
日時:令和元年12月18日(水)
16:00~18:00
場所:文部科学省旧庁舎6階第2講堂

議事次第
- 1開会
- 2議事
- (1)第1回検討会における議論の確認について
- (2)制度設計について
- (3)その他
- 3閉会
配布資料一覧
- 資料1
- 第1回検討会における議論の整理及び本日の検討事項(271.3KB)
- 資料2
- 「軽微なもの」の基準・具体例(案)(53.9KB)
- 資料3
- 侵害コンテンツのダウンロード違法化に関する主な事例の取扱い(案)(60KB)
- 参考資料1
- 文化庁当初案の概要・条文等について(505.7KB)
- 参考資料2
- 侵害コンテンツのダウンロードに関する主要国の著作権法制について(231.7KB)
- 参考資料3
- 侵害コンテンツのダウンロード違法化に係る制度設計等の検討に当たっての基本方針(63KB)
(令和元年11月27日 侵害コンテンツのダウンロード違法化の制度設計等に関する検討会) - 参考資料4
- 侵害コンテンツのダウンロード違法化等に係る制度設計・論点(案)(第1回検討会資料6)(177.3KB)
- 机上資料1
- 第1回検討会における資料・参考資料一式
- 机上資料2
- 文化審議会著作権分科会報告書(2019年2月)(抄)
議事内容
【土肥座長】それでは,定刻でございますので,ただいまから,侵害コンテンツのダウンロード違法化の制度設計等に関する検討会(第2回)を開催いたします。
本日は,ご多忙の中,御出席いただきまして誠にありがとうございます。議事に入ります前に,本日の会議の公開についてでございますけれども,予定されております議事内容を参照いたしますと,特段非公開とするには及ばないと,このように思われますので,既に傍聴者の方には入場していただいておるところでございますけれども,この点,特に御異議はございませんでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【土肥座長】それでは,本日の議事は公開ということで,傍聴者の方にはそのまま傍聴いただくことといたします。
最初に事務局から配布資料の確認をお願いいたします。
【大野著作権課長補佐】それでは,お手元の議事次第に記載の配布資料一覧をごらんいただきたいと思います。
まず資料1といたしまして,「第1回検討会における議論の整理および本日の検討事項」と題する合計14枚の資料をお配りしております。また,資料2として,「『軽微なもの』の基準・具体例(案)」と題する1枚物の資料,それから,資料3といたしまして,「侵害コンテンツのダウンロード違法化に関する主な事例の取扱い(案)」と題する横書きの表形式の2枚の資料をお配りしております。
また,参考資料1として,「文化庁当初案の概要・条文等について」,参考資料2として,「主要国の著作権法制について」,資料3としまして,前回ご議論いただき,御了承いただいた「基本方針」,参考資料4といたしまして,これも前回の議論に使った「制度設計・論点(案)」という資料をお配りしております。
また,机上資料といたしまして,前回,第1回検討会における資料・参考資料一式をとじたピンク色の分厚めのファイル,それから,文化審議会著作権分科会報告書と関係法令集をお配りしております。
不足などございましたら,お近くの事務局までお伝えいただきたいと思います。
【土肥座長】ありがとうございました。
それでは,初めに,本日の議事の進め方について確認をしておきたいと存じます。
本日の議事は,1,第1回検討会における議論の確認について。2,制度設計について。3,その他。以上3点となっております。
議事に入ります前に,事務局から,前回の会議において,各構成員から頂戴いたしました様々な御指摘を踏まえ,幾つか御報告があるとのことでございますので,最初にこの点を御紹介いただきたいと存じます。
【大野著作権課長補佐】ありがとうございます。
それでは,机上資料としてお配りしております,第1回検討会の資料一式をとじたピンク色のファイルに基づいて,3点御報告を申し上げたいと思います。
まず,前回の資料のうち,資料2-2というものをごらんいただきたいと思います。ちょっと通し番号がついておりませんけれども,ピンク色のファイルの前から10枚程度めくったところに資料2-2というものが綴じてあろうかと思います。
こちらの資料は,出版以外の分野における海賊版被害の実態について,事務局のほうで関係団体からの情報提供をもとに整理した資料でございました。前回御報告を申し上げた際,個々のデータについて,必ずしも出典が明記されていない部分があるというご指摘をいただいておりました。これを受けて,会議の後,各団体などに確認をいたしまして,可能な限り出典を明記した上で,この資料の内容でホームページに公開をしておりますので,御報告申し上げます。
具体的には2ポツ,3ポツについて,いくつか米印がございますけれども,この中で具体的な出典,どこの団体からの情報提供なのかということを明示しております。
それから,2点目の報告事項は,その後ろの資料,資料3-1に関わる部分でございます。資料3-1の3ページ目をお開きいただきたいと思います。団体などから提出された意見の内容がございますが,このうち1ポツ①基本的な考え方についてという部分に関しまして,萩原構成員の方から,日本経済団体連合会が⑥に区分されていたのを①の方に移してほしいというご指摘がございました。こちらに記載のとおり,①に移した上で,ホームページにこの資料を公開しています。これが2点目でございます。
それから,3点目が,かなり資料は飛びますけれども,資料の4に関わる部分でございます。パブコメの資料がかなり分厚くなっておりますので,後ろからのほうが近いぐらいの位置に,資料4,国民アンケートの結果の資料があろうかと思います。
資料4の2ページ目をお開きいただきたいと思います。前回の検討会におきまして,この調査結果のうち,特に(1)と(2)の関係について,御質問を頂いておりました。すなわち,(1)現行制度の理解として,マンガなどの海賊版のダウンロードが現行の著作権法に違反すると考えている方と,違反しないと考えている方がそれぞれおられるわけでございますが,この回答に応じて,(2)のダウンロード経験の有無がどのようになっているかという点について,御質問を頂いておりました。
この点について,事務局で改めてデータを確認して整理しましたので,口頭になって恐縮ですけれども,データの御説明を申し上げたいと思います。
まず,(1)現行制度の理解におきまして,1ポツの「違反する」と回答された方の中で見ますと,(2)「ダウンロード経験があり」とお答えになったのが,5.9%でございます。一方で,(1)で2ポツの「違反しない」と回答された方の中のデータで見ますと,(2)ダウンロード経験の有無で「あり」とお答えになったのは,9.2%でございます。「違反する」と答えつつ,「あり」と答えたのが5.9%。「違反しない」と回答しつつ,「あり」と答えられたのが9.2%ということでございますので,現行制度上,違反しないと認識しつつ,侵害コンテンツをダウンロードしている方の割合の方が,比較すると大きいということが確認されたところでございます。
以上3点,御報告をいたします。
【土肥座長】ありがとうございました。
ただいま,前回の検討会のご指摘を踏まえて,資料について手を入れていただいたところのあった部分について,ご紹介を頂戴したところでございます。
それでは,議事に入りたいと存じます。
議題(1)でございますけれども,これは「第1回検討会における議論の確認について」ということになります。まず,前回の検討会では,検討に当たっての基本方針について,御了解を頂きました。この点について,参考資料の3のとおり,前回の日付,クレジットを入れてセットさせていただいておると思いますので,御確認いただきたいと存じます。
それから,次に,議事(2)にも入りますけれども,具体的な制度設計,それから,論点について,前回の議論を踏まえ,事務局で資料1のとおり整理を行っていただいております。その御説明をお聞きした上で,本日の議論をお願いしたいと思います。
資料1は1ポツから4ポツまでございますけれども,2ポツの「要件追加等の提案について」の部分は,特にじっくり議論をしていただく必要がありますので,これは最後に回しまして,1ポツから3ポツに行き,それから4ポツに行って,最後に2ポツという順番で議論をいただきたいと思います。
それでは,まず事務局から,1ポツについての説明をお願いします。
【大野著作権課長補佐】それでは,お手元の資料1をごらんいただきたいと思います。
こちらは,前回,第1回の検討会における議論を整理しつつ,本日さらにご検討をお願いしたい事項を記載した資料となっております。
まず,1ポツの文化庁提案の3点の措置の部分について御説明を申し上げたいと思います。前回の検討会におきましては,文化庁の方から,本年2月時点の当初案に,少なくとも3点の措置を追加してはどうかと御提案をいたしました。
1点目は,改正案の附則に様々な規定を追加するということ。2点目は,写り込みの権利制限規定を拡充することで,スクリーンショットへの写り込みを適法にするということ。3点目は,「軽微なもの」を違法化対象から除外することで,数十ページで構成されるマンガのひとコマなど,一部分だけの軽微なダウンロードを適法にするということ。この3つの措置について御提案をしておりました。
前回,特に(3)につきましては,様々御意見があったかと思いますけれども,全体として大きな異論はなかったかと受け止めております。これを踏まえまして,点線で囲っておりますとおり,本日の検討会におきましては,これらの3点の措置を講ずる方針について,ご了承を頂いた上で,それぞれの条文の規定のイメージについても,併せて御確認をお願いしたいと思っております。
条文のイメージについて,簡単にご紹介をいたします。
まず,9ページをお開きいただければと思います。9ページは(1)附則への規定の追加についての条文イメージを示したものとなっております。これは前回もお示しをしておりますけれども,国民に対する啓発等,関係事業者の措置,運用上の配慮,検討という4つの条文を新しく追加してはどうかと考えております。
まず,1点目,国民に対する啓発につきましては,第1項と第2項と2つに分けて規定をしております。いずれも,国,地方公共団体に義務付けをする規定となっております。
1項が一般的な普及啓発に当たるかと思いますけれども,ここではいわゆる違法ダウンロードによって,著作権などを侵害する行為を「特定侵害行為」というふうに定義付けまして,この「特定侵害行為」の防止に関する啓発,その他の必要な措置を講じなければならないという規定を置くことにしております。
一方,2項につきましては,特に未成年の方々に対するアプローチということでございますけれども,「学校その他の様々な場を通じて特定侵害行為の防止に関する教育の充実を図らなければならない」という規定を設けることとしております。
それから,2点目の関係事業者の措置につきましては,「著作物などの公衆に提供し,又は提示する事業者」,今回の事案でいうと,出版社などがこれに当たるかと思いますが,そういった方々に,「特定侵害行為を防止するための措置を講じるよう努めなければならない」という形で,努力義務を課す規定となっております。
既に出版社におきましては,ABJマークの普及に取り組んでいただいておりますが,そういった取り組みをさらに進めていくということが想定されているものでございます。
それから,3点目が運用上の配慮となっておりますが,新著作権法第119条第3項,すなわち,罰則の規定の運用に当たりましては,「インターネットによる情報の収集その他のインターネットを利用して行う行為が不当に制限されることのないよう配慮しなければならない」という規定を置くこととしております。刑事当局に対して,こういった配慮義務を課す規定となっております。
それから,最後,4点目が,「検討」と題しておりますけれども,この法律の施行後1年を目途としてフォローアップをしようという規定になってございます。今回,法改正がされた場合に,その効果が出ているか,副作用が出ていないかということをしっかりチェックし,その結果に基づいて必要な措置を講ずるという内容になってございます。
続いて,10ページに参りまして,(2)写り込みの関係について,御説明をいたします。
冒頭の部分に記載しておりますとおり,本件につきましては,文化審議会の方でまだ検討途上でございまして,最終的な報告書はまとまっておりません。ここでは小委員会における「中間まとめ」の内容などを踏まえて,条文を作成すると,このようなイメージになるのではないかというものをお示ししております。点線で囲った部分が実際の条文でございます。少し技術的,複雑な規定になっておりますが,本検討会におきましては,スクリーンショットが対象に含まれるかというのが一番重要な部分になろうかと思います。
この点,従来の規定では,条文の冒頭にありますとおり,写真の撮影,録音,録画,ここまでしか規定がなかったわけですけれども,今回の改正では,「放送その他これらと同様に事物の影像又は音を複製し,又は複製を伴うことなく伝達する行為」,こういったものを幅広く対象に含める方向で検討をしております。スクリーンショットにつきましては,赤字にしておりますとおり,「これらと同様に事物を複製する行為」に該当しますので,ここで対象項に含まれてくると思います。
また,その後ろの部分では,様々な要件について規定をしておりますけれども,従来厳格な要件として設定されていた,著作物を創作する行為でなければならないという要件や,分離困難でならなければならないという要件については削除して,実質的な判断ができるようにしておりますので,スクリーンショットの際に,小さく違法画像などが写り込むということについても,問題なく対応できる規定になっているものと思います。
詳細については御説明を割愛いたします。
続いて,11ページに参りまして,(3)「軽微なもの」を違法化対象から除外するということに対応した条文をお示ししております。
まず,民事措置につきましては,30条第1項の中で規定をしますが,3号の部分に網掛けをしております。これは基本方針でも御確認いただきましたとおり,音楽・映像については,基本的に従前のルールを適用するということになっておりましたので,3号の部分につきましては,現行の規定を基本的には生かしつつ,4号を新たに設けまして,こちらで録音,録画以外の複製,今回の対象範囲を広げる部分について,規定するという方式をとっております。
このうち赤字にしている部分が軽微なものを除くという規定になっております。具体的には,「デジタル方式の複製」という部分に括弧を付けまして,その著作物のうち,「その複製に供される部分の占める割合,その複製に供される際の表示の精度,その他の要素に照らし,軽微なものを除く」という形で,考慮要素をいくつか例示しながら,軽微なものは対象から除かれる,すなわち,違法化の対象にならないということを明記しているところでございます。
それから,刑事罰につきましては,11ページから12ページにかけて規定をしております。119条3項という部分で規定をしておりまして,従来から対象になっていた音楽,映像については1号で規定をしつつ,第2号という部分で,音楽,映像の録音,録画以外の複製についての規定を設けることにしております。こちらも少し技術的な規定になっておりますが,軽微なものを除くという部分につきましては,赤字のとおり,先ほど御説明をした,民事措置と全く同じ規定ぶりをこちらにも入れるということにしているところでございます。
条文については以上でございますが,併せて資料の2についても,御説明をさせていただければと思います。
