のほうでこれを公にされますよということで、実はあんまり心配はしてはいないんですが、実際調べてみて権利者が分からなければこういうルールで使ってくれよというところで、例えばボカロの楽曲に関しては、割とJASRACさんのデータベースを見ると出てきて、音楽出版社さんの名前が出ているので、まあまあいいかなと思っているんですが、東方系の楽曲に関して、実際調べてみて何が出てくるのかなあってぱっと見たときに、これ調べて分かる人が見れば全然分かるんですが、今、私、ちょっと事例で、「魔理沙は大変なものを盗んでいきました」というものを調べてみたんですけど、作詞・作曲IOSYSって書いてあって、これもちょっと実は正しい情報ではないんですね。作曲はZUNさんで編曲がIOSYSだったりというようなところもあって、じゃあ、ここのIOSYSというところをクリックするとIOSYSの連絡先が出てくるかというと出てこなかったりとかで、投げやりな方が調べたときに、ああ分からない、じゃあこれ使っていいんだという話にならないようにしたいなあというところだけです。だから、ここに書いてあることで、ちゃんと調べてねというのを理解した上で調べてもらえれば全然心配ないんですけど、すごく投げやりに調べると分からないことって結構いっぱいあるかなと、そこだけちょっと気になりました。

【太田主査】ありがとうございます。

事務局の方からどうぞ。

【持永著作権課課長補佐】意思確認の情報をしっかりやっていただいて、それを利用者自身が、登録確認機関がある場合には登録確認機関で、ない場合は文化庁になりますけれど、確認しましたという疎明をしっかりしていただく必要がございまして、それがそろわなければ要件を満たさないということになりますので、そこはしっかり運用の中で気をつけてまいりたいと考えております。

【太田主査】よろしいでしょうか。

ほかに。はい、早稲田委員、どうぞ。

【早稲田主査代理】細かいことで恐縮なのですが、参考資料7の分野横断権利情報のほうの個人クリエイターと権利情報登録システム構築事業で、これは画期的なことだと思っているのですけれども、この図の右側の個人クリエイター等権利情報登録システムのイメージ、これからシステムをつくるということなので、まだ登録の仕方等はこれから検討されるのかもしれませんけれども、個人クリエイターが自分で登録するのってなかなか大変じゃないかなと思っているのですけれども、これは例えば、コンテンツ配信プラットフォームとか、そういうところの協力も得て登録しやすいようにされることを考えていらっしゃるのかということをお聞きしたいと思います。

【太田主査】事務局の方からよろしくお願いします。

【籾井著作権課長】ありがとうございます。まさに今早稲田委員からおっしゃっていただいたように、このシステムの構築自体、要件定義もしていますし、詳細が決まった上で登録を呼びかけていくということになります。まさに個人クリエイターの皆様、今、管理事業者のところに登録、信託とかしてない方々になりますので、そこにどうリーチしていくのかというのは、既に仁平委員のところとも御相談させていただいておりますし、ほかにも個人クリエイターの皆様が投稿しているようなプラットフォームございますので、そういったところの関係の皆様とも御相談をしながら周知、呼びかけを行っていくということになるかと思います。

【太田主査】よろしいでしょうか。

【早稲田主査代理】はい。

【太田主査】ありがとうございます。これは補正予算ですから、3月末日までに完了ということですね。大変なタイムスケジュールということになるかと思いますが。

ほかに御意見、御質問等ございますでしょうか。

福井委員、どうぞ。

【福井委員】私からも様々な施策の御尽力について御礼を申し上げたいと思いますとともに、資料8、議論に加わってきた者として、そこで議論された問題意識を十分に反映いただいた告示案になっているなと一読感じました。これと、分野横断の権利情報の検索システムは、まさに産みの苦しみの今真っ最中におありだろうと思いますけれども、無事に制度として離陸したときには、まさに権利処理の在り方を根本から改善する画期的なインフラになり得ると思いますので、ぜひこれからも頑張っていただければと感じました。

