令和4年12月15日
公正取引委員会
公正取引委員会は、炭素鋼製突合せ溶接式管継手(注1)の製造販売業者らに対し、本日、独占禁止法の規定に基づき排除措置命令及び課徴金納付命令を行った。
本件は、炭素鋼製突合せ溶接式管継手の製造販売業者らが、独占禁止法第3条(不当な取引制限の禁止)の規定に違反する行為を行っていたものである。
(注1)「炭素鋼製突合せ溶接式管継手」とは、端部を突き合わせて溶接する接合方式を用いた炭素鋼製の管継手をいう。
1 違反事業者、排除措置命令及び課徴金納付命令の対象事業者、課徴金額等
番 号 |
違反事業者 (法人番号) |
本店の所在地 | 代表者 | 排除措置 命令 |
課徴金額 | 課徴金減免 制度の適用 |
1 | 古林工業株式会社 (5120001004215) |
大阪市西成区津守 三丁目3番17号 |
代表取締役 古林 達也 |
○ | 1億1440万円 | 30% |
2 | 淡路マテリア株式会社 (5140001085022) |
兵庫県洲本市上加 茂4番地の2 |
代表取締役 三尾 堯彦 |
○ | 3526万円 | 30% |
3 | 株式会社ベンカン機工 (4140001049408) |
群馬県太田市六千 石町5番地1 |
代表取締役 一丁田 学 |
― | ― | 免除 |
合計 | 2社 | 1億4966万円 |
(注2)違反事業者名については、以下「株式会社」の記載を省略する。
(注3)表中の「○」は、その事業者が排除措置命令の対象であることを示している。
(注4)表中の「―」は、その事業者が排除措置命令又は課徴金納付命令の対象ではないことを示している。
2 違反行為の概要(詳細は別添排除措置命令書参照)
(1)古林工業、淡路マテリア及びベンカン機工の3社(以下「3社」という。)は、利益の確保を図るため、3社の営業責任者級の者らが、平成28年9月16日以降、ベンカン機工と淡路マテリアの間で、及び、ベンカン機工と古林工業の間で、順次、会合を開催するなどして、3社がそれぞれ建値(注5)を定める炭素鋼製突合せ溶接式管継手について、3社が共同して販売価格の引上げを行っていく旨の認識を共有した。
(2)3社は、3社の営業責任者級の者が、平成28年11月18日に会合を開催し、前記⑴の3社が共同して行う販売価格の引上げを、3社がそれぞれ建値を定める炭素鋼製突合せ溶接式管継手のうち、FSGP及びPT370と称されるものについて行っていく旨の認識を共有し、もって、3社が共同して特定炭素鋼製管継手(注6)の販売価格の引上げを行っていく旨を合意した。
(3)3社は、前記⑵の合意をすることにより、公共の利益に反して、特定炭素鋼製管継手の販売分野における競争を実質的に制限していた。
3社は、それぞれ、炭素鋼製突合せ溶接式管継手のうち、比較的取引量が多いFSGP及びPT370と称されるものについて、建値を定め、これを掲載した冊子である価格表を一次問屋(自社のブランドを付した炭素鋼製突合せ溶接式管継手を販売する事業者から炭素鋼製突合せ溶接式管継手を仕入れて、需要家や同業者に販売する事業者をいう。)に配布していた。
(注6)「特定炭素鋼製管継手」とは、炭素鋼製突合せ溶接式管継手のうち、FSGP又はPT370と称されるものであって、かつ、3社のそれぞれの価格表において共通してその建値が掲載されているものであり、自社のブランドを付した炭素鋼製突合せ溶接式管継手を販売する事業者と一次問屋との間で建値及び掛率(建値を基準に炭素鋼製突合せ溶接式管継手の販売価格を定める際に、建値に乗じる割合を示す数値をいう。)によりその販売価格が決定されるものをいう。
3 違反行為の実施状況(詳細は別添排除措置命令書参照)
(1)3社は、前記2⑵の合意に基づき、3社の実務者級の者らによる会合を開催するなどして、特定炭素鋼製管継手の販売価格の引上げの具体的な内容及び実施方法を話合いにより決定するとともに、それぞれ、一次問屋に対して、掛率の引上げや建値の改定を申し入れるなどして、平成28年12月から平成31年4月にかけて5回にわたり、特定炭素鋼製管継手の販売価格をおおむね引き上げていた。
(2)3社は、前記2⑵の合意の実効を確保するため、おおむね毎月1回、3社の実務者級の者らによる会合を開催して、掛率の引上げや建値の改定状況について情報交換を行うなどしていた。
4 排除措置命令の概要
(1)古林工業及び淡路マテリアの2社(以下「2社」という。)は、それぞれ、次の事項を、取締役会において決議しなければならない。
ア 前記2⑵の合意が消滅していることを確認すること。
イ 今後、相互の間において、又は他の事業者と共同して、建値取引対象商品(注7)の販売価格を決定せず、自主的に決めること。
ウ 今後、相互に、又は他の事業者と、建値取引対象商品の販売価格に関する情報交換を行わないこと。
(2)2社は、それぞれ、前記⑴に基づいて採った措置を、相互に通知するとともに、自社の特定炭素鋼製管継手の取引先である一次問屋に通知し、かつ、自社の従業員に周知徹底しなければならない。これらの通知及び周知徹底の方法については、あらかじめ、公正取引委員会の承認を受けなければならない。
(3)2社は、今後、それぞれ、相互の間において、又は他の事業者と共同して、建値取引対象商品の販売価格を決定してはならない。
(4)2社は、今後、それぞれ、相互に、又は他の事業者と、建値取引対象商品の販売価格に関する情報交換を行ってはならない。
(5)2社は、それぞれ、前記⑴及び⑵に基づいて採った措置を速やかに公正取引委員会に報告しなければならない。
5 課徴金納付命令の概要
2社は、令和5年7月18日までに、それぞれ前記1の「課徴金額」欄記載の額(総額1億4966万円)を支払わなければならない。
関連ファイル
(印刷用)(令和4年12月15日)炭素鋼製突合せ溶接式管継手の製造販売業者らに対する排除措置命令及び課徴金納付命令について
(令和4年12月15日)参考2-3(参照条文及び課徴金制度の概要)
問い合わせ先
公正取引委員会事務総局審査局第三審査上席
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