こちらは,ただいま御説明をした「軽微なもの」につきまして,具体的にどういった基準で判断するのか,具体的な例に照らすと,どういうものが軽微なものにあたるのかということを簡単に整理した資料でございます。
冒頭,米印にございますとおり,ここで示しているのはあくまで典型的なケースでございますので,様々な事情を考慮して,これら以外にも「軽微なもの」に当たるという場合はあり得るかと思っております。あくまで一般的な例として示しているものというふうにご理解いただければと思います。
まず,1ポツが「分量」による基準・典型例でございまして,具体的には,その著作物全体の分量から見て,ダウンロードされる分量がごく小部分である場合には,「軽微なもの」と認められるということが基本かと思っております。
典型例としては,数十ページで構成されるマンガの1コマから数コマのダウンロード,長文で構成される論文や新聞記事などの1行から数行のダウンロード,数百ページで構成される小説の1ページから数ページのダウンロード,こういったものにつきましては,典型的に軽微といえるものというふうに理解をしております。
一方で,「軽微なもの」と言えない例もいくつか例示をしておりまして,マンガの1話の半分程度や,4コママンガや1コママンガの1コマ,論文や新聞記事の半分程度,もしくは,絵画や写真のように1枚で作品全体になるものにつきましては,そのダウンロードは基本的には軽微と言えない例だと理解をしております。ただ,最後の例につきましては,2ポツのほうの「画質」による基準に照らして,軽微というふうに判断される場合もあり得るものと思っております。
2ポツにつきましては,画質で判断するという部分でございますが,画質が低く,それ自体では鑑賞に堪えないような粗い画像をダウンロードした場合には,「軽微なもの」と認められると考えております。これは特に絵画,イラスト,写真など,画質が重要な要素になる著作物について適用される基準かと思います。
典型的には,下にありますとおり,いわゆるサムネイル画像のようなもののダウンロードは「軽微なもの」に該当する一方で,絵画・イラストなどの鮮明な画像,高画質の写真などのダウンロードは「軽微なもの」とは言えないだろうと理解をしております。
事務局からは以上です。
【土肥座長】ありがとうございました。
ただいま説明をいただいたとおりでございますけれども,その内容につき,御質問,御意見がございましたら,お願いをいたします。大渕構成員,お願いします。
【大渕構成員】御説明ありがとうございました。
前回も軽微なものについてお話ししまして,de minimis non curat lexということで,デ・ミニミスであれば,法は関与しないというお話をしたのですが,何が軽微かについてはご説明しなかったので,その点を追加しておきたいと思います。今回問題になっているのは,表面的には,私人がやっている複製なので,それ自体は普通の場合は軽微なのですが,なぜ海賊版対策で問題にしているのかというと,私人が小規模にやっている方を中心的に問題にしているのではなくて,何のためにアップロードしているかというと,ダウンロードしてほしくて,そこでバナー広告などの収入があるからなので,そのような意味では,表面的に見ると軽微な複製かもしれないのですが,実質からいうと,ものすごく大規模な海賊版という,いわば巨悪のようなものを促進,助長しているというところこそが眼目であります。軽微は軽微で良くて,そこは配慮されていて,このペーパーでもものすごく絞って,数十ページで構成されているマンガの一コマだと絞っていただいています。ただ,例えば,主要国の立法例,これは皆さんあまりご覧になっていないかもしれませんが,これはいわば社会実験の結果,風雪に耐えて存続しておりますので,極めて重要であります。参考資料2という主要国の構成の例をご覧いただきますと,カナダ,ドイツ,フランスのように例外規定を有する国と判例法の国と両方ありますが,軽微なものを外すとかいうことは一切ないし,それを言い出すと二次創作も一切外していません。表面だけ見ると軽微かもしれないけど,軽微性というのは表面だけではなくて,それは積み重ねれば相当な量,巨悪になり,それを期待して相手側のアップロード側の方が,ばんばん違法アップロードをしてくることにもなります。軽微は軽微でよろしいし,ここでは,数十ページで構成されているマンガの一コマというふうに非常に軽微なものに絞っていただいているのですが,理解の大前提としては,表面だけ見ずに,実質的には全く軽微ではないという本質をきちんと見ていただく必要があると思います。
【土肥座長】ほかに。和田構成員,どうぞ。
【和田構成員】今の点に関連するので,一言付け加えさせていただければと思うのですけれども,今,ここで提示されている「軽微なもの」は,複製の軽微性という観点で,客体に着目して,ダウンロードして複製することとなるもの,それ自体の軽微性だけを判断する内容になっていると理解されるのですが,今のご指摘は,その行為が持っている影響等も含めた行為全体としての違法性の軽微性ということかと思います。
その点については,扱わないということで良いのかどうか。扱わないというのは2つ意味がありますが,客体として軽微であっても,行為として違法性が強ければ処罰対象にするという,そういう趣旨まで含んでいるのか,それは先ほどのご指摘だと思うのですけれども,私は,客体だけに着目して軽微であれば,それだけでまず切り,それ以外にも,客体としては軽微性,複製の軽微性を満たさないけれども,行為それ自体としては軽微な場合も外せるような書きぶりに,さらに書き足す必要があるのではないかというふうに思っております。
以上です。
【土肥座長】ありがとうございます。じゃあ,お願いします。
【大野著作権課長補佐】事務局から提案している軽微の内容につきましては,和田委員のおっしゃるとおり,客体の面での軽微性のみに着目した基準でございます。分量がどうかとか,画質がどうかという客観的な部分だけに着目して,それで軽微であれば違法性は問わないという整理をするものでございます。逆に言いますと,客体としては軽微ではないけれども,違法にすべきでないもの,適法にすべきものがあるのであれば,また,別の要件を議論する必要があるということになります。その点は,様々な御提案がそういう趣旨で出てきていると思いますので,後ほど,その部分で御議論をいただければと思っております。
【土肥座長】大渕構成員は30条の2についての議論にも関わられたので,30条の2の意識があると,そこにおける軽微と,30条の軽微は違うんですよね。だけど,そもそも,情報アクセスへの萎縮効果という問題を考えるのであれば,例えば,「知りながら」の対象とか,何を知りながらなのかというようなこと。それから,大野補佐がおっしゃられたことをもっと言うと,もう,そこは「知りながら」の対象にしないで,別に置いておくという方が,かえって良いのかなと思ったりするんですけどね。
つまり,軽微であることを知りながらというのは,元のオリジナルを知らないと,その軽微の判断ができないわけじゃないですか。それというのは,そこが分からないと躊躇するというふうにおっしゃられるのであれば,それはそのとおりだと思うし,私も最初は大渕構成員がおっしゃるような,そういう意識で,行為自体の違法性での軽微も見ていたんですけど,そうではないので,そこのあたり,30条と30条の2のそのところは十分注意して,法制局と今後詰めていただいて,せっかく軽微というものを外すんだったら,「知りながら」の対象にするということにすると,元のオリジナルの認識との関係が出てくるので,問題があるんじゃないかなというふうには思うんですけどね。
ほかに,どなたかございましょうか。田村構成員,どうぞ。
【田村構成員】私も和田委員に賛成で,客体としてはっきり書くのは大変よろしいことだと思うので,事務局の案には賛成です。さらに,これ以外のクリアすべき要件として,別のところで論じるという事務局のお話にも賛成です。これは,例えば不当に権利者の利益を害さないなど別の話だと思いますので,そこが関連しているという和田委員のご指摘もそのように受け止めて,後でまた議論したいということです。
以上です。
【土肥座長】ありがとうございます。萩原構成員,お願いします。
【萩原構成員】ありがとうございます。
前回,私の方から附則について,さらに付け加えることがあるかどうか検討させていただきたいというふうに申し上げましたので,一言ちょっとコメントさせていただきたいのですけれども,今の議論もそうなんですけれども,この法律が施行された後の運用で混乱するということが非常に考えられるので,是非そのような点も踏まえた注意点というのか,解説的なものを,解説書までいかないんだろうとは思うんですけれども,そういうものをぜひ作成していただきたいということなんですが,それもよく考えると,一番最初の,附則の一番最初に出てくる,普及,啓発,協力等に含まれるのかなというふうに思いますので,条文的にはこれで含まれるというふうに解釈をしていいのかなというふうに考えたりするんですけれども,ぜひ,事務局にも,その辺も踏まえた対応をお願いしたいなというふうに思います。
以上です。
【土肥座長】ありがとうございました。ほかにございますか。河野構成員,お願いします。
【河野構成員】軽微なものというところの解釈ですけれども,一般ユーザーのリテラシーを考えますと,今回のように,量,それから,品質というところでしっかり書いていただく方が,私たちユーザーにとってみると,理解がしやすいかなというふうに受け止めております。
【土肥座長】ありがとうございました。ほかにございますか。大渕構成員,お願いします。
【大渕構成員】仮に本当にこれをゼロから作るのならば,国際標準のとおりフランス型ないしドイツ型のように作るのがよいと思います。ただ,ここは,最初の情報発信の仕方が不適切だったからではないかとは思うのですが,国際標準とおりの本来の趣旨がきちんと伝わらずに,現に国民の皆様に不安感が持たれているという現状のもとでは,一定の配慮をした方がスムーズに行くと思います。本当はフランス型ないしドイツ型が妥当なのだけれども,もともと不安を除去するために,ドイツ型以上の「主観的要件」付きの日本型になっているので,ある種それの延長線上のような形で,フランス型ないしドイツ型以上の,本来必要でない,追加的要件までも,実際上は付されるというようにご理解いただければ,私の考えが一番よく伝わるのではないかと思います。ただ,もともと理論的にそれが当然入るものではなくて,不安除去のためにいわば方便的に入れているにすぎないというところをご理解いただければ,私の真意がご理解いただけるかと思います。
【土肥座長】ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。ほかによろしゅうございますか。
条文との関係でいかがでしょうかね。条文との関係で。
個人的に気になるのは,「知りながら」の対象なんですけどね。完全に軽微であるものを全部除くんだったら,それは適用除外のような形で,「知りながら」の対象にしないで,後に置いておくというようなことの方が,せっかくの文化庁提案の趣旨を徹底させることにはなると思うんです。僕も大渕構成員と同様に,軽微をもともと入れるかという,その問題意識は一緒なんですけど,もし入れるんだったら,やっぱり徹底して,きちんとやった方がいいかなというふうに思います。
【大野著作権課長補佐】まず,軽微なものを除くという要件を入れますので,客観的に軽微なものをダウンロードしている場合には,いかなる場合にも違法性を問われないということで,安心感につながると思っております。併せて,これを主観的な認識の対象にあえてしている趣旨を申し上げますと,SNSなどでマンガの1コマだけがアップロードされていて,それをダウンロードしたという場合に,実はそれは4コママンガの1コマでしたとか,1コママンガでしたという場合があり得ますので,そういう場合に客観的に軽微ではないから違法ということになってしまいますと,結局1コマのダウンロードにも萎縮を生じることになってしまうので,この点も含めて主観的な認識の対象にして,ユーザーから見て,1コマをダウンロードしている場合には問題にならないというふうにしてあげた方が,より萎縮の軽減につながるだろうと,こういう問題意識で,あえて主観的な認識の対象に入れているということでございます。
こういった点も踏まえて,議論をいただければと思っております。
【土肥座長】ありがとうございました。田村構成員,お願いします。
【田村構成員】短いですけれども,事務局の今の説明は大変説得的で,ユーザーの方の自由を保障するという観点からみると,大変よろしいのではないかと思いました。
【土肥座長】ありがとうございました。ほかによろしいですか。
そうすると,3点に関してなんですけれども,いわゆる制度の普及啓発に関する附則の問題,この規定案でお進めいただければというふうに思います。
それから,写り込みに関する30条の2ですけれども,これは特に御意見は出なかったんですけれども,スクリーンショットですか,そういったものを侵害から外すという趣旨というのは共有できたんだろうと思いますし,構成員は皆その点について賛成をしておるということでございますので,こういう形でよろしいかなというふうに思います。
それから,軽微。これも少しやっぱり考えていただいて,基本的に軽微を外すということは賛成なんですけれども,せっかく文化庁がここまで思い切って,こういう提案をしていただくわけですから,その提案が十分生きて,ユーザーの間に萎縮効果が生じないような,そういう形でやっていただいた方がいいだろうというふうに思います。
それで,この1ポツのところで終わりにさせていただきまして,次に参りたいと思います。条文のことに関して,次回,また御提案いただければ,ご紹介いただければいいかなと思いますので,一つよろしくお願いします。
では,3ポツの議論に入りたいと思います。この点について,事務局から説明をお願いいたします。
【大野著作権課長補佐】資料,飛びますけれども,5ページをお開きいただきまして,3ポツ,「その他の論点について」という部分について,御説明を申し上げたいと思います。
前回の検討会で,大きく2点についてご議論いただきまして,その結果を整理しているものでございます。まず,(ア)対象著作物の範囲についてでございます。パブリックコメントでは,対象著作物をマンガ・アニメなどに限定すべきという御提案もいただいておりましたけれども,前回の検討会での議論では,こういった限定では適切ではなく,基本的に全ての著作物を対象とすべきという意見が多かったかということで承知しておりまして,その認識がおおむね共有されたというふうに書かせていただいております。
具体的には,点線で囲っておりますとおり,マンガ・アニメの被害が多いのは確かだけれども,そのほか,専門書・学術書,国語辞典についてなどについても被害があるので,対象を絞ることには反対するという御意見がございました。
また,6ページに参りまして,著作物の種類によって限定せず,等しく扱うべきである,マンガ以外の分野の被害も無視できないという意見もございました。
一方で,マンガの被害が特にクローズアップされてきた経緯もあって,すべての著作物について,同じような形で対象にしてよいのかどうかというのは議論の余地があるのではないか,こういうご指摘もいただいたところでございまして,改めて,対象著作物の範囲をどうするかについて,確認をお願いしたいと思っております。
次に,(イ)が主観要件についてでございます。先ほども,この主観要件をめぐって,やりとりをいただいておりますけれども,前回のご議論では,この要件はユーザーの不安を払拭するために重要なので,当初案のまま維持するのが良いのではないかということで,認識がおおむね共有されていたかと思います。その認識に齟齬がないかということを,御確認をお願いしたいと思います。