関連で1点、小さな質問となります。資料(1)と(2)の双方に書籍の奥付、その他の紙面、CDパッケージの記載が登場します。(2)のほうは、いわゆるアウト・オブ・コマース、絶版その他の事情で市場で入手困難なものには奥付など記載があっても対象としないよとなっております。(1)のほうは恐らくそういう限定がないという御説明だったかなと理解したんですが、それでよろしかったですかね。つまり、(1)のほうは、絶版や、もう売られていないものであっても、そこに連絡先が記載があればそれは連絡先と扱うという御説明だったかなと理解しました。まず、その理解でよろしいでしょうか。

【太田主査】事務局の方からよろしくお願いします。

【持永著作権課課長補佐】すいません。こちら、(1)、(2)というふうに法律の規定順で記載させていただきました。この裁定制度の対象は未管理公表著作物が裁定の対象になり得るんですけれど、そもそも未管理公表著作物に該当しないものを(2)のほうで定めるということになります。なので、(2)のほうでアウト・オブ・コマースにおいて表示されているものというのは、それは現在における著作権者の意思を確認できる情報とはみなさないということで、管理していないということになり未管理公表著作物に該当するということで裁定の対象になるという整理をしております。

(1)のほうは、未管理公表著作物の該当性ではなくて、未管理公表著作物について、では、裁定の対象とするためにどういった措置を取ったらよいかということを記載しているものでございます。

なので、ちょっとフェーズが違いますので、(1)のほうの取扱いは異なります。御質問の趣旨の回答としてはこのようになるのかなと思うんですけれど、いかがでしょうか。。

【福井委員】今の御説明は十分理解しているつもりです。私の質問はその後でして、今の御回答で私の理解でよかったということが分かりましたが、そうすると、(1)で意思を確認するための措置として、既に絶版等の資料であっても奥付に連絡先の記載があればそこに連絡は試みましょうねということになろうと思います。このことには異論はないです。それが著作権者の連絡先である場合は、ですね。例えば出版社名って奥付に必ず書いてあると思うんですよ、絶版でも何でも。出版社にも連絡してみなさいねということをこれは意味するでしょうか。つまり、絶版等資料であるので、奥付に「禁無断転載」など記載があっても未管理公表著作物に当たる。未管理公表著作物に当たるということは意思確認をしましょう。そのときに連絡先として奥付に出版社の名前が書いてある。これ連絡先ですよねと理解するかどうかを、小さい問題ですが、確認したかったんです。いかがでしょう。

【持永著作権課課長補佐】その場合は出版社に、絶版等資料であれば確実に取れるかどうかは分かりませんが、まずは出版社に連絡していただいて、著作権者の連絡先の入手を試みていただく必要があると考えております。

【福井委員】なるほど、その解釈もあり得るでしょう。ただそうすると、この制度では連絡先を知っているかもしれない人に連絡するということも求められるのか、ということに道を開きそうな論点だなとは感じました。今後、場合によってはさらなる議論の整理もあっていいかもしれないと感じましたけれども、取りあえず感想でした。

以上です。

【太田主査】よろしいでしょうか。

【持永著作権課課長補佐】御指摘は踏まえた上で運用のほうをしっかり考えていきたいと考えております。

よろしいでしょうか。

【太田主査】ほかに御質問、御意見ございますでしょうか。

ありがとうございました。

それでは、その他、全体を通して何かございますでしょうか。今日の検討、審議につきまして。

ありがとうございます。

それでは、本日の議事は全て終了いたしましたので、ほかに特段ございませんようでしたら、本日はここまでとしたいと思います。

最後に事務局から連絡事項がございましたらお願いいたします。

【持永著作権課課長補佐】事務局でございます。本日はありがとうございました。

次回の政策小委員会は、改めて事務局にて調整の上、日程をお知らせいたしますので、どうぞよろしくお願いいたします。

【太田主査】ありがとうございます。

それでは、以上をもちまして、文化審議会著作権分科会政策小委員会(第4回)を終了とさせていただきます。

本日はどうも御多用中、ありがとうございました。

―― 了 ――

Adobe Reader(アドビリーダー)ダウンロード:別ウィンドウで開きます

PDF形式を御覧いただくためには、Adobe Readerが必要となります。
お持ちでない方は、こちらからダウンロードしてください。