[配布資料]
なし
[発言事項]
事務総長定例会見記録(令和7年2月5日(水曜)13時30分~於官房第1会議室)
令和6年度フリーランスとの取引に関する調査について
本日は、令和6年度フリーランスとの取引に関する調査についてお話しいたします。昨年6月に閣議決定されました「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2024改訂版」では、フリーランスの取引の適正化のため、令和6年度内に問題事例の多い業種に対する集中調査を実施するとしております。これを踏まえ、公正取引委員会、中小企業庁、厚生労働省は、令和6年度フリーランスとの取引に関する調査を本日から開始いたします。この調査は、フリーランスとの取引に関して、発注事業者がフリーランス・事業者間取引適正化等法、いわゆるフリーランス法に違反する行為を行っていないかどうかを把握するために行うものでありまして、本日、3万名の発注事業者に対して、調査に関する書面を発出いたしました。回答締切りは、3月5日水曜日となっております。
この3万名の発注事業者の業種の選定に当たりましては、昨年10月に公表したフリーランス法施行前の実態調査などを考慮しております。冒頭言及いたしました「問題事例の多い業種」を具体的に申し上げますと、日本標準産業分類でいう「建設業」、それから第2に「情報通信業」、第3に「運輸業、郵便業」、第4に「卸売業、小売業」、第5に「学術研究、専門・技術サービス業」、第6に「生活関連サービス業、娯楽業」、第7に「教育、学習支援業」、第8に「医療、福祉」、第9に、「他に分類されないサービス業」の9業種となっております。
この調査は、いわゆる実態調査ではなく、フリーランス法違反事件の情報収集のために行うものであります。ここで得た情報も踏まえつつ、公正取引委員会などにおいて調査を行い、違反があった場合には迅速かつ適切に対処することとしております。
また、このように、公正取引委員会が能動的に情報収集を行う以外にも、フリーランス法に違反する行為を受けたと思われるフリーランスの方は、公正取引委員会を含めたフリーランス法の法執行を担う省庁に対して調査をするように求める申出を行うことができます。申出は、オンラインで行うことができるほか、書面でも行うことが可能であります。秘密は絶対に厳守いたしますので、フリーランスの方の中でフリーランス法に違反する行為を受けたと思われる方は、是非積極的に関係行政機関に申出を行っていただくようお願いいたします。詳細は、公正取引委員会のウェブサイトを御覧ください。
また、本日、申出に関する周知を行うための動画を公正取引委員会公式SNSで展開しておりますので、公正取引委員会の公式Xやフェイスブックも併せて御覧いただければと思います。
フリーランス法は、昨年11月1日に施行され、およそ3か月が経過いたしました。引き続き、フリーランス法違反行為の未然防止のための普及啓発活動と違反行為に対する法執行を組み合わせることで、フリーランスの取引の適正化のために取り組んでまいります。
私からは以上です。
質疑応答
(問) 2点質問がありまして、1点目は、調査対象が3万名の発注事業者ということですが、これは回答を強制されるものなのか、あるいは回答しなくてもよいのでしょうか。2点目は、実態調査ではないということですが、この調査結果は公表しないのでしょうか。
(事務総長) まず、本調査に回答しない場合にどうなるかという御質問について、本調査は、フリーランス・事業者間取引適正化等法第11条第1項及び第2項並びに第20条第1項及び第2項の規定に基づいて実施するものです。対象事業者が同法の適用を受ける業務委託事業者などに該当するにもかかわらず、報告をせず、又は虚偽の報告をした場合には、同法第24条から第26条までの規定により50万円以下の罰金又は20万円以下の過料に処せられる場合があるということになっています。
また、調査の結果を公表するのかという御質問については、おっしゃるとおり、今回は実態調査ということではございませんので、公表する予定はございません。
(問) 本日、弊社が報道しておりますが、長野県の石油商業組合・石油協同組合が、加盟する長野市内の複数系列のガソリンスタンドで、店頭表示価格をそろえるために、値上げ幅や値下げ幅を事前調整している疑いがあることが分かりました。専門家によると、こういった事業者同士や業界団体内で連絡を取り合い価格を決めるというのは、カルテル、不当な取引制限を禁じた独禁法に抵触する可能性があるという指摘があります。この点について、公正取引委員会としてこの事案を把握されていたのかということと、事務総長の見解をいただければと思います。
また、ガソリンの販売事業者間で、価格について事前に電話連絡を取り合ったり、組合の指示として事業者側も認識していたという話もあります。一般的に、このような行為については、独禁法の3条又は8条に違反するという可能性があるのかという点についてお伺いできればと思います。
最後に、弊社による事前の取材では、公正取引委員会では、ガソリンについてのカルテル事案というのは、調査や措置はこれまではされていないという回答を得ておりますが、一方で、ガソリンの不当廉売の注意件数は233件あると認識しております。不当廉売の注意を強化している理由や背景についてお伺いできればと思います。
(事務総長) 御指摘いただきました案件について、報道されていることは承知をしておりますが、個別事案についてということですので、コメントは差し控えたいと思います。