点線で「本日の検討事項」と書いておりますが,今御説明したとおり,(ア),(イ)の考え方,認識について問題がないか改めて確認の上,問題がないようであれば,こういった方針について,ご了承をいただきたいと思っております。
【土肥座長】ありがとうございました。
それでは,ただいま御説明をいただいた内容について,まず,御質問,御意見等がございましたら,お願いをいたします。荻野構成員,お願いします。
【荻野構成員】すみません。前回,マンガの被害はやっぱり立法事実として大きいので,ほかのものとは区分した方がいいんじゃないかという意見を,私の方から述べさせていただいたんですけれども,皆さんの御意見を聞いていると,そういう区別をしないで広く入れた方がいいということでした。広く入れることに私も必ずしも反対しているわけではないんですけれども,広く入れる場合,典型的にはエンターテインメントの表現のような,まさに商品としてのコンテンツの海賊版で困っているという話よりもちょっと話が広がってきまして,例えば,この間もちょっと例として挙げたかったんですけれども,市民オンブズマンのような団体が,何かの組織の不正を追及しているというときに,その組織が作成した資料とか,そういったものも著作物として,このダウンロード違法化の対象に入ってくる。ということで,少し気を付けなきゃいけないところへの広がり方というのが,マンガのようなコンテンツだけに絞った場合とはちょっと違ってくるかとは思うんです。
ですので,そういったところにも配慮していただいて,例えば,一般的な権利制限規定を先に議論していただくとか,そういうちょっと注意が必要な議論に踏み込むということでの留意をしていただきたいというのが私の意見です。
以上です。
【土肥座長】ありがとうございました。ほかにございますか。御意見,御質問。和田構成員。
【和田構成員】主観要件についてでもよろしいですか。
【土肥座長】どうぞ。
【和田構成員】主観要件について,ここでは,当初案のまま維持すべきという認識が共有されたということですけれども,刑事に限った話にさせていただければと思いますが,通常の故意犯よりも,主観的要件を絞るという点については認識が共有されたと思っておりますが,その絞り方,あるいは,具体的な文言の書き方として,現在の「知りながら」ということで十分かどうかという点については,なお議論の余地があるというふうに考えています。
それは,通常の故意犯の場合は,確定的故意の場合だけでなく,未必的故意の場合も処罰対象になるというのが一般原則なわけですけれども,ここでは確定的故意に限定しようとしている。ただ,それをどのような文言で確保するのかということが問題なわけですけれども,現状の「知りながら」という言葉では,そこは十分に確定的故意に絞れないのではないか,確実に絞れるとは言い切れないというふうに考えているところです。
それは,立法過程において,十分議論した上で,これは確定的故意という意味なんだということをはっきり示しておけば,通常の運用においては,そのように扱われるということは間違いないと思いますけれども,事後的に,未必的故意があるに過ぎないけれども,やはりこれは処罰に値するという具体的な事例が出てきたときに,それに対して,裁判所がこれはやはり処罰に値するから,「知りながら」には,薄々知りながらというのも含むというような解釈をした上で,それを処罰対象にして,高等裁判所もそれを認めたときに,それを憲法に違反する解釈だといって,適法な上告理由で上告するということはできないのではないかと思います。
つまり,憲法の範囲内で「知りながら」を,今ここで共有されている範囲よりも広げて解釈するということは十分可能だと思いますので,そのようなリスクはゼロにならないという前提で議論すべきだと思いますし,引き続き,最終的に文言が確定するまで,「知りながら」という文言で本当にいいのかどうか,ほかの方策も考え続ける必要があると考えているところです。
【土肥座長】ありがとうございます。「知りながら」はご案内のように,ほかに採用している条文もあることでございますので,事務局や法制局としては,どうしてもそういった例に倣うということがございましょう。一つの同じ法律なものですから。また,そういう立法技術的なこともあるのだろうと推測するのですが,何か,和田構成員におかれまして,「知りながら」にかわるような適切なお考えなどはございますか。
【和田構成員】それがはっきり,これでどうでしょうと示せれば一番いいのですけれども,この「知りながら」という部分だけに関わるものではなくて,反復,継続の点にも関わる要件として,前回も少しお話したのですが,「常習として」という言葉を入れることで,事実上確定的故意の場合に限られるという効果が得られるのではないかと考えておりますが,もう少し刑事法の専門家が大勢いるところで議論を深めた方がいいかなという気はいたしております。
とりあえず,一つの意見,提案として示しておきたいと思います。
【土肥座長】ありがとうございました。今の御提案といいますか,お考えについては,また,勉強させていただいて,次回にでも,何か御報告できればというふうに思いますけれども。どうぞ。大渕構成員,お願いします。
【大渕構成員】私は昔刑事裁判も多数やっておりましたが,私の感覚では,常習性というのと確定的認識というのは別次元の話で,常習的にやっている人でも確定的故意がないときもあるので,別次元のものを一緒にすることには,刑事法でなくて,法律一般としても違和感があります。また,あえて言えば,「知りながら」というもの自体は,もともと主要国では入っているものでもないので,そこまでぎちぎちにやるべきものかなという気持ちがあります。普通,刑法であれば,確定的故意だけではなくて未必の故意も入るというのは常識ですので,それは絶対に条文でぎちぎちにして外さなくてはいけないほどなのか。皆さんの不安感のためにそういうことにするとしても,録音録画に関する今までの条文もあって,コンメンタール等も全てそのような趣旨で書かれていて,もっと刑法の先生がびっくりされるには,事実の錯誤だけではなくて,法律の錯誤も,刑法なら当然処罰されるわけですが,それすらも不問に付すというような,もともとそのような話なので,これら全体のコンテクストの中でご理解いただければと思います。「常習」はやはり違うのではないかと思います。
【土肥座長】確かに,「知りながら」は分かりやすいことは分かりやすいですよね,ユーザーにとっては。じゃあ,和田構成員,お願いします。
【和田構成員】「知りながら」にかえてではなくて,「知りながら」に加えてという趣旨で御提案いたしました。
【土肥座長】今,マイク入っていました?
【和田構成員】入れました。
【土肥座長】ほかにいかがでございましょうか。
しかし,主観要件を維持するということは,よろしいかと思います。基本的には,既にある,そういう規定の並びということもあり,ユーザーにおいて分かりやすいという,要するに,明確性はやはり非常に大事なところで,特にユーザーの方が読まれて,これが民事上の責任,あるいは刑事上の責任につながる行為なのかどうかということを明確になるように,そういう条文化ということが必要かと承知しておりますので,そのあたりを踏まえて,主観要件は維持するということで参りたいと思います。
あとは,荻野構成員が最初言われたところの話なんですけれども,対象について,何か御意見,ほかの……。前回はかなり御意見頂戴したところですけど,ありますか。お願いします。
【後藤構成員】やはり前回お話したとおり,さらに今回事務局から補足がありました前回の資料2-2がございましたように,コンピューターソフト,学術論文,新聞記事等々,被害を受けているわけでございまして,現況,それにおいて,やはり差別化すべきではないというふうに思います。
【土肥座長】ありがとうございます。河野構成員,お願いします。
【河野構成員】私もこの対象著作物はマンガ・アニメに限定するのは,適切ではないというふうに思っております。現状は,音楽と映像の録音,録画が例外として置かれているわけですけれども,今回の法改正において,附則で付けていただくであろう一番目の国民への啓発,理解の促進のことを考えますと,また新たにここで,マンガとアニメだけというふうにしたときに,社会に対する,著作権に対する理解ですとか,違法のダウンロードに関する行動変容,そういったことをしないという行動変容には,つながりにくいというふうに思いますので,先ほど荻野委員がおっしゃったように,それなりに配慮すべきところがあるというのは,私もよく分かっておりますけれども,全ての著作物ということで今回は考えていただければというふうに思いました。
【土肥座長】ありがとうございました。ほかに,この点について御意見ございますか。
前回,第1回目に,マンガコンテンツの被害額のみならず,コンピューターソフトウエアの分野,あるいは新聞,出版物,マンガ以外の様々なものに相当な大きな被害が出ているということにも,我々は直視しないといけないと思います。その点は,荻野構成員にも十分ご理解いただきたいというふうに思います。
ほかに,この点,何かございましょうか。
荻野構成員のお気持ちはお気持ちとしてといいますか,意見は意見として,お聞きはいたしましたけれども,本検討会においては,全ての著作物について対象とするということ,それから,主観要件は,まだ勉強する余地があるのかもしれませんけれども,「知りながら」という主観要件というのは,基本として維持するということで,進めて参りたいというふうに思います。
よろしゅうございますか。皆さん,よろしゅうございますか。ありがとうございます。何か最後に言われますか。どうぞ。
【荻野構成員】先ほども述べましたように,全ての著作物を入れる場合については,マンガ以外の,政治的議論とか社会的議論に必要な著作物,特に文章ですよね,テキストのものというのが入ってきますので,それについて,入れるなら入れるで,それなりの対応といいますか,安全策というのを,是非この後でご検討いただければというふうに思います。
以上です。
【土肥座長】ありがとうございました。いずれにしても,荻野構成員にも対象についてご了解いただきましたので,本検討会においては,それを実際に運営する上で,いろいろ配慮する点はあるのかもしれませんけれども,規定の上では,そういう対象は全ての著作ということ,それから,主観要件,こういったものを維持する形で進めさせていただきたいと思います。ご了解を得られたと思いますので,そうした内容で進めたいと思います。
じゃあ,4ポツについて,入りたいと思いますけれども,この点について,事務局から説明をお願いします。
【大野著作権課長補佐】それでは,4ポツ,「リーチサイト対策」について,御説明をいたします。
リーチサイト対策につきましても,パブリックコメントで様々な御意見,御懸念をいただいておりまして,前回,5つの論点に分けてご議論いただきましたので,その整理について御報告を申し上げたいと思います。
まず,(ア)は対象となるリーチサイトの範囲についてでございまして,①にありますような剽窃論文のリンク集など,いわゆる海賊版対策と直接関係ないものまで規制されるのではないかという懸念をパブコメでいただいておりました。これにつきましては,前回の議論で,こういったものの多くはリーチサイトの定義に該当せず,規制対象とはならないこと,したがって,既に様々な要件で絞り込みが行われているので,こういった事例を念頭にその他の要件を付加する必要はないことについて,おおむね認識の共有がされていたかと思いますので,それで問題ないかということを御確認いただきたいと思います。
次に,7ページに参りまして,(イ)は刑事罰の扱いについてでございます。
まず①でリーチサイト運営行為に対する刑事罰について記載をしておりますが,当初案では,「非親告罪」としておりましたところ,様々な懸念が示されていることを踏まえて,「親告罪」に変更することについて,おおむね認識が共有されたのではないかと理解しております。
一方で,②のように新たな要件として,事前の警告などを課すことにつきましては,適切ではないということで,認識がおおむね共有されていたかと思いますので,この2点について確認をお願いしたいと思っております。
次に,(ウ)はいわゆるプラットフォーマーの取扱いでございます。
まず,①に記載しておりますとおり,自ら直接的にリーチサイト運営行為やリーチアプリ提供行為を行っていないプラットフォーム・サービス提供者には,基本的に今回の規制は及ばないということで認識が共有されていたかと思います。
この点を条文上明記するかどうかということについてもご議論いただきましたが,前回の議論では,あえて条文上規定する必要性は低いのではないかという御意見があったものと承知しておりまして,こういう考えで問題がないのかどうか,条文上規定する必要がないのかどうかという点も含めて,改めて御確認をお願いしたいと思っております。
次に,8ページに参りまして,(エ)がいわゆる投稿型サイト,掲示板などの扱いでございます。投稿型サイトにつきましても規制対象になることを懸念する声がありましたけれども,前回の議論では,非常に悪質なものに絞り込んで対象にしており,一般的なサイトには規制が及ばないので,大きな問題はないのではないかということで,認識が共有されていたかと思います。
最後の(オ)はリンク提供者等に係る主観要件についてでございまして,こちらは,リンク先が侵害コンテンツであることについて過失がある場合も含めて,民事上の責任の対象にはするということになっておりますが,この点について問題ないという認識が改めて共有されていたかと思います。
本日の検討事項は,繰り返しになりますが,今御説明した(ア)から(オ)までの考え方について,認識の齟齬などがないか,改めて御確認の上,問題がなければ,こういった方針で御了承いただきたいということでございます。
以上です。
【土肥座長】ありがとうございました。
4ポツでございます。(ア)から最後の(オ)ですか,とにかく,最後の(オ)までですね,結構な内容があるわけですけれども,基本的にはリーチサイトの問題でございます。どこからでも結構かと思います。リーチサイトに関して,御質問,御意見ございましたら,お願いいたします。どうぞ。荻野構成員。
【荻野構成員】リーチサイトで,前回,親告罪にしようという御意見が出て,おおむね皆さん賛成されていた。私もその方向でよろしいかとは思うんですけれども,ただ,こちらの分科会の報告書の35ページにもありますように,もともとの設計としては,集合的な権利侵害性を想定した,社会法益侵害型の犯罪として考えられていたという中で設計されてきた制度だと思うんです,このリーチサイト規制というのは。そうしますと,社会法益侵害型の場合は,いわゆるリーチサイト,こういういろいろなマンガなどを集めてきて,書店みたいに並べているものなんだなというのは,常識的に解釈として浮かぶと思うんですけれども,個人法益侵害型の親告罪のようなことになってくると,例えば,先ほどの例で言いますと,オンブズマンがある組織の不正を追求しているという場合に,その組織の不正を示すような内部資料,余り拡散してほしくない内部資料などのリンクをたくさん張ってあるというような場合に,これも該当してしまうんじゃないかというのが,ちょっと悪い方の予感というのもするところでありまして,もし,個人法益侵害型,親告罪にする場合は,やはりどこか一般的な規定のところで,権利濫用制限みたいなものがないと多少不安なのかなというところを思うところです。
以上です。
【土肥座長】ありがとうございました。ほかに,リーチサイトに関して,御質問,御意見ございますか。田村構成員,お願いします。
【田村構成員】これは確認ですけれども,プラットフォーマーには基本的に今回の規制が及ぶものではないということですが,条文上それが読めるかどうかが多少気になるところがございます。釈迦に説法になりますが,ロクラク事件というものがあって,あれは録画についてのものであるにしても,その後の下級審では,枢要な行為をなしたものというのを録画以外にも広げるものもございます。
