法曹倫理国際シンポジウム東京2019「秘密の保持――その理論と実践」

日時:
2019年3月9日 @ 09:30 – 17:00
2019-03-09T09:30:00+09:00
2019-03-09T17:00:00+09:00
場所:
東京大学本郷キャンパス法3号館8階(801号室)
日本、〒113-0033 東京都文京区本郷7丁目 文学部3号館
参加費:
無料
お問い合わせ:
研究会事務局 弁護士・矢野亜紀子

 日頃より弁護士の倫理・規律の研究・実践・研修・教育にご尽力の先生方に、2019年の法曹倫理国際シンポジウム東京 International Legal Ethics Symposium in Tokyo 2019 (略称 ILEST19)の開催を案内申し上げます。

 有志が立ち上げた「弁護士および弁護士会の職業倫理的当為の研究会」(以下「本研究会」)は、愛知法曹倫理研究会、科研費基盤研究B 「法曹倫理の三元的展開――当事者・法曹・専門職自治組織の役割」とともに、日弁連、商事法務研究会、および早稲田大学法曹倫理研究会の協賛を得て、下記の要領で国際シンポジウム「秘密の保持」を開催いたします。

 ご承知のとおり、わが国の法曹養成制度は試練の時期をくぐりつつあり、さらに、弁護士不祥事への制度的対応を契機に弁護士会による研修・後継者養成制度の内実が注視され、弁護士の社会的使命の真剣な検討とその使命をよりよく果たすための制度整備が厳しく問われています。弁護士のつとめに関しては、昨年の本シンポジウムの成果として、次のことが明らかになりました。弁護士は、依頼者との関係だけでなく、弁護士会の一員としてその社会的使命を果たさねばならず、そのためには依頼者・弁護士・弁護士会の3者関係で問題を捉える視座が必要だ、ということです。

 組織的対応の一環として、日本弁護士連合会において弁護士職務基本規程の改正作業が進行中です。また、公正取引委員会による行政調査を契機とした依頼者弁護士間の通信秘密保護制度の導入、マネーローンダリング対策に関するFATFによる(本年実施の)相互審査への対応を契機とした弁護士会の自治制度整備などが弁護士倫理の世界では喫緊の課題として登場してきています。これまでにない多様な仕方で弁護士が私としてだけでなく、私たち弁護士会の一員としてそのつとめを果たす努力が進行しています。

 本研究会は愛知法曹倫理研究会とともにこの動きに呼応して過去1年間、「弁護士における秘密保持」をテーマに、弁護士倫理の基本問題を省察し、喫緊の課題に分析の視座と理論的基礎を提供すべく月例の研究会で共同研究を進めて参りました。本シンポジウムは、午前に理論、午後に喫緊の実践的課題を取り上げ、その上でシンポジウムを開くことといたしました。こうして過去1年の研究成果を披露し、シンポジウムにおいて弁護士倫理の基盤とフロンティア双方について広く議論し、喫緊の重要課題について明確なビジョンを共有していくとともに、法曹倫理の学問的かつ実践的な体系化を図りたいと考えます。

 本年度は、午前の部では、世界的に著名なデイビッド・ルーバン教授を招き、秘密保持の道徳的基礎についてお話し頂き、午後には「依頼者弁護士間の通信秘密保護制度」を取り上げ、シンポジウムという形のみがもたらしうる成果を共有したいと存じます。すなわち、一方で、弁護士における秘密保持の権限と義務の本質探究という方法で、他方で、職域拡大時代を見越した弁護士倫理の体系構想を発展させ、社内調査における弁護士の社会的役割を、依頼者・弁護士・弁護士会の3当事者のあるべき相互関係の考察という方法で探究したいと思います。

 この機会に、法曹倫理の研究教育に関心のある有志の全国的な連携にご協力頂ければと存じます。

秘密の保持――その理論と実践

 

司会 若林 弘樹(弁護士・東京大学大学院法学政治学研究科客員教授)

9:30

開会の辞    菊地 裕太郎(日本弁護士連合会会長)

基調報告「弁護士における秘密保持の本質と履践」
森際 康友(国際法曹倫理学会理事長・明治大学法学部特任教授)

 

第一部   秘密保持の理論

9:45-10:45

講演1 The Moral Basis of Confidentiality 秘密保持の道徳的基礎
David Luban(ジョージタウン大学・法学及び哲学特別教授)
通訳:石田 京子(早稲田大学法科大学院准教授)

 

10:45-11:15

講演2「秘密保持と依頼者に対する報告義務の限界」
尾関 栄作(弁護士・名城大学大学院法務研究科等非常勤講師)

 

11:15-11:35

特定質問    榎本 修(弁護士・名古屋大学大学院法学研究科教授)

11:35-11:50 会場質疑

 

11:50-12:00 第一部の整理  若林 弘樹

 

12:00-13:30 昼食

 

第二部 秘密保持の実践 

司会 菊池 (弁護士・東京大学大学院法学政治学研究科非常勤講師)

13:30-14:45 (各講演15分)

講演1「依頼者弁護士間の通信秘密保護制度とは何か」
片山 達(弁護士・日弁連 依頼者と弁護士の通信秘密保護制度の確立に関するWG座長)

講演2「弁護士における秘密保持は誰のために――比較法的考察」
田村 陽子(筑波大学ビジネスサイエンス系法曹専攻教授)

 

講演3「英米の秘匿特権と通信秘密保護の制度」
我妻 学(首都大学東京法学部・大学院法学政治学研究科教授)

 

講演4「米国における社内調査の実務と通信秘密保護制度」
矢吹 公敏(弁護士・競争法フォーラム副会長・事務局長)

 

講演5「社内調査と通信秘密保護」
片山 達

14:45-15:00  休憩

15:00-16:00 シンポジウム

 

16:00-16:55 総合討論

 

16:55-17:00  まとめ  森際 康友

 

17:30- 懇親会(事前申込制・先着順・当日会費徴収)


対象者:法律専門職・研究者

参加費:無料

申 込:要申込(先着90名)

申込先:研究会事務局 弁護士・矢野亜紀子(symposium2019@mishimalaw.jp

主 催:弁護士および弁護士会の専門職倫理的当為研究会
    愛知法曹倫理研究会
    科研費基盤研究B「法曹倫理の三元的展開――当事者・法曹・専門職自治組織の役割」

協 賛:日本弁護士連合会
    公益社団法人 商事法務研究会
    早稲田大学法曹倫理研究会