一方で、一般論として申し上げますと、同業者が相互に連絡を取り合い、価格や生産数量などを共同で取り決め、お互いに市場で競争を行わないようにするといった行為は、いわゆる価格カルテルや入札談合と呼ばれておりますけれども、こういった行為につきましては、独占禁止法によって禁止をされております。
また、事業者団体が価格や生産数量について指示するなど、事業者の自主的な事業活動を不当に制限する行為ということも独占禁止法によって禁止されております。
それから、不当廉売に関する御質問について、小売業における不当廉売事案につきましては、従前から、全体の申告件数の中でも、その過半数を占めるような年度もございまして、高い申告水準にあるということも踏まえまして、申告のあった事案に対しましては、こういった不当廉売が周辺の中小事業者に対する影響が非常に大きいということもございますので、可能な限り迅速に処理をするなど、効果的な対応を行ってきているところでございます。特に石油製品につきましては、品質による競争がなく、主に価格による競争が行われる特徴がございます。また、中小の販売事業者が多いということで、地域において価格の安さをアピールする事業者が現れますと、それに対抗するために価格を下げて、競争がエスカレートした結果として不当廉売につながるといった傾向も見受けられますので、そういった点も十分に配慮しながら対応していく必要があると考えております。公正取引委員会の事件審査に係る基本方針といたしましては、国民生活に影響の大きい、価格カルテル、入札談合、受注調整、それから中小事業者等に不当に不利益をもたらす優越的地位の濫用や不当廉売などに厳正かつ積極的に対処するということにしておりまして、中小企業に不当に不利益をもたらすような不当廉売につきましては、迅速に処理をするという方針でございます。
(問) フリーランスの調査について、フリーランスを巡っては、人権侵害や買いたたきなどが問題になっていると言われておりますが、今回の調査の質問項目としては、そういったところを深掘りして聞くというイメージでしょうか。また、質問の形式は書面形式やアンケート形式があると思いますが、どのような形式か教えていただけますでしょうか。
(事務総長) どういった質問の内容になっているのかという点については、フリーランスの取引の適正化と就業環境の整備ということに関しまして、各事業者に違反行為がないかどうかを確認するための質問を行うということになります。例えば、公正取引委員会の関係で申し上げますと、取引条件の明示義務、あるいは、期日における報酬の支払義務といったものがございますし、継続して発注する委託事業者につきましては、遵守事項が定められておりますので、こういった規定との関係で問題がないかどうかという観点で行っております。
また、調査の形式については、ウェブで質問内容に答えていただくという形式になっております。
(問) 明示義務や支払義務というのは、事業者側に伺う、事業者側に問いかけるという認識でよろしいですか。
(事務総長) そうです。今回の調査につきましては、発注事業者を対象として行うということになります。
(問) 発注事業者自らが、支払いが遅れているなどの報告をする形になるということでしょうか。
(事務総長) そうです。
(問) フリーランスの調査について、イメージとしては、下請法の関係で毎年度行われているような調査のイメージで、今年度に限らず、毎年行うことをイメージされているのでしょうか。また、下請の場合は、調査が深まっていくと、調査の端緒となるような書類の提出などを求めることになるかと思います。その場合も、下請側から声が上げづらいことを踏まえて調査を行うということになると思いますが、今回の調査もそのような意味合いがあるのでしょうか。
(事務総長) 従前、下請の事件の調査については、アンケートのような形で回答をいただくという形式を取って情報収集をしておりますが、今回のフリーランスの調査につきましても、現段階では、同様のやり方を取り入れて、これを続けていこうと考えております。また、実際に調査を行っていくに当たって、様々な課題等々出てくると思いますので、そのときにはまた改善しながら行っていきたいと考えております。
それから、いろいろな方から情報をいただくことが重要だと考えておりますので、例えば、今回も発注業者を対象に調査を行いますけれども、その発注事業者からの回答も踏まえまして、個々にフリーランスに対して調査を行っていくということはあり得ますので、そのように進めていきたいと考えております。
(問) 今回の調査は、発注業者を対象とした調査であって、下請の調査のように、発注業者に取引先のフリーランスの名簿などをもらって、そこにも調査するということになるのでしょうか。
(事務総長) 基本的には同じような方法論を考えております。今回は、発注事業者の行為を確認し、その意識付けをすることが大事かと考えておりますので、そこに重点を置いて調査を行ってまいりますが、その発展形としてどういうことができるのかについては、これから調査の中で検討していくことかと思っております。
(問) フリーランスの調査について、施行からある程度タイムラグがあって、施行前に行われたことが混在しないようにという配慮があって、この時期に調査を開始するのでしょうか。
(事務総長) そうです。いわゆるフリーランス法につきましては、令和6年11月1日から施行されておりますので、今回の調査は、同法が施行された後の取引について尋ねる内容になっております。施行直後では、調査の対象となる取引が少なくなる可能性があるということで、施行後、一定の期間を空ける必要があると思っておりますけれども、今年度内に実施していくものであるということなども考えまして、このタイミングで調査を行うことになったということです。
以上