そうすると,今の条文ですと,113条の3項になるでしょうか。侵害著作物等利用容易化ウェブサイトに該当するウェブサイト等の公衆への提示を行っている者とか,あるいは,次の,公衆への提供又は提示を行っている者。この「公衆への提示を行っている者」というところで,可能性としては,少し広く読まれて,プラットフォーマーが含まれる可能性は決してないわけではないというのが一点。前回もそのような議論がありましたが,他方で完全にプラットフォーマーを省いてよいかというのもまた一つの論点でして,2ちゃんねる事件のように,ずっと放置をしているときには,不作為を作為にみなせるような場合が,私もあるような気がしています。
ですから,結果的に一番良いのは,基本的にはプラットフォーマーは当たらないけれども,あまりに放置しているため作為とみなされるようなものは当たりうるというのが,皆さん御意見があるかもしれませんが,多分落としどころだと思います。
それを,今の規定で実現すべきなのか,それを裁判所が,今回は絞るという趣旨を盛り込めば,ものすごく広げることはないと私も思うのですけれども,しかし,それをはっきり書いた方がよいのか。逆に書くことによって,2ちゃんねる型というか,超作為型の作為同視型まで責任を回避させて良いのか。そうならないような書き方も必要かと思いますが,とにかく私は,今の文章だと広くなる可能性は捨て去られていないような気がしているというのが,少し心配事項であります。
ただ,私もその可能性や懸念が非常に高いとは思っていませんので,皆さんが大丈夫だとおっしゃる意見が強ければ,私も強くは申し上げません。
【土肥座長】ありがとうございました。ほかに,この点について。大渕構成員。
【大渕構成員】土肥先生は参加されていたかと思うのですが,すごくこれはものすごく苦しい,リーチサイト以上に苦しかった著作権間接侵害という大論点があって,それに入り込んだら大変だから入り込まずに,間接侵害でなくて,擬制侵害に絞って,ようやくここにたどり着きました。後から来られた方は分からないかもしれませんが,間接侵害という大物に入らずにこれだけに絞って,ようやく来たものですから,ここで入れてしまうと,パンドラの箱を開けることになってしまいます。有名なところだと,特許法ですけど,平成23年改正で当然対抗制を入れたときに,当然対抗の場合に契約上の地位が移るのかということも入れてくれという話がありましたが,それは一般法理に委ねるということで,条文ではすっきりと当然対抗だけ入れました。
これも,その類いでありまして,入れたいという気持ちは分かるのですが,そこは考えに考えた上で間接侵害という大物は入れずに擬制侵害でやっていますので,これをいじり出すと大変なことになるのではないかと思います。
それから,先ほどの御懸念は分かるのですが,そのために権利濫用があって,それを申し上げると,著作権法にも書いてほしいという話になるのですが,差止めの権利濫用につき特許法にも書いてほしいという話は多々ありましたが,平成23年改正で結局は書きませんでした。やはり私法の一般原則というのが民法に書いてあるのを,何で突然著作権法だけ書くのかという点で問題があり,また反響もあったりするので,そこは御心配なくということであります。法律制度としては,権利の濫用だったら権利濫用ではじくことはできるし,他方で,権利濫用の濫用という問題もあって,そこを種々悩んだ上でこのような法制度ができています。濫用的なものがあったら,きちんと裁判所が権利濫用自体で扱うべきであります。そこは立証等大変かと思いますけど,それを気にして,別の要件としてしまうのは,全く筋違いであると思います。
【土肥座長】ありがとうございました。ほかにございますか。リーチサイトに関して,特にプラットフォーマーに関してでも結構でございますけれども。福井構成員,マイクございますか。
【福井構成員】ありがとうございました。事務局がかなり前回の議論を丁寧にすくい上げていただいたなという印象を持っております。
非親告罪化についてです。やはり親告罪に変更することに,改めて賛成いたします。前回警察の運用上は余り違いがないんだというご指摘もあって,現状は確かにそうかもしれません。しかし,国民の関心,不安も高い分野でありますので,警察の運用に頼るということではなくて,法制度の中にきっちりとセーフガードを設けていく。そのための法制度論だと思いますので,これに賛成いたします。
また,このプラットフォーマーに関する議論。確かに,プラットフォーマーからは,自分たちのサービスに適用されるんじゃないかという不安の声も一部あるようです。海賊版対策の現場においては,現在,プラットフォーマーも含む通信事業者側と,権利者側との協力関係も随分と進んできているところです。彼らの不要な不安に対して対応するということは大事なことではないかと思うんです。
一方において,典型的な検索エンジン,その他プラットフォーム・サービスは対象外だとしても,明らかな海賊版,海賊行為を放置するようなことは,これは許されないだろうという田村委員の御意見に強く賛成します。これを何とか条文で区別できればいいなと思うのですけれども,やっぱりなかなか,悪質なプラットフォームだけをうまくすくい出すことは,やればやるほど,この条文がさらに複雑になってしまうんじゃないかと思います。前回も申し上げましたが,一般の方が理解できない制度を入れることは避けるべきだと思うのです。その意味で,この条文そのもので対応するのはちょっと難しいかなと。
あとは,附則。今回ご紹介いただいた附則案では,配慮というものが幾つかの制度について存在しています。現在はダウンロード違法化について,運用上の配慮ということで,インターネットによる情報の収集,その他のインターネットを利用して行う行為が不当に制限されることのないよう配慮しなければならないとある。現在はダウンロード違法化の部分だけですけれども,リーチサイト規制の運用においても同様に配慮すべきことは当然であり,こういう規定であれば,余りダウンサイドも考えにくいので,導入を検討されても良いのではないかと思いました。
以上です。
【土肥座長】ありがとうございました。ほかにございませんか。田村構成員,もう一度お願いします。
【田村構成員】福井先生のおっしゃることは大変魅力的な提示に聞こえました。他方,可能性としては,例えば,括弧内で単に機会を提供している者を除くとか,そのような法案も考えられなくはなくて,そのときに,それが2ちゃんねる型の超不作為の結果,作為と同視されるべき型まで除いてしまいかねないという危険性も確かにあるのですね。ですから,私がさきほどから申し上げているように,皆さんがここまで議論して,これが議事録に残ること自体が非常に重要だと思っておりますし,また,もしできるならば,先ほどの福井先生の御提案もお考えいただければと思います。
以上です。
【土肥座長】ありがとうございました。ほかにございますか。
【大野著作権課長補佐】済みません,ちょっと一点,事務局からよろしいですかね。前回事務局の方からこれを仮に条文として書くのであればということで,先ほど田村先生がおっしゃったような,「単に機会を提供している者を除く」という御提案をさせていただいておりました。
これは,当然,その2ちゃんねる型のような,削除せず放置しているような悪質な者は除かない一方で,そうではない場合は除こうという趣旨で御提案をしておりました。
こういったものを条文に書くと,脱法される懸念があるというのも事実だと思いますが,書かない場合にも,単に「提供した者」という規定になって,どの程度の関与であれば提供しているか分からないということになりますので,結局,そこまで悪質な関与をしていない人はこれに当たらないという主張を誘発することもあるかなと思っております。そうであれば,逆に,極めて関与の程度の薄い人をしっかり明確に除くというふうに条文上書くことで,そうではない人については対象になり得るという形で解釈されるようになるという面もあると思いますので,書いた方が脱法行為の懸念というのも抑制できるのではないか,そういう問題意識もあって,前回,あのような御提案したということについては,補足をさせていただきたいと思います。
【土肥座長】ありがとうございました。今おっしゃった,単に機会を提供しているに過ぎない者というふうに書くということなんですけれども,それはみんな了解していることなんですよね。もうそれは了解していることなので,ことさら書く必要が今の段階であるのかどうか,つまり,本来これは海賊版対策にフォーカスして,この検討会があるわけで,プラットフォーマーの問題というのは非常に広い,今後ますますいろいろ議論が展開されそうなところでもありますので,よく考えていく必要あるんじゃないかなというふうに思います。
大渕構成員,どうぞ。
【大渕構成員】最初,土肥先生が逆を言われるのかと思ったのですが,最終的には賛成だと聞いたときに,機会の提供というと,違法なものだって機会の提供だし,口で言うのは簡単だし,全くただ単に知りもせずにいわば裸の形で機会を提供しているだけならよいのですが,条文に書き出すと,そうも読めないと大変なことになるから,今まで苦しんできているので,そのような意味では,先ほど,土肥先生が言われたように,みんながそう思ったかと思うのですが,本当に物理的にというか,場やアプリ等を提供しているというようなものは入るはずもない。ただ,それを条文に書くとなると,いろいろな波及効果も大変なので,そうなると,先ほど言われたように,ただ単にアプリを売っただけの人は責任を問われないというのはみんなが納得しているので,それが総意として出れば,十分ご安心いただけます。やはり条文で書くとなると大変なことになり得ますので,土肥先生が言われたのが一つの解ではないかと思っております。
【土肥座長】ありがとうございました。田村構成員,どうぞ。
【田村構成員】重々困難なのは分かるのですが,福井先生のおっしゃったような代替案が入るのであれば,多少安心できるのですけれども,入らないとなると,どちらに転ぶかの問題で,どちらをデフォルトにするかが問題ですね。今だと取り込み過ぎの危険性がある。逆に,機会の提供であると,確かに,もしかすると取り込み過ぎない危険性がある。そのどちらがよいかといったら,今回初めての規制であることも考えれば,むしろ後者の方がよろしいのではないかと思えます。それがみなさんの御意見で無理であるということであるなら,せめて福井先生の御提案も真剣にご検討いただければと思っています。
【土肥座長】ありがとうございました。ほかにございますか。
最終的な結論をどっちかにフォーカスをするということが本日求められているわけではないわけでありますので,事務局が置かれているこの点については,つまりプラットフォーマーの問題については,両論あるわけですので,その両論を踏まえた上で,一つ案を考えてもらってみて,例えば,こういう形で入れてみたらどうだというのと,これはなくても十分行けるという,そういうその2つ,両案を考えておいていただいたほうがいいかなというふうに思います。
ほかに,親告罪,非親告罪の点はよろしゅうございますか。ここは。余り,実務的影響がないということを前回もお話しいただいたと思うんですけれども,よろしいですか,これは親告罪ということで。よろしいですね。
御異論はないということでございますので,事務局の提案でお願いしたいと思います。
それから,案は,これは原案で十分絞り込みがなされているということであったということは,前回の検討会の議論で承知をしております。特に,本日改めて若干異議を申されたい方がおられましたらお伺いしますけれども,なければ前回どおり,この原案で(ア)は行きたいと思います。
それから,(エ)ですね。投稿型のサイト。この投稿型サイトも十分絞り込みがされて,排除されている。特にこういうものが規制の対象にはならないということで了解をいただいたと思っておりますので,適切な内容であるというふうに,本検討会ではしたいと思いますけど,御異論ございませんか。よろしいですか。
御異論はないということでございますので,このように進めたいと思います。
それから,リンク提供者等に係る主観的要件ですね。リンク先が侵害コンテンツであることについて過失がある場合も含めて問題ないという認識を共有したというふうに思うわけでございますけれども,この点は前回も大渕構成員が縷々ここまで,過失まで認めたんだということで,丁寧にやっているという御説明を頂戴したと思いますが,他の構成員におかれまして,何かこの点についてございませんか。よろしゅうございますか。
それでは,この4の点,これにつきましては,プラットフォーマーの取り扱いについては少し両案出していただいて,次回以降にさらに検討させていただきたいと思いますけれども,それ以外の点については,事務局の整理のとおりでよろしいかと思います。構成員の皆様についても事務局の提案どおりでよろしいということのようでございますので,プラットフォーマーの取り扱い以外についてはこの扱いで,プラットフォーマーの取り扱いについては次回以降もう一度検討させていただきたい。そのための資料を一つ事務局に御用意いただければと思います。
それで,2ポツに戻りたいと思います。要件追加等の議論に入りたいと思っているわけでございますけれども,この点について,前回,合計で12の提案について議論を頂戴いたしました。そういう結果を踏まえて,事務局において分類,整理をしていただいております。
まず,事務局から一通り説明を頂戴したいと思います。お願いします。
【大野著作権課長補佐】それでは,資料1の1ページ目,2ポツ,「要件追加等の提案について」という部分について,御説明を差し上げます。
パブリックコメントにおきまして,先ほど主査からもございましたとおり,合計で12の提案をいただいておりまして,これらについて,前回の議論を踏まえますと,大きく3つに分類されるのではないかと思っております。(ア)採用が適切との認識が共有されたもの,(イ)採用は不適切との意見の多かったもの,(ウ)大きな意見の相違があったもの。この3つに分かれたものと認識しております。
後ほど個々に御説明しますが,(ア)につきましては,採用することで良いのかどうかを確認いただいた上で,その条文イメージも作成しておりますので,併せて確認をお願いしたいと思っております。また,(イ)と(ウ)につきましては,前回の議論を踏まえて,さらなる議論をお願いしたいと思っております。
順にご紹介をいたします。まず(ア)につきましては,(1)にございます二次創作作品・パロディなどのダウンロードを違法化の対象から除外するという内容でございます。
この点,条文の書き方につきましては,「原作のまま」とする提案もパブリックコメントではいただいておりましたが,前回の議論では,この要件については多様な解釈があり得るため,当初案の刑事罰で採用していたのと同様,「第二十八条に規定する権利を除く」というふうに規定する方が適切ではないかという御意見があったものと承知をしております。
条文イメージにつきまして,ちょっとページが飛びますが,13ページをお開きいただきたいと思います。(4)と書いてありますが,二次創作・パロディなどを除外する際の条文イメージを作成したものでございます。民事につきましては,30条1項4号という部分で,録音・録画以外について新たに規定をしておりますが,この冒頭,「著作権を侵害する自動公衆送信」というところがありますけれども,この著作権の内容から「28条に規定する権利を除く」というふうに規定をしまして,二次的著作物が使われる場合の原作者の権利の侵害はこの文脈では問わないということとすることで,二次創作作品を,二次創作者自身がアップロードしているような場合に,そのダウンロードが違法にならないよう措置しているものでございます。
なお,この規定ぶりにつきましては,14ページにございます刑事罰の規定で,青字にしておりますとおり,当初案で同じ形で規定除することを規定しておりましたので,これと全く同じような手当てを民事措置についても行うという内容になってございます。
次に,2ページに戻っていただきまして,御提案のうち2つ目の分類,採用は不適切という御意見が多かったものについて,御説明をいたします。
まず,(4)が「海賊版サイト」などからのダウンロードに限定するという御提案でございます。こちらは,主な御意見の1つ目,2つ目あたりにございますとおり,SNSからのダウンロードの被害も深刻であるため,このような限定は適切ではないという御意見が多かったかと思います。
一方で,一番下のポツにございますとおり,こういった限定をすることで,国民の理解,安心感が深まるのではないかということで,是非この要件を入れた方がいいという御意見もございました。こういう点も含めて,改めて御確認をお願いしたいと思っております。
次に,(5),(11)は不当に利益を上げている場合への限定でございますが,こちらについては,私的使用の場合に不当に利益を上げるという場面が想定されづらいということで,実効性も失われるため,不適切という御意見があったものと承知をしております。
次に,(6)は有償で提供・提示される著作物に限定するということで,既に刑事罰ではこの限定がかかっているものを,民事にも同様の要件を付加していくという御提案でございました。この点については,広告モデルのものなど,無償のビジネスモデルのものも多い中で,弊害が大きいのではないかという御意見があった一方で,後ほど出てまいりますが,「著作権者の利益を不当に害することとなる場合」,この要件を入れれば,この問題意識にもある程度対応ができるのではないかという御意見もございました。
また,「有償」の概念を少し拡張して,民事にも要件を付加していくことは検討に値するという御意見もあったところでございます。
この点,3ページの一番上に米印で記載しておりますが,この論点については,本年2月,著作権分科会報告書の中でも記載がされております。「有償」の定義が狭いではないかという議論は審議会でもございまして,これを例えば営利性などに変更していくことが考えられるという御提案がございました。
ただ,この点については,ビジネスの実態などをよく踏まえた上で,どこまで対象に入れるのかということについて,時間をかけた議論が必要であるため,録音・録画の部分も含めて,今回の対象範囲拡大とは切り離して,今後の課題として議論してはどうかというまとめになってございました。
また,今回のパブコメにおきましては,権利者団体から,創作に多大な労力が費やされている著作物の価値は,外形的な有償性によって決まらないという御意見もございまして,一律,このような切り口で対象範囲を決めるのかどうかということについては慎重な検討が必要だと理解をしております。
次に(7)が反復・継続してダウンロードを行う場合に限定するという御提案でございまして,既に刑事については,こういった要件が入っているところ,民事まで広げるのは反対だという御意見があったものと承知をしております。
次に,(8)につきましては,私的使用の場合にこの要件を満たすことは考えづらく,不適切ではないかという御意見,また後ほど出てまいりますが,民事・刑事共通で「著作権者の利益を不当に害することとなる場合」という要件で入れるのであれば,同じような趣旨は実現できるため,この要件は不要ではないかという御意見がございました。
それから,(12)刑事罰自体を科さずに,まずは民事措置のみを行うという提案については,否定的な御意見が多かったかと思います。
1つ目のポツにありますとおり,既に様々な限定がされており,それをさらに絞り込んでいくということを前提にするのであれば,刑事罰を科すことには賛成するという御意見や,2つ目のポツにありますとおり,刑事罰がなければ,抑止力がなくなって,法改正の意味が余りなくなるんではないかという御意見もございました。一方で刑事罰については,若干恐れがあるということで,全体のバランスを考えて,対象範囲について精緻に議論する必要があるという問題意識に基づく御意見もあったものと承知をしております。
続いて,4ページに参りまして,(ウ)の大きな意見の相違があったものについて,御説明を申し上げたいと思います。
今日のご議論はここが中心になろうかと思いますが,事務局としては,米印で記載をしておりますとおり,今回は,海賊版対策としての実効性と国民の正当な情報収集,これを両方大事にしながら制度設計をしていくということが前提になっておりましたので,それぞれにどのような影響を与えるのかという点を,よく具体化しつつ,その上で採用が適切かどうかという議論をお願いしたいと思っております。
まず,(2)は「著作権者の利益を不当に害することとなる場合」に限定をするという要件でございます。この点につきましては,1つ目のポツ,2つ目のポツにございますとおり,現行法にも既に例がある,もしくは,萎縮を懸念する声が多いのであれば,導入を検討しても良いのではないかという御意見がございました。
また,規定ぶりとしては,「不当に害することとなる場合」に限定するというのではなくて,「不当に害しない場合を除く」という形で,裏側から書くということもあり得るという御提案もございました。
一方で,「著作権者の利益を不当に害することとなる場合」に限定すると,権利者が立証する必要があり,権利行使が困難となるので問題という御意見ですとか,抽象的な要件になりますので,かえって国民にも分かりにくく,居直り侵害を招く,こういった明確性に欠ける規定は不適切,実効性が低下するという御意見もあったところでございます。
このページの一番下の括弧書きは,仮に2つ目の御意見にあるような,「不当に害しない場合を除く」という形で条文化するとしたら,このようなイメージになるのではないかというのをお示ししているものでございまして,最後に括弧書きでありますとおり,考慮要素を幾つか並べた上で,こういうものに照らして,「著作権者の利益を不当に害しない場合を除く」という規定を追加することで,御意見の趣旨が実現できるのではないかと思っております。議論の参考としていただきたいということでございます。
5ページに参りまして,(3)と(9)は著作物の全部又は相当部分を(丸ごと)ダウンロードする場合に限定するという御提案でございます。この点,検討してもいいという御意見があった一方で,「丸ごと」の定義が難しい,また,別の要件で様々絞り込みをしていくのであれば,この要件は不要ではないか,実効性が低下するので反対といった御意見があったところでございます。
次に,(10),最後になりますけれども,警察等が違反者に対して事前に警告を行うことを刑事罰の要件として課していくという御提案でございます。この点,法制度として現実的ではないという御意見と,行政法ではこのような例もあるので,それほど非現実的ではないという御意見があったものと承知をしております。
この点,米印に記載しておりますとおり,ご案内のとおりかと思いますが,著作権法は,いわゆる行政法,規制法ではございませんので,その位置付けに留意する必要があろうかと思います。また,ストーカー規制法におきましては,この規制を所管する行政機関として警察が警告を行うという仕組みがありますけれども,あくまで,これも行政的な規制という範疇でのルールかと思いますし,また,罰則の適用に先立って警告を行うという仕組みではございませんので,これと必ずしもパラレルには考えられない部分があるだろうと思っております。
事務局からは以上です。
【土肥座長】ありがとうございました。
お聞きのとおり,非常にたくさんございます。やはりこれは順を追って進めていきたいというふうに思います。まず,1ページ目の(ア)の(1)でございます。二次創作作品・パロディなどのダウンロードを対象から除外するという案でございますけれども,これについては,何か御意見ございますか。田村構成員,どうぞ。
【田村構成員】方針に反対しているわけではなくて,条文の書きぶりの問題,あるいは,もしかしたら,方針になるかもしれないですけれども,原作のままでは確かにいろいろな問題があるかもしれません。28条に規定する権利を除くというのは非常に良く分かるのですが,唯一少し気になるのは,これはどういうお考えなのかということです。マンガの吹き出しが英語等に翻訳されている場合に,それも除く御趣旨なのかということが気になります。そして,著作権法の条文上は,27条のその他翻案と最終的にまとめられた中にもちろん翻訳が入っておりますし,あるいは,47条の6でしょうか,複製等で,あるいはそのままの利用ができる場合にプラスして,翻案型のものにも利用を認めて,必ず翻訳を認めたいと思ったときは,翻訳だけをピンポイントに書くわけですよね。ですから,今の規定のままだと,普通に読みますと,翻訳がされただけで規制から逃れることになります。これは以前の分科会などでも,私も28条の話をしましたが,一部の方からやはり翻訳を除くことになるのは余りにも狭すぎるのではないかという御意見もあったりしたところですので,それで良いのかということと,私は翻訳されているかいないかで余り違いが無いと思いますから,翻訳はむしろ敗者復活といいますか,何といえばよいか分かりませんが,除いた上で,しかし,翻訳は入るというような形にされるのがよろしいのではないかと思います。
【土肥座長】お願いします。
【大野著作権課長補佐】まず事務局としては,この28条に規定する権利を除くとすると,当然翻訳されたものも対象から除かれてくると理解をしております。ただ,余り大きな問題もないのではないかというふうに思っております。
一つはマンガの例を挙げていただきましたけれども,マンガのセリフ部分が翻訳されていたとしても,絵の部分をそのまま使っているという場合には,その部分を捉えて,翻訳,翻案ではなくて,単なる複製という捉え方もでき得るのではないかというのが一つあります。
もう一つは,日本のマンガが翻訳されて利用される場合は,主として海外でダウンロードされるということだと思いますので,仮にそれを条文上,対象に入れたとしても,海外でダウンロードされている行為には今回の規制は及びませんので,余りこの海賊版対策の実効性には悪影響はないのではないかというふうに思っております。
そういう点も踏まえて,あえて翻訳をさらに除くというテクニカルな規定にする必要はないのではないかと考えて,もともとこのような規定にしておりました。
【土肥座長】大渕構成員,お願いします。
【大渕構成員】これもまた先ほどの軽微と同じで,私としては,後ろの方で「権利を不当に害することがない」というのが入らなければ,もうこの辺はあまりうるさく言わずにと思っております。そこが一番重要だったのに,一番最後に来ていますが。最終的にはこれでいいと思いますが,学者としては,32条の合理的解釈論である,「引き用いる」理論として前から申し上げているもの,すなわち,要するに,32条で,公正な慣行に合致して,正当な範囲内の「引いて用いる」パロディ等の二次創作は,現行法でも十分権利制限が成り立つので,何もしなくても,28条のうち,救われるべきものは自然に除外されて,救われるべきでないものは除外されないと思っています。何も規定しなくても,当然に32条によりカバーされます。
ただ,32条の該当性を国民の皆さんが判断するのがつらい等ということがあれば,私としては,本来は今のとおりで何もいじらなくても,むしろきちんと現行法を正しく解釈適用すれば,非常に正しい結論が得られると考えておりますが,筋としてはそうだけれども,そのような説をとっていない人もいますし,不安があるというのであれば,そして,余計なものが入らないことになるのであれば,さきほどの軽微とこの28条は別に反対しないようにします。軽微も本当は実質で判断すると言いたいぐらいなのですが,国民の皆さんがやはり形式でしか判断が困難というのであれば,それで構いません。
本当は客観要件はフランス型が一番よいと思っているのですが,国民の皆様の不安払拭の一環として,先ほどの点がまかなえるのであれば,中身が客観的には賛成できるようなものではなくても,今申し上げたような理由で,それは構わないと思っております。
【土肥座長】前田構成員,どうぞ。
【前田構成員】先ほど田村構成員からお話がありました翻訳だけ特別扱いをするかどうかという点なのですが,私も田村構成員に賛成です。というのは,著作権法の3条,4条は,原著作物が発行や公表がされていなくても,二次的著作物のうち翻訳物が発行,公表されているときは,原著作物が発行,公表されたものとみなしております。二次的著作物のうちでも,翻訳物についてだけは原著作物と一体性が強い,翻訳物を見れば原著作物がそのまま理解できるという一体性が強い関係性がございますので,その点がほかの二次的著作物とは違っており,そのことが,現在の著作権法の中にも既に表れていると思います。その関係から,今回も二次的著作物のうち翻訳物だけは原著作物と同視をすることとし,それ以外の二次的著作物については,28条の権利を侵害してアップロードされているものを,今回のダウンロード違法化の対象にしないという選択肢があるのではないかと思います。
【土肥座長】福井構成員,どうぞ。
【福井構成員】ありがとうございます。
私も田村・前田説に惹かれるところです。これはちょっとおもしろい論点だと思うので,単に私の理解が足りないだけなのかもしれませんけれども申し上げます。先ほど事務局の御説明で,仮にセリフの内容が翻訳されても,絵の部分は複製されているので,これは二次的著作物には当たらないんじゃないかというふうに,私は御説明を理解しました。例えば絵本のように,文章と挿絵がそれぞれ独立で流通可能なものであれば,文章の方が翻訳されていても,絵という独立の著作物は複製されているから,違法化対象になるよというのは分かるんですけど,マンガですよね。吹き出しの中のセリフの部分だけを独立の著作物と考えるのは,ちょっと無理があるんじゃないでしょうか。
ということは,つまり,マンガはあれ全体で一つの著作物。全体で一つの著作物だとすると,その一部が翻訳されていれば,やっぱり二次的著作物と呼ぶべきであり,これは除外ということになってしまうんじゃないかなという疑問です。そうすると,やっぱり処罰できない間隙が生まれてしまうというご指摘はもっともなような気がするんですが,いかがでしょうか。
【土肥座長】田村構成員,どうぞ。
【田村構成員】2説ありますよね。駒田先生や私などは,どちらかというと,むしろ事務局に近い感じで,作品単位で考えずに,真似されたところの単位で著作物を考えます。事務局の説明は理論的にありうると思うのですが,ただ,実はそれは少数説だと思います。一般的には,普通にまとまった作品全部で,そのうちの一部が翻案されている,全体でそれは原作品と二次的著作物という方の方が多分多いのだと思います。
ですから,少なくとも,事務局の説明は理論的にありえないわけではないのですが,裁判所で通るかどうかは,かなり分からないところだと思います。
【土肥座長】ありがとうございます。
マンガの絵の部分と吹き出しの部分という説明の部分は分かるんですけれども,有名な作家の小説を翻訳するという場合も当然あるんだろうと思うんですけど,それがアップされた場合,それはもうもちろん翻訳なので,外れる部分になりますよね,これから行くと。それでいいんですか,ということをちょっとお尋ねしたいんですけれども,出版の方に。
つまり,最近の有名な作家さんも具体的な例がパッと思いつかないので,もう亡くなった方の松本清張とかを出すんですけど,いずれにしても気持ちは分かっていただけると思うんですが,小説が翻訳されて,その翻訳がアップされた場合,それも海賊版じゃないかと思うんですけど,ダウンロードされて,これは外れますということで行ってもよろしいんですか。
どうぞお願いします。マイク。
【堀内構成員】それはまずい。著者の権利を侵害していることになるかと思います。
【土肥座長】と思うんですけどね。そういうことも考えていただかないといけないんじゃないかなというふうに思いますし,結構昔から,翻案というのはいろいろな難しい問題があるものですから,なかなかクリエイターの方にとっては簡単に割り切れるところではないものが残るし,それは十分理解できるところです。
大渕構成員,何かありますか。
【大渕構成員】私も先ほどあきらめて,もう32条はやめて28条除外なのですが,翻案は,創作的表現が再生されて,かつ,創作性が付加されればよいのであり,そして,創作性というのは何らかの個性の発揮でよいから,色を少し変えたりなどすると,簡単に脱法できてしまいます。その点,私が申し上げた32条だったら大丈夫ですよと言いたいのですが,そこのところは,もともとが28条を全部除くというのは,かなりの程度,脱法を認めているようなところがあります。私も先程の自説は言いませんが,もともとのそこのところで28条を全部ばさっと外しているというのは,かなり無理があるという点が表れていると思います。そこのところはよく権利者ご本人には,それを土肥先生が言われているのではないかと思いますが,それでいいのかというのはよくお考えになっていただきたいと思います。今はこれで国民の納得を得ているからよいのですが,先ほどのような大きな話にしなくても,創作性を加えて翻案とするのは簡単なので,そこのところはよくお考えいただいた方がよいと思います。
【土肥座長】堀内構成員が先ほどちょっとおっしゃったところは,やっぱりあろうかと思いますので,事務局においては,そのあたりを考えていただければと思います。
海賊版対策という以上,そこはやっぱりきちんとやっていただいて,きのう出た日本の,最近の有名な作家の名前がパッと出てこないところが情けないんですけれども,有名作家さんが出したベストセラーがすぐにということになると,それは厳しいところがございますので,そこは一つお考えの上で。
【田村構成員】確認になりますが。
【土肥座長】どうぞ。
【田村構成員】土肥先生のおっしゃっていることと,大渕先生のおっしゃっていることがずれているように思われるので,確認させてください。土肥先生は翻訳だけの復活の話をなさっていて,その点の検討をしましょうというご趣旨だと思います。それに対して,大渕先生はむしろ28条の全体について侵害から除くという大方の意見に対する反対をなさっていると受け止めました。大渕先生のご意見は,土肥先生のご意向を超えておられるのかなと思いましたので,その点は確認させていただきます。
【萩原構成員】すいません。
【土肥座長】萩原構成員,お願いします。
【萩原構成員】私の所属している会社も,実は電子出版をやっていまして,そういう意味で言うと,ここの除外規定,除外部分は,できるだけやっぱり少ない方が,我々ビジネスしているサイドから言うと,ありがたいんですよね。ですから,あとは,条文の書きぶりとして,今,田村先生とか前田先生が言われたような書きぶりで,どこまで除外規定の範囲を狭められるかというところは,期待したいところではありますね。
【土肥座長】ありがとうございました。
大体意見を頂戴したと思いますので,事務局におかれては,それを踏まえて,一つまとめていただければと思います。
それで,次のページに参りまして,(イ)の(4)「海賊版サイト」などからのダウンロードに限定する案でございます。これについて,何か御意見ございますか。どうぞ。
【荻野構成員】前回非常に不評だった私の意見なんですけれども,趣旨としましては,海賊版サイトではないところにあるもので,なおかつ,著作権侵害しているもので,しかも保存したいものはどういうものかなといいますと,例えば,政治家の方のブログに,何か大きな決断をしたというようなことを仄めかすように,マンガの例えばカエサルがルビコン川を渡るシーンが何ページかどーんと出ている。それを見たときに,元のマンガを盗みたいからそれを保存したいわけではないんですよね。新しい文脈として,インターネットという誰もが見られる,まさに街中に立てた立て札のようなところにそういうものが置かれてしまったということで,元のといいますか,侵害されている著作物とは別の文脈がそこに生じてしまっている。
アップロードした人は悪いんです。それは引用の要件を満たすべきだったし,アップロードするのであれば,許諾を得るべきだった。そのアップロードをする人はそういう選択肢があったわけですけれども,そういう政治家のものを見てしまった国民としては,まさにもらい事故といいますか,巻き込まれているような状況でして,それはやっぱり今保存しなければならない。今,その瞬間にダウンロードしないと,消えちゃうかもしれない。後で検証できなくなっちゃうかもしれないというようなことが想定される事態というのは,社会問題とか政治問題を議論するようなことに必要な文脈のコンテンツになってくると出てきてしまうのかなということもあると思うんです。
そのときに,じゃあ,その海賊版サイトからのダウンロードに限定するという方式にこだわるかというと,それ以外にももちろん解決する方法はあるわけでして,きょう,これから議論する,例えば,「著作権者の利益を不当に害することとなる場合」の限定とか,そのあたりで別途考慮していただけるのであれば,ここは必ずしもリーチサイトからの経由のダウンロードに限定するということを強固に主張するつもりはないわけです。
元のコンテンツ,正規版を買えば済むわけではない,それが欲しいわけではないという場合,あるいは,今ダウンロードしないと消えてしまうという問題をどうするかという場合への配慮というあたりを,商品としてのコンテンツという観点だけではなくて,そちらの方をちょっと考えていただくというところを議論していただければ,ここのところには必ずしも,この方法だけにこだわるという趣旨ではないということを申し上げます。
以上です。
【土肥座長】ほかにございますか。伊東様,どうぞお願いします。
【伊東氏】一応御説明をさせていただきますと,残念ながら,SNS上,インスタとかツイッターとかには,マンガをマンガのままアップロードしている人たちが非常に多いです。集英社で,私直近の11月の数字を調べさせていただきましたけれども,いわゆる漫画村のような海賊版サイトへの削除要請が,受理しただけで,1か月で1万8,000件。リーチサイトのダウンロード型で,月に2万件。フェイスブック,ツイッター,インスタグラム,Flickr,GrowthBotなど,いわゆる静止画をしているSNS等に対しては,月に2万件ということで,三大海賊版態様の一つとなっていますので,悪意を持った人たちが結構多いなというのが実情です。
【土肥座長】これは「知りながら」ですからね,「知りながら」。海賊版サイトというものから,知りながらダウンロードしようと,それ以外のサイトから知りながら侵害著作物をダウンロードしようと,手元の行為は同じといえば同じだと思うんですけどね。これはダウンロード行為に限定するかどうかという点からすれば,やはりそこに限定することは困難だと思います。例えば海賊版サイトの定義というのも,これまた大変なことになりますけどね。そういうことがございますので,ここについては,侵害著作物を知りながらダウンロードするという,その根幹は維持したいというふうに思います。
4については,ほかに何か。どうぞ。
【和田構成員】海賊版サイトに限定しないという点はよろしいのですけれども,刑事に限った話ですが,今,処罰対象にしようとしているのは,ダウンロード行為なわけですね。それを処罰することが,海賊版対策になるとうたっている。その場合の海賊版対策の中身というのは,最終的に根絶したいのは違法アップロードなわけです。ダウンロードを処罰することで,なぜアップロードが消えていくのかというメカニズムをきちんと説明しないといけないわけですけれども,ダウンロード行為があるともうかるような仕組みが備わっているサイトについては,ダウンロード行為それ自体がアップロード行為を助長するということが明確ですので,それはダウンロード行為を処罰する根拠が明確にあるというふうに,一応言えるだろうと思うわけですけれども,SNSの場合には,ダウンロード行為があるからといって,アップロード行為が助長されているのかというと,そこの仕組みが,少なくとも一般的な海賊版サイトとは違うだろうと。そこではインセンティブが経済的な利益,財産上の利益が得られる,ダウンロード行為によって,サイトの運営者に経済的な利益が入るということではなくて,ダウンロードするという形で注目されたいからアップロードするというような,自分がもうかるからではなくて,何かそういう動機に基づいてアップロードされているというケースがかなりSNSの場合は多いのではないかというふうに思います。
そうすると,その場合も,ダウンロード行為を処罰対象にするということは,基本的にはアップロードの助長というところで捉えられるにしても,そこで前提にしているアップロード行為に対して与えてしまうインセンティブの中身が,やはり性質上違うと思いますので,そういう性質の違うところに,刑事処罰が踏み込もうとしているのだという意識は持つ必要があるというふうに思っています。
【土肥座長】民事はオーケーということですか。民事は海賊版サイトからダウンロードする行為に限定しない。民事ですよ。今,刑事をおっしゃいましたよね。
【和田構成員】民事について,積極的にオーケーという意見を表明したわけではなくて,少なくとも刑事については,そういうことが意識される必要があるだろうということです。
【土肥座長】分かりました。ほかに。大渕構成員,お願いします。
【大渕構成員】著作権法の世界では,ドイツのバウム理論のいうように,財産的利益と人格的利益が非常に密接に絡んでいるというところから始まります。アップロードを助長しているからという,そのアップロードの助長のところが経済的ゆえの助長に絞っているわけでもありません。これを言い出すと,財産権は財産的利益しか保護しないという説もないわけではないのですが,おそらくドイツのように,人格権も財産的利益と人格的利益の両方を保護するし,財産権も財産的利益と人格的利益の両方を保護するというように,クロスして考えているのではないかと思いますし,かつ,やってほしくない行為は別に財産的理由だけに限定する必要もない。あるとすれば,著作権だからというだけなのでしょうが,著作権だから財産的利益しか保護しないというのは理由がないと思います。
【土肥座長】ありがとうございました。ほかにございますか,御意見は。
基本的に民事に関しては,刑事についてはいろいろあったかなと思いますけれども,海賊版サイトからのダウンロードに限定しないというところはほぼご了解いただいたというふうにしてよろしいですか。
それじゃあ,そこは踏まえさせていただきたいと思います。
刑事についてもここで併せて求められているわけですけれども,この刑事についても,やはりなかなか定義が難しくなってくるというところはございますし,やはり,侵害著作物と知りながらダウンロードする行為は,基本的にはそういう行為をやめていただきたいというのがあるんだろうと思うんです。知らなければ,それはもう仕方ないと私は思います,それを知らなければ。しかし,はっきり知った上でダウンロードするというのは,やはり民事上も刑事上も制裁の対象になるということは当然あっていいんじゃないかなと思います。
次でございますけれども,(5)の不当に利益を上げている場合に限定するか,あるいは,裏から……。ごめんなさい。不当に利益を上げている場合に限定するというのを民事だけにするのか,民事・刑事ともにするのか,あるいは刑事だけにするのか。これはいかがでございましょうか。
堀内構成員,お願いします。
【堀内構成員】出版社としては,この論点に限らず,(1)に加えてさらに要件を追加する必要はないんじゃないかと。文化庁の3つの措置といろいろ議論がございましたけども,さらに二次創作についても皆さんの懸念,不安を除くために除外するということになれば,それ以上要件を加えるということは,海賊版対策の実を上げるためには不要じゃないかなというふうに思っております。
【土肥座長】ありがとうございます。ほかにございますか。赤松構成員,どうぞ。
【赤松構成員】その前に,1点確認なんですけども,文化庁が今回示してきた3点,附則の追加とスクショの適法化と軽微なものの除外なんですが,これは採用ということでオーケーなんですよね? 本当は要らないと思っているとか,そういったお気持ちは忘れていいんですね? でしたら,文化庁の3点があれば,日本漫画家協会が2月27日に出した声明に込めた趣旨も大筋入っておりますので,これ以上また要件みたいなものは要らないのではないかと考えております。
【土肥座長】ほかにございますか。
要するに,利用者の情報アクセス,そういったものを萎縮させないということからすると,分かりやすい規定が一番望ましくて,不当に利益を上げている場合かどうかというのはなかなか難しいんじゃないかなと,私はそう思うんですけど。これは,かなり無理を言っているような気もしますけどね。
必要だという御意見ございますか。よろしゅうございますか。
それでは,この採用はしない,これは。民事,刑事ともに採用はしないということで参りたいと思います。
(6)有償で提供・提示されている著作物に限定する。これは,結構ご議論があろうかと思います。現在,6時7分,8分前なんですよね。きょうは3時間ペースではなくて,2時間なんですよね。ですから,どっちみち絶対にこれは終わりません。やっぱり無理なんですよね。ですから,当初予定した時間を余り食い込まないところあたりで終わらせていただきたいと思います。こうやって拝見すると,文化庁の事務局の方もマスクをされて,大変体調維持も厳しいところがあろうかと拝察申し上げますので,そのような進め方にさせていただきたいと思います。田村構成員,お願いします。
【田村構成員】そのような進め方に少し協力することになるかもしれませんが,私はもちろん6番で前回この最後の主な御意見と書いてあるところ,最後のことを言った者でありますが,私の退席後の議論などを見ていますと,この「著作権者を不当に害することになる場合」に入るのであればよろしいのではないかというような御意見があったりして,私もそういうふうに思いますので,むしろ,その本丸といいますか,時間をかけるべきところはそちらではないかというふうに思います。つまり,強くこだわらないということです。
【土肥座長】ありがとうございます。ほかにございますか。田村構成員はこだわらない?
【田村構成員】どうぞ。はい。先生に協力しましょう。
【土肥座長】これだけ強いご支持を頂いたのは,私にとって非常に名誉なことでございますので。
じゃあ,そこは限定しないというところで進めさせていただきたいと思います。よろしゅうございますか。ありがとうございます。それじゃあ,そのような形で進めさせていただきます。
次のページの(7)反復・継続してダウンロードを行う場合に限定する。前回申し上げたんですけれども,この点について御意見をいただければと思います。
要するに,1回目ではアウトにしないということなんですよね。反復して,かつ,継続なんですか,これは。
【大野著作権課長補佐】条文上は刑事にもともとこの要件を入れておりましたが,「継続的に又は反復して」,すなわち,そのいずれかというような書き方をしております。
【土肥座長】いずれかですね。反復又は継続だそうでございます。
御意見ございますか。和田構成員。
【和田構成員】これは民事についてということですけれど,全体として刑事にこれを入れるという点は,もう固まっているという前提でよろしいのですかね。
【土肥座長】いや,これは民事だけですよね? ここは。違います?
【大野著作権課長補佐】もともと文化庁の当初案におきましても,刑事にはこの要件が入っておりました。
【土肥座長】そうですか。
【大野著作権課長補佐】はい。それをご覧になって,民事にも同じ要件を追加した方が良いのではないかという御提案がパブコメであったということでございますので,民事についてどうするかという点について議論をお願いしたいということで提示しております。
【和田構成員】刑事についての当初案がいいかどうかの検討の場というのはどこになるのですか。
【大野著作権課長補佐】1回目の検討会で基本方針を確認いただきましたけれども,これまで大きな異論がなかった部分は尊重しつつ,その後の議論でたくさん御指摘のあったところを集中的に検討するということになってございました。我々としては,この要件のように,あまり当初案について問題視されていなかったところを積極的にご議論いただくということは想定していなかったところでございます。
【土肥座長】失礼しました。民事まで広げるのは反対である。おっしゃるとおりだろうと思いますので,ここもこういう形で進めさせていただきます。ありがとうございました。
(8)でございますけれども,「当該有償著作物等の提供又は提示により著作権者等の得ることが見込まれる利益が不当に害されることとなる」場合に限定するという,刑事でございますけれども,これについて,何か御意見ございますか。特にございませんでしょうか。この要件は不要になるとか,不適切というのが前回の意見なのですが……。大渕構成員,どうぞ。
【大渕構成員】不当に害されることとなるのと同じように,先ほどのように違法アップロードを助長する行為なので,「不当に害される」にあたることが類型的に肯定されるので,このようなものは入れるべきではないと思っております。先ほどのような,不安払拭のためというのはありますが,客体としてはきちんと整理して考えないと,何が保護法益なのか分からなくなってしまうので,私としてはきちんと客体を決めた後に,不安除去材料は別途考えるというようにきちんと整序すべきと思っています。
【土肥座長】ありがとうございました。ほかにございますか。田村構成員,どうぞ。
【田村構成員】いや,本丸はここではなくて,次のページだと思っていますので,民事,刑事共通しての議論の場がありますので,そこで共通の時間があるかどうか分かりませんが,そういうことであれば,この8は特にここでは議論しないというだけだと思います。
【土肥座長】ありがとうございました。まだ先の話のようでございますけれども,ここではこういう限定をする必要はないということで,よろしいですか。
(12)刑事罰自体を科さないことにするという点ですね。次のページの(ウ)は,大きな意見の相違があったものということで,ここは大変時間を要するかと想像いたしますので,刑事罰自体を科さないことにするということで,大体6時なんですけれども,このあたりでよろしいですか,事務局は。これは中に入った方がいいですかね。この(ウ)の中にも大きな意見の相違があったもののほうに。
【大野著作権課長補佐】今ご議論いただいたところも,特に(2)の要件にひも付いておりますので,もし,構成員の方々がよろしければ,その部分についてはご議論多少いただけるとありがたいと思います。
【土肥座長】最後まで?
【大野著作権課長補佐】最後までかはともかくですね,(2)の要件については,おそらく皆さん御意見があろうかと思いますので,今回おっしゃっていただけないかなと思っております。
【土肥座長】承知いたしました。済みません。それじゃあ,刑事罰自体を科さないことにするということについて,賛成の御意見ございますか。
【荻野構成員】一言だけいいですか。
【土肥座長】どうぞ。
【荻野構成員】前回の議論でもありましたように,今回,刑事罰を科さなければ,そもそも法改正する意味がない,やらなきゃいけない,という権利者の方の御意見はもっともだと思うんです。けれども,ただ一方で,不安として出ています研究目的の除外がないよねとか,公益目的の除外がないとねといった議論が,今までもそうだったから,今これで新しく問題が起きるわけじゃないという形で整理されてしまっているわけなんですけれども,そうとはいえ,先に進むのであれば,そちらのやはり今までの不安材料として残っていた宿題を片付けてから,刑事罰の方に入っていただくというのが順番なのかなというふうに私は思いますというところだけ申し上げます。
以上です。
【土肥座長】基本的にはそういうことだと思うんですよね。全ての基本はそういうことだと思うんですけど,殊この問題に関して。大渕構成員。
【大渕構成員】学者の中でごっちゃにしている人もいないわけではないのですが,普通に読めば,兼ねている人はいるかと思うのですが,私的使用目的というのと研究目的は違っていて,強いて言えば,私的使用目的は私益だけど,研究の方は公益だとか,いろいろ保護法益も違います。研究は今まで裁判例もないぐらいで,おそらく研究者同士で黙示の許諾などで,権利制限規定がなくても今までやってきているということがあるので,それはそれとして別途考えたのですが,やはり不安材料があるからということで,文化審の方では,今,研究について調査検討を始めています。以前申し上げたとおり,今まで自由にできているのに,規定ができるとかえって研究がしにくくなるのは困るなどの話はありますが,それは別の話であります。要するに,私的使用と企業内複製と研究とを混ぜたら,話がぐちゃぐちゃになりますから,この3つは違う話であり,きちんと区別して別々に考えといけません。研究は別途研究自体の問題として議論するのであって,これは全く別の話だと理解しています。
【土肥座長】河野構成員,お願いします。
【河野構成員】一般ユーザーからすると,刑事罰と聞くと,それなりに不安感があるところでございます。一方,前回,今回と,今回の法改正の全体スキームを伺っておりますと悪質な事業者の行為に本当にかなり悪意を持って加担していかなければ,刑事罰には行き着かないというふうな理解もできているところです。
私自身はやはり今回の附則に書いてくださっているところの,繰り返しになりますが,国民に対する啓発と,この改正がなったときに,どんなふうな形で社会に対して情報提供をしてくださるのかが重要だと思います。意識がなく反復・継続的にという例もなきにしもあらずですけれども,それはそもそもいけない行為だということに対しての,情報提供のところに是非力を入れていただければというふうに思います。
【土肥座長】堀内構成員。
【堀内構成員】前回も申し上げましたけども,やはり刑事罰は必要です。前回も御説明したとおり,出版界,あるいは著者の方,関係するいろいろな業界と協力してあらゆる対策を今,実施しておりますけども,それでも500以上の海賊版サイトがいまだにあるということでございます。
そして,文化庁が実施した国民アンケートを見ると,民事で違法化されたら70%弱から67%ぐらいの人がダウンロードをやめる。そして,刑事罰が科されたら,80%,77〜78%の人たちがやめる。そして,違法化によって何か支障があるかというと,自分の楽しみがちょっと減るとか,お金がちょっと余計に掛かるとか,つまり生活に大きな支障が出るようなことはないということです。それから,先だって音楽と映像には刑事罰が導入されているわけですけども,そのことによって大きな混乱や不安が生じているというような話も聞いておりません。是非この海賊版対策を実のあるものにするためには,刑事罰は不可欠だと思っております。
【土肥座長】ありがとうございました。赤松構成員,どうぞ。
【赤松構成員】今のお話と重なるんですけれども,既に音楽と映画では刑事罰が科されているということで,それなのにマンガではやらないということになると,マンガならダウンロードしてもまあいいよというようなメッセージをこの検討会が発することになります。これはすごく抵抗がありますので,やはり刑事罰を科すということでいいと思います。
【土肥座長】和田構成員,どうぞ。
【和田構成員】刑事罰を入れること自体はいいと思うのですが,単に「その手の行為をやめてほしいから刑事罰の対象にします」では説明にならないので,きちんと処罰根拠が説明できる範囲での刑事罰の新設というものをお願いしたいと思います。
【土肥座長】ありがとうございます。
いろいろ御意見を頂戴しました。一番大事なのは,やっぱりこういう行為をしてはいけないという啓蒙,啓発。その部分なので,刑事罰をかけるにしても,そこはより増して,夜テレビを見ていたら,男性が2つのドアの1つに飛び込むのを見たりすることがあるんですけれども,いずれにしても,そういう一般国民,一般ユーザーに対する啓蒙,啓発活動は以前より増してやっていただき,こういう行為は民事上,刑事上の責任を伴うものであるということも,併せてきちんとやっていただきたいというふうに思います。
それで,主な意見の相違のあったものについてやる必要があるんですけれども,まず,4ページの(ウ)の(2)ですか,「著作権者の利益を不当に害することとなる場合」に限定して,民事も刑事も置こうという考え方について,何か御意見いただけますでしょうか。これは両論あろうかと思いますので,是非。いかがでございましょうか。大渕構成員。
【大渕構成員】そもそも,先ほど申し上げたとおり,常に不当に害することになるということもあるのですが,これ以上に,この流れというのは,日本版フェアユースという,平成24年改正でも平成30年改正でも決して通らなかった考えが元になっているのではないか。日本版フェアユースといっているのは,これはアメリカの物真似ではいけないのであって,実は,「非日本版アンフェアユース」ではないかと思っております。まず,非日本版の方はドイツの著作財産権の支分権をご覧になると,とりわけ〇〇を含むというように,意外と限定列挙になっていなくて,それ以外も入り得る形となっています。また,ドイツの不正競争法は土肥先生がお詳しいですがど,一般条項があります。フランスの著作者人格権は特段の権利制限規定がないが,権利濫用でまかなう。アメリカはフェアユースがあるというように,意外と日本のように必ず支分権と権利制限の双方がきちんと限定列挙となっているというのは多くはないのですが,やはり日本人はそれでないと安心できないからということです。これは日本では,やはりこの支分権と限定列挙の権利制限で初めてみんなが安心して暮らしていけるので,ここのところを決して崩すべきではないと思っているのが一点です。
それから,アンフェアユースの方は,アメリカ法の場合にはコモンロー・トラディションという判例法でやっていくというトラディションがあります。stare decisis(先例拘束力の原則)ということであり,判例に法源性があるという点で,法制が本質的に違っておりますので,そのような国は判例でやってもその後の同様の事件の判決が先例に拘束される形での,いわば米国型の法治なのでしょうが,日本の場合は,明確な規定もなく裁判官に丸投げしてしまうと,法治ではなく人治となってしまいます。遵法精神の高い人ほど怖くて利用できない。逆に遵法精神が低い人は侵害してしまえ,既成事実をつくってしまえということでやると,なかなか日本の場合対抗して訴訟を起こせませんから,結局居直り侵害になってしまうので,両面で好ましくないと思っております。それから,アメリカはアメリカで,一部個別規定はありますが,基本的にはフェアユースという判例法でやっていますが,日本は条文でやっているので,二重に重ねると一方的に権利者に非常に不利に,ダブル権利制限になりかねないということもあります。もともと日本版フェアユース自身が良くないと思うのですが,特に本件に関しては,35条等の但書きとは方向性が全く逆である点でも問題です。35条等の但書きは,権利制限が広がり過ぎないようにするためのものでありますが,今回のはむしろ権利制限を広げる方向性であります。それはなぜかと思うと,30条1項の1号,2号,3号はよく見るともともと但書きの実質なのに,そこにさらに逆方向の但書きのようなものをに入れ込むという訳の分からないこととなってしまいます。これが,どのような変な条文になるのかというのが,事務局が作られたように,法律家が見ても,何が何の但書き,例外になっているのか全く分からないというようなことになってしまいます。これは但書きの中に逆但書きを入れるという,無理なことをやっているから,訳が分からなくなっているのです。私は先ほど言いましたように,クリアなものは本当は反対でも先程のように賛成しますが,アンクリアなものは,不明確だからそれだけで本来無効になるようなものなので,それだけで反対です。不明確なものは,遵法精神の高い人は使えないし,遵法精神の低い人はばんばん居直るという,両方の面で極めて好ましくないので,このようなものは決して入れるべきではないと思います。
反面,あまり好きではないけれども,先程の2点はクリアだから最終的には構わないと思っております。
【土肥座長】ありがとうございました。ほかに。田村構成員,お願いします。
【田村構成員】いよいよ本丸に来たなという感じですけれども,先ほどから縷々申し上げているとおりでございまして,様々な懸念がある中で,皆さんではなくても,何人かの委員の方は,ここが押さえられるのであればという意見が多かったと思います。
また,日本版という話が非常に正しい,日本のことを考えた良いことだと思うのですが,日本は今まで私的複製をはっきり明確にセーフにする規定をずっと持っていた国であります。その点はやはり日本の特徴ですね。それを今回,風穴を開けようとしているのですから,そのときに様々な要件を課されるのは,これは日本的ではないかと思います。
そして,何を言っても,結局,居直り侵害とおっしゃる方も,基本的には守るべき著作権者,守るべき利益がある方というのは,有償,あるいは有償以外にもいろいろな営利目的を持っているとか,そういう方のことを守ろうとして,それに対してのみ及ぶ効果を懸念しているということだと思うのです。
他方で,孤児著作物の典型のようなものについてまで,今回,萎縮させるというのが少なくとも本当の目的でないことは,皆さんもおそらく合意されている。あとは,そこを開けたときに居直りがどのぐらい伸びるかという,予測の問題であると思うのです。
ですから,保護しなくても良いものまで巻き込んでまで,居直り侵害の危険性というものが本当にあるのかということが大きな問題ですし,そこの考量,この居直り侵害を理由とする理屈は,いまひとつ私には納得がいかないということです。そして,著作物以外にも,先ほどから何回か議論になっている,利用者の方の利用態様として,やはりこれはセーフにした方がよいだろうというものがございますので,そういったものも取り込めるということでは,これはよろしいのではないかというふうに思っています。
【土肥座長】ありがとうございました。ほかにございますか。
これは民事と刑事の問題があるんですけれども,結局,「著作権者の利益を不当に害することとなる場合」という場合には,当然,親告罪でもあるし,被害を受けているわけだから,告発するわけですよね。
どうぞ。
【田村構成員】前田委員が手を挙げているのに,申し訳ない。続きになりますが,親告罪では解決がつかないと思うのです。親告するかどうかはご本人の自由で,外から分かりませんので。外から見たときに,これはどう考えても孤児著作物で大丈夫だろうと思ったときに,たまたま何か残っていて,親告罪で親告するということはありうるので,親告罪だけでは解決がつかない。萎縮するという問題は残ると思うのです。ですから,この要件を入れておいていただければ,明らかに孤児著作物だと思われるようなものについては,この要件と,さらには主観的要件で自由が確保されるということです。親告罪では解決がつかない萎縮効果の問題,権利者の方の利益を重んじて,居直り侵害を何とかしようという御意見は分かりますが,他方で,私は,そこは皆さん余り反論がないような気がしますが,保護しなくて良いものがあって,それを守るために,さらに萎縮効果を防ぐという,居直り侵害の逆ですけれども,そういった要素もあると思います。
今回,今までセーフだったものに風穴を開けるということですから,私はむしろベース,デフォルトは,こちらの基本的には制限をかける方だと思っています。
【土肥座長】刑事も民事もいずれも必要であるというご意見ですか。
【田村構成員】刑事は特に必要だと思いますが。
【土肥座長】刑事は要るんだろうと思いますけれども,民事まで要るのかどうか。
荻野構成員,どうぞ。
【荻野構成員】基本的にこちらにいらっしゃるような立派な出版社の方は,権利濫用をして悪い訴訟を起こすということはありえないと思うんです。私も集英社さんがそんなことをするとはもちろん思っていないですし,JASRACさんも非常にフェアにやっていることが多いと思うんです。
ただ,著作権訴訟を大量に起こしている,民事で起こしている方は,例えばちょっとカルト的な宗教の方であったりとか,ネットワークビジネス系の方なんかが,やっぱり自分のところにとって不利な議論などを封じ込めるために,民事訴訟を起こすということが非常に多い。しかも,今回,受信側ですよね。ダウンロード側が違法になってくるということになってくると,誰が自分にとって批判的な人間か,ダウンロードした者が誰かを漁ることを,民事訴訟を起こすからという大義名分で,そういう個人情報を漁るような,ちょっと怖いことも起こってくる可能性があるわけなんです。
そういうときに,地方裁判所の裁判官の方は,やっぱり一般的な法の原則の大なたを振るのは,なかなか大変だと思うんです。そのときに,こういう「著作権者の利益を不当に害することとなる場合」といったような条文が,このレベルであれば,今言ったような,明らかに権利濫用が行われているような場合というのは,裁判所が助けてくれるという場合が民事でも多いでしょうし,刑事でも大丈夫だと思うんです。
逆に,こういう条文が入ることで,集英社さんのようなちゃんとした仕事をなさっている方が,裁判所から不利に扱われるということはちょっと考えにくいのかなというのが私の見たところです。
以上です。
【土肥座長】前田構成員。
【前田構成員】今回,違法化をしようとしている対象は,違法アップロードされたものを,違法であることを知りながら,しかも軽微でないということ,それから,二次創作でもないことの要件を満たし,そういうことも知りながらダウンロードして複製するという場合に限定されておりますから,確かに,そういったほかの要件を全部満たすという場合は,原則として,著作権者の利益を不当に害することになるのだろうと思います。
しかし,確かに例外的なケースは絶対あり得ないわけではありません。今,荻野構成員が挙げられているような場合とか,田村構成員が挙げられるようなこともございますので,やっぱり一応,念のための安全弁は設けておく必要があるのではないかと私は思います。
ただ,この(2)の要件で除かれるのは,やはりあくまで例外的で,特別な場合だと思いますので,原則としてはほかの要件を満たせば違法になるということで良いと思います。そういう観点からしますと,この(2)の要件は,「著作権者の利益を不当に害しないと認められる特別な事情がある場合を除く」という形で規定をすることが,いわば折衷的な案としていいのではないかと思います。
【土肥座長】どうぞ。
【後藤構成員】やはり権利行使する立場から言いますと,今お話がありましたように,「知りながら」,「軽微」という要件があるわけでありまして,「著作権者の利益を不当に害することとなる場合」ということになると,やはり我々はそれを立証して,訴訟なりしなきゃいけないという意味で考えますと,実効性が失われる可能性というのが大だと思うんです。やはりこれについては,実効性,それを担保していただく法改正というものを望みたいと思います。
【土肥座長】堀内構成員,どうぞ。
【堀内構成員】今の後藤構成員と同じ意見でございます。
【土肥座長】福井構成員,どうぞ。
【福井構成員】大分,夜もふけてまいりましたけれども。たまたま,私の事務所はきょうが忘年会で,もうすぐ乾杯の時間を迎えそうな状況ですが,意見を申し上げます。
これまでの議論の中で,おおむね一致が見られた,萎縮や制度の乱用防止に対するセーフガードは,大きくは新たに2点確認されたように思います。
一つは軽微性です。そして,もう一つは翻案等を除く点,あるいは,原作のまま要件と言われるものです。これらいずれにも賛成するわけですけれども,この軽微性に関しては,資料2で具体的な例を事務局が丁寧に挙げてくださっています。実はよく見ると,ここで軽微なものとされている例と,軽微とは言えないとされている例の間には随分大きな空白地帯があるように見えます。軽微と言われているのは全体のせいぜい数%が複製されたケースですね,これは。一方,軽微ではないと言われているのは,少なく見て4分の1。大体半分ぐらいが複製されたケースですよね。この間にかなり膨大な空白があります。おそらく,これは他のセーフガードでバランスをとるべき問題なんだろうというふうに思います。
もう一つ,翻案等を除く点。これと「原作のまま」要件のお互いの関係はちょっと脇に置くとしまして,いずれにしても,改変等はあるけれど翻案等にまでは至らない場合,ダウンロードが処罰対象になる可能性は残るのかなというふうに思います。この部分も,乱用の防止は他の要件でおそらく図っていくのだろうと思いました。すると,他のセーフガードが必要なんだろうと思うのです。それは,権利者の利益を不当に害するか害さないか。やはりここに集約されるべきじゃないかなと思います。
他の議論を拝見しても,例えば有償著作物に限るかどうかとか,あるいは丸ごとダウンロードに限るかどうかとか,いや,そもそも刑事罰は必要か不要かという議論も全て,この「不当に害する」が入るのだったら歩み寄りましょうという御意見がきょうは出ているわけですね。これが入らなかったら,議論が元に戻りかねません。ですから,権利者の利益を不当に害する場合ということはセーフガードとして必要ではないかというふうに思います。
ただし,前田構成員もおっしゃったとおり,この立証責任を権利者に負わせるのは,私は過酷だと思うし,そうすると,この要件がどう働くのか混沌としかねないと思うのです。つまり,不当に害することの立証を求められると,ちょっとどう立証するんだよというところが出てくるので,ここは逆に,不当に権利者の利益を害さない場合は除く,という書き方でよろしいんじゃないかなと思うところです。
なお,後藤構成員の実効性に関する懸念は十分共有するわけですけれども,ただ,これはやはり抑止力,アナウンス効果ということが大きいものですので,そこは大丈夫じゃないか,こんなふうに感じました。
【土肥座長】ありがとうございました。
いずれにしても,「著作権者の利益を不当に害することとなる場合」というのであれば,「軽微」とか「知りながら」とか,こういうのは要らないんですよね。「知りながら」,「軽微」というような要件をきちんとはめて,その上に,さらにこれが要るのかどうかということについて,議論が分かれているわけですけれども,ここはこれ以上やってもどうしようもないので。
【田村構成員】すみません,一つだけ確認したいと思います。
【土肥座長】どうぞ。
【田村構成員】後藤委員,あるいは堀内委員は,この現在の不当に害することというような条文に対して,これは反対と言われたのですが,前田先生や福井先生から出た,除く型でも反対ということになりますか。
【後藤構成員】いや,検討する余地がある。
【田村構成員】そう言っていただけると,大変うれしく思います。むしろ,大方の意見のような気がしないでもありません。私はニュートラルで,私の立場をそこまで後退することは構いません。
【土肥座長】どうぞ。
【大渕構成員】証明責任ないしその転換という法技術的な問題であれば,どうせ,これは評価的要件だから,基礎付ける各事実の証明責任については,それぞれ両方に分配するという話になりますので,あまり意味もないことになります。それよりも,さる弁護士さんが「どうせこんなの訴訟で使わないから構わないじゃないか」とおっしゃっていたのですが,私はそれは正しくないと思っています。これは,裁判実務用というよりは国民生活実務用のものなので,国民生活上何がやって良いものか,やってよくないのかという線引きを明確に示すことこそが非常に重要です。アメリカであれば,私もさんざんコモンロー等で苦しめられましたが,アメリカでは法廷闘争で一個一個判例を作るという形でルール形成をするわけですけれども,日本の場合にはそのような法文化では決してありません。日本では,やはり最初から法律で明確に線が引いていない限り,結局,居直りたい人は居直るし,遵法精神が高い人は結局怖くてできないということになってしまうので,きちんと線を引くことがいずれにしても重要であり,先ほどのようなところは,居直り侵害のおそれの弊害が大きくなるので,やめるべきだと思っております。
【土肥座長】堀内構成員。
【堀内構成員】今の田村先生の御発言なんですけれども,先ほどの文化庁の説明で資料11ページに「軽微なものを除く」というものがありました。これは必要だろうというように思います。具体的な法律の専門家じゃないので分からないんですけども,全体に占める割合と,その際の表示の精度,その他の要素に照らしてとありますが,この「その他の要素」というのは,要するに,侵害の程度を意味しているんでしょうか。
【大野著作権課長補佐】軽微かどうかは,冒頭少しやりとりもありましたけれども,いわゆる客体に着目して客観的に判断されますので,たくさん使っているけど,影響が少ないから軽微だという評価は必ずしもされない。したがって,たくさん使っているけど,違法化対象から除くべきものがあるのであれば,別の要件として議論が必要ということにはなると思います。
【堀内構成員】分かりました。我々は,これ以上の要件は必要ないということで意見表明を終わらせましたけれども,田村先生から御質問のあった「著作者の利益を不当に害さない場合を除く」といった要件案については,ちょっとよく考えてみたいと思います。
【土肥座長】ここについて,いずれかについて収斂させるというのはちょっと難しいというふうに思いますので,次回この2つ,4ページの一番下にあるような,こういう何々に照らし,著作権者の利益を不当に害しない場合,この何々にというその文面についても入れていただいた上で,その上で改めて判断させていただければというふうに思います。
これがあると,おそらくやっぱりこのぐらいだったらいいじゃないかと,絶対出てくるような気はするんですよね。その辺も,やっぱりこの海賊版対策として,どこか抜けているんじゃないかなというふうに思いますので,いわゆる安全弁というのは,「知りながら」というのもあるわけだし,「軽微」というのを除くというようなこともちゃんとあって,さらにそういうことまで,民事上も必要なのか。刑事はあってもおかしくないなと思うんですけれども,その辺は次回に委ねたいと思います。
あと,3点です。5ページにある3と9と10。
余り評判が良くなかったのは10なんですけど,事前に警察等が違反者に対して警告を行うことを要件化するというこの考え方。これを支持される構成員の方,おいでになります?
【荻野構成員】じゃあ,いいですか。
【土肥座長】どうぞ。
【荻野構成員】これも,要するに,今ダウンロードしないと消えてしまうというものをダウンロードした場合に,いきなり直罰ではなくて,行政救済の手続が先にあると,そのとき安心だよねというだけの話なので,さっきの不当に害しないという要件が入ってくれば,これも要らないというのが,この間私の言った趣旨です。
以上です。
【土肥座長】つまり,実際,規定の上に要件化するという,行政罰のような形でやるというのは,私権侵害の場合ちょっと難しいですね。
【荻野構成員】難しいと思います。
【土肥座長】これまで実際上の運用として被害はどうなんですかという問い合わせを警察担当部署がするということはあったのかもしれませんけれども,法律の上で,著作権法の上でこれを要件化して,手続きを踏ませるというのはちょっと難しいように思います。これを要件化するという御意見の方はおいでになります?
おいでにならなければ,ここは要件化しないということで,まとめさせていただきたいと思います。
残る点です。丸ごと,全部,又は相当分を(丸ごと)ダウンロードする場合に限定する。これは民事とか刑事のときに出てくるわけですけれども,御意見いただければと思います。これが最後です。堀内構成員。
【堀内構成員】軽微なものを除くという要件を加えているので,この(3),(9)については必要ないかと思います。
【土肥座長】必要はないと。
【堀内構成員】はい。
【土肥座長】ほかに御意見ございますか。
余り「丸ごと」という法律の条文の文言は,聞いたことが余りないんですけれども,あるんですかね。これは法制局で聞かれたことはありました?
【大野著作権課長補佐】パブコメでは「丸ごと」という御意見は多くあったんですけれども,法文化するとしたら「著作物の全部又は相当部分を」というふうに規定するイメージではないかと思っております。著作権法にも違う文脈ではありますけど,こういった文言自体はなくはないため,法制的にあり得ないということはないと思っております。この場では,政策的にこういう要件が適切かどうかというご議論をいただきたいと思っております。
【土肥座長】どうも失礼しました。「全部又は相当部分を」ということだそうでございますけれども,今,お一方から意見を頂戴しただけですけど,ほかにございますか。これはよろしいですか。
その前に議論になった部分あたりのところの帰趨がはっきりすれば,こういったことは要らないということになるんだろうとは思います。
一応,本日,30分超過して検討会をさせていただきました。本当に前回も30分遅れ,今回も30分超過し,本当に申し訳ないと思います。お忙しい方の時間を頂戴したことについてお詫びしたいと存じます。
それでは,本日は以上で終わりたいというふうに思います。
今まで申し上げたところで,事務局におかれましては,よろしゅうございますか,今までのところのまとめ方で。よろしいということであれば,そこでもう一回まとめていただいて,1月7日に第3回を開かせていただきますので,そこで残る部分を,今度はもっと近い距離で詰めさせていただきますので,よろしくお願いいたします。
じゃあ,本日はこのぐらいにさせていただきたいと思いますけれども,事務局におかれましては,何か,今,お願いした取りまとめ案の作成,それから,残った部分も踏まえてお出しいただくということで,よろしゅうございますか。
【大野著作権課長補佐】はい,次回は1月7日18時から予定をしております。年末年始を挟みますので,また,メールなどで,いろいろご相談させていただくこともあろうかと思いますが,御協力のほど,何卒よろしくお願いいたします。
【土肥座長】ありがとうございました。次回の検討会,今,ご紹介のあったとおりでございます。場所につきましては,これからあるようでございますので,侵害コンテンツダウンロード違法化の制度設計等に関する検討会(第2回)を終了させていただきます。
本日はどうもありがとうございました。
――了――